※FY19(2020年6月期)決算データ反映、コメント刷新
S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。
データソースはMorningstarです。
今回はマイクロソフト(MSFT)をご紹介します。
基本情報
会社名 | マイクロソフト |
ティッカー | MSFT |
創業 | 1975年 |
上場 | 1986年 |
決算 | 6月 |
本社所在地 | ワシントン州 |
従業員数 | 163,000 |
セクター | 情報技術 |
S&P格付 | AAA |
監査法人 | Deloitte |
ダウ30 | 〇 |
S&P100 | 〇 |
S&P500 | 〇 |
ナスダック100 | 〇 |
ラッセル1000 | 〇 |
地域別情報
なぜか情報見当たらず。見つかり次第更新します。
セグメント情報
セグメント別売上構成比

セグメント別売上高推移

セグメント利益推移

セグメント利益率推移

業績


キャッシュフロー

バランスシート
資産

負債純資産

株主還元

連続増配年数
16年
過去10年の配当成長
年率+14.4%
この10年で配当は3.8倍になりました。
過去の株主リターン(年率、配当込み)
過去10年(2010~2019):+20.7%
過去20年(2000~2019):+7.4%
過去30年(1990~2019):+22.2%
バリュエーション指標(2020/8/4時点)
予想PER:31.4倍 最新情報はこちら
配当利回り:1.0% 最新情報はこちら
コメント
マイクロソフトは1975年創業の世界的なソフトウェア開発会社です。
WindowsはPC用OSで圧倒的なシェアを誇っています。1990年代に当時最大のパソコンメーカーだったIBMが自社製品に組み込むOSとしてWindowsを採用し、一気にシェアが拡大しました。表計算ソフトのExcelや文書作成ソフトのWord、プレゼン資料用ソフトのPowerPointなどの業務用ソフトウェアでも世界首位です。また、家庭用ゲーム機のXboxも販売しています。
クラウド事業Azureに力を入れており成長しています。クラウド事業はアマゾン、マイクロソフト、グーグルのIT大手3社が強いです。
自社で開発したソフト「ウィンドウズ」を売ることで儲けてきたのがこれまでのマイクロソフトでしたが、現在はウィンドウズの枠にとらわれずあらゆるプラットフォームで多様なサービスを提供する方向に舵を切っています。それがナデラCEOの戦略であり、大きな成果を上げています。単発売り切りよりも、継続的な課金型(サブスクリプションモデル)の方が収益も安定します。
これまでの主要なM&Aを紹介します。
2011年10月にスカイプを85億ドルで買収しました。以前は仕事でたまにスカイプ使ってましたが、今は専らチームズです。
2016年12月にリンクトインを262億ドル(約3兆円)で買収しました。過去最大規模の買収額となりました。リンクトインはビジネス特化型のSNSで登録ユーザー数は4億人を超えます。転職市場が小さい日本ではマイナーな存在ですが、世界的にはメジャーなSNSです。リンクトインとOfficeとの連携を深めるなどしてシナジーを創出していく戦略のようです。
2018年6月にギット・ハブを75億ドルで買収すると発表しました。ギット・ハブはソフト開発者のソースコードを共有するサイトを運営する企業です。まだ売上規模の小さな企業ですが、75億ドルという大枚を払って買収します。リンクトイン、スカイプに次ぐ過去3番目の規模の大型M&Aです。「オープン・ソース」という今のマイクロソフトの戦略の方向と合致しているという判断でしょう。
2020年8月4日現在、中国発のSNS大手TikTok米国事業の買収が取り沙汰されています。

財務データを見てみましょう。
売上高は成長を続けており、FY17に1,000億ドルを突破しました。
FY19(2020年6月期)の売上高は1,430億ドルで前年比+14%。Azureを含むインテリジェント・クラウド事業が+24%と成長を牽引。Azure単独だと+56%の成長。Officeソフトを含む生産性・ビジネスプロセスが+13%、Windows事業を含むパーソナル・コンピューター事業が+6%でした。
FY19の純利益は443億ドルで前年比+13%。売上伸長率とほぼ同じ利益成長を達成。純利益率は31%。
毎年莫大な営業CF、フリーCFを生み出しています。営業CFマージンは40%を超えています。私が知る限り、これに匹敵するのはビザとマスターカード、フェイスブックくらいです。
バランスシートを見てみましょう。流動資産が多いです。莫大な現預金を保有しているためです。2020年6月末時点で1,365億ドルの現預金(短期運用投資含む)を保有しており、総資産のおよそ半分を占めます。TikTok米国事業の評価額は500億ドル前後と聞きます。資金的な余裕は十分ですね。
DPS(一株当たり配当)は毎年上昇しており、この10年で3.8倍に成長。自社株買いも積極的です。直近5年間の総還元性向は107%で稼いだ利益のすべてを株主に還元しています。
Hiroさん
ブログ拝見しております。ありがとうございます。
質問が1つございます。
業績を見ると、jan16のEPSは2ドルを超えています。
一方でjan-16の株主還元のDPSはグラフを見ると1.4ドル以下です。
配当性向=1株あたりの配当金(DPS)÷1株あたり利益(EPS)×100
として、jan-16の配当性向が100%を超えてしまうのは何故なのでしょうか?
勉強不足ですみません。もし良かったら教えて頂けますと幸いです。
こんばんは。
確かにおっしゃる通りですね。
自分で計算したところ、15年度末の配当性向は65%でした。
ここはモーニングスターの数値をそのままもってきたところでしたが、どうやら数値が誤っているようですね。
大変失礼いたしました。
2016年度データ更新の際に正しく訂正させて頂きます。
取り急ぎ、記事中に注記を記載いたしました。
間違った情報を記載しないように、なるべくエクセルで数式組んで仕組化する努力をしておりますが、どうしても手作業の部分が残っておりミスのリスクは残っています。
ミスないよう細心の注意を払っていきたいと思います。引き続きよろしくお願いします。
貴重なご指摘感謝申し上げます。
ありがとうございました!
P.S.
普通に考えてマイクロソフトの配当性向が100%超って、あり得ないですよね。。失礼しました。m(__)m
返信ありがとうございます。納得いたしました。
ご丁寧にありがとうございました。
Hiro様、
いつもブログ楽しく拝読しています。基本情報のところ、マイクロソフトはナスダック100ではありませんか?ちょっと気になってしまったのでコメントさせて頂きました。
おっしゃる通りです。
記事を修正いたします。
ご丁寧に指摘くださりありがとうございます!
偉そうに指摘してしまい、すみません。いつも本当に勉強になります。たまに書かれているサッカーについてのエントリーも、自分もサッカー好きなので楽しく読んでいます。これからもブログ更新を楽しみにしていますm(_ _)m
いえいえ、とんでもないです。
普段の仕事でもケアレスミスが多いとよく指摘されます。
ましてや、ブログは一人でやっていてダブルチェックなしなので、探せばまだまだ粗だらけだと思いますw。
ご指摘頂けるのは大変助かります。
今後とも何かあればお気づきの点あれば、遠慮なくご連絡ください。
ポドルスキ→イニエスタのゴール美しかったですね!
こんばんは。
AWS専門の方と話す機会があり、AWSとAzureやほかのクラウドは何が違うのですか。
と尋ねたところ
細かな技術的な話は割愛して
「AWSは市場占有率からなる安心感が一番の売り。それ以外の点で、そこまで秀でているポイントはない。」
という衝撃の回答が返ってきましたので、AMZNを持っている身としては、何かのきっかけでAzureが大躍進しないのかとひそかに不安に思っております。
こんばんは。
貴重な情報ありがとうございます。
クラウド上には大切な企業情報が保存されるわけなので、ブランド力的なものが効いてくるのですかね。
巨大な企業の方がセキュリティに掛けられるお金も多そうですし。
マイクロソフトのAzureは、オフィスソフトなど既存のソフトウェアとの連携を高めて差別化を図るというのを聞いたことあります。
ただ、これが具体的に何を意味しているのかよくわかってませんが。
各社の数字を見てクラウド事業がいかに高収益なのかよくわかりました。
どおりで、アマゾンが参入するわけですね。
こんばんは。
セキュリティでいえばAWSが一番セキュリティにかける投資額が大きいそうです。
逆にGoogleが一番少ないそうで。
もちろんGoogleほどの企業がセキュリティ上の問題を起こす確率はほぼ0でしょうけどね(無条件に信じられるとはやっぱりブランドはすごいですね)
私もオフィスソフトなどの連携云々はよくわかりませんが、office365などほかのマイクロソフト製品と抱き合わせでAzureのライセンス料金を減らす形での導入というのはよく聞く話です。
財務上だけでなく現場から見てもクラウドは凄いですね。
どこの勉強会や展示会に行ってもクラウドクラウドクラウドクラウドクラウドおおおおおおおおお
ですよ(笑)
ここ数年はクラウド企業に投資しておけばサルでもアウトパフォームできるんじゃないかと思ってしまいます。
こんばんは。
投資という意味では、アマゾンの様な高PERの無配企業は有利ですよね。
利益をクラウド事業にいくらつぎ込んでも、株主は許容できるでしょう。
逆にIBMのような有配企業(しかも高配当)となると、投資と還元のバランス感覚が求められます。
有事の際は無配に戻ることも選択肢としてあると思いますが、アメリカ資本主義の文化としてなかなか難しい面があります。
なるほど~、Office365との抱き合わせはありそうですね。
多少料金減っても、原価が事実上ゼロみたいなもんですから、マージンは高く維持できます。
>どこの勉強会や展示会に行ってもクラウドクラウドクラウドクラウドクラウド・・・
そうですか~、経理にいる私ではわからないことです。
生の声をありがとうございます。
企業の情報をクラウド化するって、わかるようでわかってないところがありまして。
たとえば、今うちの会社では、日本のとある場所にあるサーバーに会計情報を保管しています。
そこから、いつでもリアルタイムで誰でも(権限があれば)会計数字を取得できます。
エクセルファイルなどももちろん、個人PCではなくサーバーに保管しています。
で、たまに思うんです。
「今のサーバーとクラウドって何が違うんだろう??」って。
先日、某コンサルタントの方に「次回に連結会計システムのアップデートでは、オラクルHFMがクラウド化します」って言われました。
これで一体何が変わるのかよく理解できず・・。
というわけで、個人的にもう少し勉強したい分野です、クラウドは。
私、基本ハイテク音痴なので、この方面への投資はいつも慎重になります。
おはようございます。
そうですね。
IBMが無配になるような事態になれば、IBM持ってない身としては凄く面白く感じると思います(笑)
永遠の不発弾がとうとう爆発するのか、はたまた不発のまま消滅するのか…
>企業の情報をクラウド化するって、わかるようでわかってないところがありまして
データを格納する場所が違うだけですね。
レンタカーとマイカーを想像していただけるとわかりやすいです。
クラウドはいわばレンタカーで、基本的に使った分だけ料金を払えばいいですし、導入コストもデータセンターよりもかかりません。
さらに増設も容易で拡張性も高く、セキュリティ等煩わしいことも一切ありません。
逆にデータセンターは稼働率がそれなりであればクラウドより安くつきますし、カスタマイズなども自由です。
昔はデータセンターしか選択肢がありませんでしたが、技術の進歩でクラウドが発達した今、お堅いところ以外はわざわざマイカーを持たなくてもよいということなのでしょう。
oracleHFMのクラウド化は別の思惑も感じられますが…
>レンタカーとマイカーを想像していただけるとわかりやすいです。
なるほど~、めっちゃ分かりやすいです!ありがとうございます。
そうか、私はデータを使う立場の人間だから、サーバーでもクラウドでも違いに気付かないのか。
それは、マイカーでもレンタカーでも車自体は変わらないのと一緒ですね。
外観を見ても運転しても、マイカーとレンタカーは一緒ですものね。
サーバーもクラウドもデータを格納する場所は同じで、それが自社保有データセンターなのかレンタルなのかの違いということか。
オフィスも賃貸が主流ですし、データ保管場所も賃貸でいいよねって話ですね。
あ、なんかスッと理解できました。
そうすると新たにデータセンターを作るくらいなら、クラウドを利用した方がよさそうですが、すでに自前のデータセンターにある情報をわざわざクラウド化する必要もないかもな~と思いました。
それを聞くと、すでに自社データセンターに格納している会計データをクラウド化する意味がますますわからなくなりました。
コストの問題でしょうか。でもデータ移行にはそれなりの工数とお金が掛かるし、リスクもある気がします。
>oracleHFMのクラウド化は別の思惑も感じられますが…
意味深な言葉で締めますねw