ワイドモート(Wide Moat)という言葉があります。日本語で言うと「広い(経済的)濠」です。
誰が言い出した言葉かはわかりません。バフェットかな?バフェットは「消費者独占力のある企業には広い経済的濠」があると言っています。
まあ、誰が言い出したのかはどうでもいいや。
モーニングスター社は主要な米国企業のEconomic Moat(経済的な壕)の程度を判定しています。3段階評価で上から順に、”Wide Moat”, “Narrow Moat”, “No Moat”となります。
判定する観点は以下の5つです。
・Network Effect(ネットワーク効果)
・Intangible Assets(無形資産、ブランド価値)
・Cost Advantage(コスト優位性)
・Switching Costs(乗り換えコスト)
・Efficient Scales(効率的な規模)
どれも大事ですが、敢えて特に強いMoat要素を選ぶとすれば個人的にはネットワーク効果かな~と思います。利用者が増えれば増えるほど価値が高まるサービスのことで、新規参入社が飛び越えるにはかなり難しい濠だと思います。
ネットワーク効果によって広い経済的濠を築いていると思う銘柄としては、マイクロソフト(MSFT)やフェイスブック(FB)があります。マイクロソフトのエクセルやパワポはみんな使っているので、他の表計算ソフトやプレゼン資料作成ソフトに乗り換えるのは事実上不可能です。フェイスブックは20億人が使用しているSNSサイトです。SNSはたくさんの人と繋がれてナンボですよね。
さて、モーニングスター社の指数に”Morningstar Wide Moat Focus Index”なるものがあります。モーニングスター社の判定が”Wide Moat”でかつ、株価が一定水準以下と判断されている銘柄が選出されています。
全部で54銘柄あります。すべてご紹介します。
ティッカー | 銘柄名 |
PFE | ファイザー |
ZBH | ジンマー・バイオメット・ホールディングス |
AMZN | アマゾン |
CRM | セールスフォース・ドットコム |
CPB | キャンベル・スープ |
MDT | メドトロニック |
CMCSA | コムキャスト |
HSY | ハーシー |
BIIB | バイオジェン |
D | ドミニオン・エナジー |
PG | プロクター&ギャンブル |
MDLZ | モンデリーズ・インターナショナル |
PEP | ペプシコ |
AGN | アラガン |
GIS | ゼネラルミルズ |
GILD | ギリアド・サイエンシズ |
DIS | ウォルト・ディズニー |
WFC | ウェルズ・ファーゴ |
CMP | コンパス・ミネラルズ・インターナショナル |
SBUX | スターバックス |
PM | フィリップモリス・インターナショナル |
CAH | カーディナル・ヘルス |
ABC | アメリソース・バーゲン |
WU | ウェスタン・ユニオン |
MCK | マッケソン |
MCHP | マイクロチップ・テクノロジーズ |
LLY | イーライ・リリー |
GWRE | ジェンダ・ゲームズ |
ESRX | エクスプレス・スクリプツ |
AXP | アメリカン・エキスプレス |
MRK | メルク |
BMY | ブリストルマイヤーズスクイブ |
AMGN | アムジェン |
UTX | ユナイテッド・テクノロジーズ |
CVS | CVSヘルス |
GD | ゼネラル・ダイナミクス |
AMAT | アプライド・マテリアルス |
KLAC | KLAテンコール |
MSFT | マイクロソフト |
JLL | ジョーンズ・ラーク・ラサール |
INTC | インテル |
BLK | ブラックロック |
SCHW | チャールズ・シュワブ |
STT | ステート・ストリート |
CL | コルゲート・パルモリーブ |
TROW | Tロウ・プライス・グループ |
FB | フェイスブック |
JWA | John Wiley & Sons Inc |
NOW | サービスナウ |
MCD | マクドナルド |
FOXA | 21世紀フォックス |
BEN | フランクリン・リソーシズ |
GE | ゼネラルエレクトリック |
LB | エル・ブランズ |
※ティッカーをクリックすると銘柄分析記事に飛びます。
誰もが知っている大企業から、ちょっとマイナーな企業まであります。
これらの銘柄を買っておけば間違いないというわけでは決してありませんが、参考にはなります。
ちなみにほぼすべて”Wide Moat”判定の企業ですが、一部”Narrow Moat”の銘柄もあります。具体的には、CVSヘルス(CVS)とフランクリン・リソーシズ(BEN)、ゼネラルエレクトリック(GE)、エル・ブランズ(LB)です。まあ、WideとNarrowの差異はよくわからない面もあるので、あくまで参考程度です。
なお、当指数にもうすぐランクインしそうな銘柄として、例えば以下が示されています。
・ケロッグ(K)
・アルファベット(GOOGL)
・アルトリアグループ(MO)
こんばんは。
私はAGNを推したいと思います。
韓国メーカーとも競合する部分もありますが、特殊美容医薬品の分野ではダントツのシェアです。私もAGN製品にはお世話になっています。その特殊性から、人に大っぴらには言えませんが…(汗)。
こんばんは。
アラガンは美容部門に強いんですね。知りませんでした。
AGNは銘柄分析記事に上げていませんでした。
まだまだ主要銘柄を網羅できてないな~と最近思っていますので、もうちょっとカバーしていきたいです。
美容は非保険でのビジネスが成立しやすいのも良い点ですよね。
プロ野球選手の肘の手術?などにも美容に強いメーカーの技術が使われていると聞いたことがあります。
株価低迷が続いているFacebookも、ワイドモートがあるのでしょうか?
SNSは他のSNSサービスに取って代わられやすく、長期保有には適しない、と評していたブロガーの方もいらっしゃったので……。
銘柄には興味があるので、Hiroさんの考えを教えて頂けると嬉しいです
私はフェイスブックはワイドモート銘柄だと考えています。
SNSはネットインフラに乗っかっているアプリで、業界の立場的に競合が次々と表れやすい面は事実だと思います。
ただ、確かに1SNSサイトかもしれませんが、ここまで規模が大きくなると(ユーザー数世界20億人)さすがに他のSNSサイトは太刀打ちできないと思います。
日本では未婚者が増え、単身世帯が増えていますが、これは社会が豊かになると起こる必然だと思います。
所得が低く貧しいと集団で、豊かになると少数で生きる人が増えます。
インドなど新興国が大家族を形成するのは文化的な側面というより経済的な側面が大きいと思っています。
これから世界的に徐々に所得が上がっていく中で、家族の規模は小さくなるだろうし、単身世帯は増える一方だと思います。
そんな嫌でも「個」が重視される世の中に合っても、やっぱり人は社会的な生き物です。
誰かと繋がっていたい願望があります。
そういう点でフェイスブックが果たす役割は今後ますます高まると見ています。
今のフェイスブックは割安に見えます。PL・CS見ても長期保有できる銘柄だと思いました。