※2019年12月期決算データ反映、コメント刷新

S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はファイザー(PFE)をご紹介します。

基本情報

会社名ファイザー
ティッカーPFE
創業1849年
上場1944年
決算12月
本社所在地ニューヨーク州
従業員数88,300
セクターヘルスケア
S&P格付AA
監査法人KPMG
ダウ30
S&P100
S&P500
ナスダック100×
ラッセル1000

地域別情報

地域別売上構成比

地域別売上高推移

セグメント情報

セグメント別売上構成比

セグメント売上高推移

セグメント利益推移

セグメント利益率推移

業績

キャッシュフロー

バランスシート

資産

負債純資産

株主還元

連続増配年数

10年

過去10年の配当成長

年率+6.1%

この10年で配当は1.8倍になりました。

過去の株主リターン(年率、配当込み)

過去10年(2010~2019):+12.0%
過去20年(2000~2019):+4.4%
過去30年(1990~2019):+12.2%

バリュエーション指標(2020/3/1時点)

予想PER:12.7倍 最新情報はこちら

配当利回り:4.5% 最新情報はこちら

コメント

ファイザーは世界最大級の売上規模を誇る製薬メーカーです。

米国を含む先進国での売上高が全体の75%で、アフリカ・中南米などの新興国が25%です。

開示セグメントは以下の2つ。
・バイオ医薬品
・アップジョン

バイオ医薬品は新薬、ワクチンを開発する部門で売上高の76%を占めます。主な治療分野は内科、ワクチン、腫瘍学、炎症、気象疾患など。具体的な医薬品としては肺炎球菌ワクチンの「プレベナー」、疼痛治療薬「リリカ」、関節リウマチ薬「エンブレル」、抗凝固薬「エリキュース」などがあります。

アップジョンは特許が切れ市場独占権を失っている製品、今後数年で特許が切れる製品、ジェネリック・バイオシミラーを取扱う部門です。具体的な製品としては、高脂血症治療薬の「リピトール 」、「バイアグラ」、高血圧症に使用する「ノルバスク」などがあります。

なお、アップジョン部門は米マイランと統合し新会社を設立する予定です。2020年半ばに完了予定。ファイザーは革新的な医薬品の開発製造に注力します。

これまで多くのM&Aを繰り返して巨大化してきました。2000年に米ワーナー・ランバートを、2003年に米ファルマシアを買収。2009年には米ワイスを約6兆円で買収しました。2014年に英アストラゼネカの買収に乗り出すもこれは破談しました。その直後2015年には、注射薬メーカーのホスピーラを約2兆円で買収しています。

2016年にはアイルランドの同業アラガンを約17兆円で買収しようと試みましたが撤回しました。当時のオバマ大統領がタックス・インバージョン(低税率国への本社移転)取り締まりを強化していたことを考慮したと言われます。ファイザーはアラガンに1.5億ドルの違約金を支払いました。

アラガンは破談となりましたが、同2016年に米バイオ医薬品会社のメディベーションを約1.4兆円で買収。メディベーションは前立腺がん治療薬「イクスタンジ」を保有しています。仏サノフィと買収合戦を繰り広げた上での獲得でした。

このようにファイザーは買収を繰り返しており、多様な製品ポートフォリオを構築しています。特定の一つの製品に大きく依存していないのがファイザーの特徴です。

大型薬の特許切れ、タックスインバージョンの政府牽制がある中、常に株主価値向上を求められているファイザー経営陣は新たな収入源を求めてM&Aを活用しています。自社で一から開発して厳しいFDAの審査を突破するよりも、資金力を活かして他社を買った方が効率的という経営判断です。ファイザーはもはやヘルスケア特化型の投資ファンドの様相を呈しています。

財務データを確認してみましょう。

FY12から売上高が急減しているのは、高脂血症薬「リピトール」が特許切れになったことによる影響です。その後は売上高は500億ドル程度で推移しています。粗利率は非常に高く80%前後あります。

FY19の売上高は518億ドルで前年比4%の減収。ドル高の影響を加味しても1%ほどの減収です。米国「リリカ」の特許切れなどが逆風となりました。「リリカ」の売上高は33%減少しました。

FY19の純利益は162億ドルで前年から+46%の大幅増益。コンシューマーヘルスケア部門を英グラクソスミスクラインと統合することに伴う一時利益81億ドルが発生した影響が大きいです。調整後EPSはほぼ前年並みです。

営業キャッシュフローが前年から20%減少しています。買収、ライセンス取得に関する前払金が影響しているようですが詳細不明。

バランスシートを見てましょう。固定資産の大半はM&Aによる「のれん」と無形資産です。製薬会社らしく純資産は比較的厚めで財務安全性の高いBS構造です。

グラフからは読み取れませんが、2009年に配当を50%カットしました。ワイス買収に伴う債務増加のためです。2010年以降は緩やかながら増配を続けています。自社株買いも多く総還元性向は100%超です。