※2020年12月期決算データ反映、コメント刷新
S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。
データソースはMorningstarです。
今回はコルゲート・パルモリーブ(CL)をご紹介します。
基本情報
会社名 | コルゲート・パルモリーブ |
ティッカー | CL |
創業 | 1806年 |
上場 | 1930年 |
決算 | 12月 |
本社所在地 | ニューヨーク州 |
従業員数 | 34,200 |
セクター | 生活必需品 |
S&P格付 | AA- |
監査法人 | PwC |
ダウ30 | × |
S&P100 | 〇 |
S&P500 | 〇 |
ナスダック100 | × |
ラッセル1000 | 〇 |
地域別情報
地域別売上構成比
地域別売上高推移
セグメント情報
セグメント別売上構成比
セグメント別売上高推移
セグメント利益推移
セグメント利益率推移
業績
キャッシュフロー
バランスシート
資産
負債純資産
株主還元
連続増配年数
59年
過去10年の配当成長
年率+5.7%
この10年で配当は1.7倍になりました。
過去の株主リターン(年率、配当込み)
過去10年(2011~2020):+10.4%
過去20年(2001~2020):+7.3%
過去30年(1991~2020):+12.6%
バリュエーション指標(2021/4/4時点)
予想PER:22.4倍 最新情報はこちら
配当利回り:2.3% 最新情報はこちら
コメント
コルゲート・パルモリーブ(CL)は世界で初めて練り歯磨きを販売した日用品メーカーです。設立は1806年で創業200年を超える老舗です。
200以上の国地域で事業を展開するグローバル企業です。北米売上は全体の36%で、ラテンアメリカとアジアの2地域で半分弱を占めます。新興国でのビジネスが大きいのが特徴です。
開示セグメントは以下2つ。
・口腔ケア、パーソナルケア、ホームケア
・ペット栄養
メイン事業が「口腔ケア、パーソナルケア、ホームケア」です。
口腔ケアは世界中で歯磨き粉と歯ブラシを取り扱っています。日本では昔は花王と提携して事業展開していましたが今は解消しています。なので、国内でコルゲートの製品を見る機会はほぼありません。
パーソナルケアは、”Softsoap”や”Palmolive”、”Protex”といったブランドで液体ハンドソープや石鹸を販売しています。ホームケアは食器用洗剤などを取り扱っています。
「ペット栄養」では犬や猫用の特殊栄養食品を販売しています。コルゲートの中ではやや毛色の違う事業分野ですが、全売上の16%を占めており無視はできません。
2019年にフランスの化粧品フィロルガのスキンケア事業を約17億ドルで買収しました。
財務データを見てみましょう。
売上高はここ10年ほぼ横ばいです。グロスマージンは60%と日用品メーカーとしてはかなり高い数字。プロクター&ギャンブルのそれは50%ほどです。
FY20の売上高は165億ドルで前年比+5%。ドル高、買収の影響を除くと+7%。なかなかの増収率です。数量上昇が+4%、単価上昇が+3%という内訳。粗利率が1.5ポイントほど改善しているのも良いですね。
FY20の純利益は27億ドルで前年比+14%。純利益率は16%でここ10年で最高。
営業CFマージンは23%でこちらもデータを取っている2006年以降で最高を記録しています。
総資産の3割が流動資産で7割が固定資産。固定資産は主に工場生産設備等の有形固定資産と、過去のM&Aで認識したのれんと無形資産です。FY19に総資産が増えているのはフィロルガの事業資産取得のためです。
純資産が非常に薄くFY18末は債務超過でした。積極的な株主還元姿勢が純資産が主要因です。
連続増配59年の配当王。増配率はそれほど高くないものの、配当性向は60%未満と余裕はあります。自社株買いも毎期安定的に実施しています。
お疲れ様です!
個別株の分析、大変参考になります。
それとETFごとの株式構成も非常に参考になります。
私は現在はETFしか購入していませんが、
相場の急落時に個別株を購入しようと考えているので
大いに参考にさせていただきます。
お久しぶりです!
いえいえ、お役に立てて幸いです。
私も以前はETFしか買っていませんでしたが、最近は個別株の購入が多くなってきました。
ETF紹介の記事は最近上げていないので、今週何かピックしようかなと思います。
Hiroさんはじめまして。いつも銘柄選択の参考にさせていただいております。
ちなみに、米国証券取引所にはイギリス等ADR銘柄も多数あり、BTI(ブリティッシュアメリカンタバコ)や、UL(ユニリーバ(英蘭))、RDS・B(ロイヤルダッチシェル(イギリス))等、高配当銘柄が多数あり、しかも現地源泉税がほぼ課されないという、長期的視点で見たら有利な銘柄が複数あります。
ブレグジットの問題等で、今後動きが色々とありそうですが、米国銘柄を凌ぐ高配当率や中々の増配(為替影響でドルに転じると増配では明確にないものもありますが)銘柄もあります。
私は、HDVを中心に、ULや(今回KH買収話がお釈迦になって以後、株主還元をより強化していくとの経営者宣言がありました)BTI(レイノルズアメリカの買収がまとまり、実質業界1位に躍り出る)(あとは米国ゼネラルミルズも一応買っています)等の英国株の優位性も感じ、購入しています。
こういったADR銘柄についてHiroさんはどうお考えでしょうか?
UGさん、
はじめまして。
ADRも企業のビジネスが生む将来のキャッシュフローを裏付けとした資産である点、普通株と何ら変わらないと考えています。
敢えて言えば、原資産である株式の価値とズレるリスクがあるのでしょうかね。
あまり勉強しておらず詳しくは分かりかねますが。
UGさんがおっしゃっているBTIやULなど世界的な大型株を原資産とするADRはそのようなリスクはほぼないでしょうね。
ということで、私はADRという仕組み自体にはネガティブな感情は全くありません。
でもADR銘柄は今のところ買っていないし、ブログでも一つも紹介していません。
特に理由はないです。。
米国普通株でも十分魅力的な企業がたくさんあるので、ADRにまで手を広げなくてもいいかなと思った次第です。
(要するに、調べるのをサボっているだけです。。)
BTIやULなどはかなり魅力的な銘柄ですよね。
是非いつか調べてみたいと思っていましたが、せっかくこのような貴重なコメントを頂いたので機会を見て米国銘柄分析で取り上げたく思います!
とってもタイムリーなコメントでした。
実は、本日2017年版の米国会社四季報を買いました。
で、今回の四季報にはADR銘柄がたくさん紹介されているんです。
この四季報を使いながら、是非ADR銘柄について勉強してみたいと思います。
そして、魅力を感じる銘柄があったら実際に投資を検討するかもしれません。
すみません、質問の答えになっておりますでしょうか?
ADRの仕組み自体に不安は持っていませんが、不勉強で今は投資していないというのが実状です。
コメントありがとうございました!
ADR銘柄の財務諸表見るのが楽しみです。
Hiroさん、早速の返信ありがとうございます。
Hiro さんの銘柄分析にはいつも脱帽させられており、本当に銘柄選択の参考になっています。(勿論、自身でも分析し、自身の責任で行っております。)
英国のADRは米国普通株の影に隠れてしまっている印象ですが(笑・それだけ米株がすばらしいのですが)大きな利点もあり、企業倫理も成熟していると考えております。
ユニリーバ、ロイヤルダッチB、グラクソスミスクライン、ブリティッシュAタバコ・・・とヨダレがでてしまいそうな銘柄オンパレードですが、自身の拙い分析では今一確信がもてない部分もあります(笑)
いつか、Hiro さんの分析をみれる事を楽しみにお待ちしております(^_^)
UGさん、
こちらこそ、ご返信頂きありがとうございます。
いえいえ、とんでもないです。
私はただモーニングスターの財務数値をグラフ化しているだけです。
分析は皆さま一人一人にお任せして、客観的なデータを視覚的に提供しようというのが第一の趣旨ですかね。
ただ数値的な財務分析は普段からやっていることではあるので、少しでも有益な情報書けるようにがんばります!
会社のビジネスの内容とかは本当に無知過ぎるので、ググったりWSJ読んだり四季報読んだりして、何とか文章捻り出している程度です。。
これからブログ書きながら、投資続けながら知識を蓄えていきたいところです。
拙い分析記事で恐縮ですが、年数かけてブラッシュアップしていきたく思います。
確かに欧州には米国企業に全く引けを取らない優良企業がたくさんありますよね!
名前だけは知っている企業ばかりなので親しみが持てます。
2017年版の四季報の1ページ目はロイヤル・ダッチ・シェルなのですが配当利回り7%もあるんですね((+_+))
なんか逆に不安を覚えるくらい高配当ですね~。
時間とって調べてみます。
こんばんは。
やはりアメリカの成熟企業の決算書は凄いですね。
営業CFマージン、世界展開、コーポレートガバナンスの浸透による株主還元
日本の企業からすると別の世界のように思えます。
今は金利上昇でディフェンシブ銘柄の株価が下がっているのだと思いますが
この銘柄に興味がわきましたので様子を見ながら購入を検討してみたいと思っています。
こんばんは。
米国の日用品メーカーと言えばプロクタ-&ギャンブルの名前が先ず上がりますが、このコルゲートもキラリと光る黄金銘柄です。
おっしゃる通り、肝はコーポレートガバナンスですよね。どの企業も優秀な経営者が株主利益を最大化するためにしっかり経営してくれます。
米国CEOの報酬は高額過ぎると批判が出ることがありますが、余計なお世話であって経営を委託している株主が良しとしているならOKです。
資本コストも理解してないような素人に下手な経営されるくらいなら、億単位の報酬払ってでもプロに経営して頂きたいです。
コルゲートも以前と比べるとだいぶ利回りが上がってきました。
金利上昇もあって高配当株の利回りはどれも上がってきましたね。
安心して毎月ゆっくり投資できます。今月は何買おうかな~っと考え中です。
コルゲートって米国株を勉強するようになって知りました。
日本ではライオンなどの歯磨き粉のようが有名ですよね。
日本市場を開拓してないのか、それとも日本企業が強いんでしょうかね。
少し会計の質問させてもらっていいですか?
アメリカの企業は借金をして配当金する企業がありますよね。
ものすごく低い金利で借りることが可能なのが理由で。
昔の記事でその企業がどのくらいの金利で借金してるのかを
財務諸表から割り出してたと思いますが見つからなくて困ってます。
もしよろしければ、財務諸表のどの項目からその企業が
どのくらいの金利で借り入れをしてるのか知ることができるのか教えてもらえますか?
日本株の決算書からいろいろ調べて勉強してみたいと思ってます。
グーグルで調べてもヒットしないです。
よろしくお願いします。
私もコルゲートは米国株投資を始めてから知りました。もっと言うと「株式投資の未来」を読むまで知りませんでした。
まあ、日本ではペットフードで少し参入しているくらいで、歯磨き粉は販売していないので知らなくても無理ないかもです。
日本の花王やライオンが強いからだと思います。
企業の借入金利を推定計算する方法ですが、
支払利息 / 有利子負債平均残高 で算出できます。
支払利息は損益計算書から取れます。
有利子負債とは具体的には、短期借入金、長期借入金、社債です。
有利子負債は平均残高を取って下さい。前期末と当期末の数字を足して2で割ればよいです。
(具体例)
支払利息100
有利子負債前期末2400
有利子負債当期末1600
金利=100/(2400+1600)/2*100=5%
ちなみに日本株であれば、有価証券報告書の後ろに「借入金等明細表」というのがありまして、そこに借入金の利率が記載されてます。
これを見れば短期と長期の借入種類毎の利率まで確認することができますよ。ご参考までに。
ありがとうございます。
ちょうど決算シーズンなのでいろんな企業の借入金を見てみます。
財務諸表ってほんと面白いです。
投資パフォーマンスにはほとんど影響ないんですけど自己満足の世界で興味もってますw
企業の決算書を見て頂けるのは、経理部としては嬉しいです!
先日ご紹介したバフェット・コードを見るのも面白いかもしれません。
会社がやっていることって大抵は有価証券報告書見れば分かります。
ビジネスの結果は必ず最後は数字に表れます。
損失を繰り延べたりしてもいつか必ずボロが出ます。キャッシュフローには即時に反映されます。
ありがとうございます。
土曜日の午前のHiroさんのコメント。
スタバからですか?(笑)
いえ、さっきの返信は自宅からです。
このコメントはスタバからですw。