※2018年12月期決算データ反映、コメント刷新(2019/2/11)

S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はフィリップ・モリス・インターナショナル(PM)をご紹介します。

基本情報

会社名 フィリップ・モリス・インターナショナル
ティッカー PM
創業 1987年
上場 2008年
決算 12月
本社所在地 ニューヨーク州
従業員数 77,400
セクター 生活必需品
S&P格付 A
監査法人 PwC

 

ダウ30 ×
S&P100
S&P500
ナスダック100 ×
ラッセル1000

地域別売上構成比

セグメント別売上構成比

業績

キャッシュフロー

バランスシート

資産

負債純資産

株主還元

連続増配年数

11年

過去10年の配当成長

年率+11.3%

この10年で配当は2.9倍になりました。

過去の株主リターン(年率、配当込み)

過去10年(2009~2018):+13.5%

バリュエーション指標(2019/2/11時点)

予想PER:15.2倍 最新情報はこちら

配当利回り:5.7% 最新情報はこちら

コメント

フィリップ・モリス・インターナショナル(PM)は、スイスのローザンヌに本社を置く売上高世界2位のたばこ会社です。かつては世界トップでしたが、レイノルズ・アメリカンを買収したブリティッシュ・アメリカン・タバコが現在は世界最大のたばこ会社となっています。

2008年に米アルトリア・グループの米国外事業が分離してできた会社です。米国は訴訟社会でFDA(アメリカ食品医薬品局)の規制も厳しいです。これら不確定要因を切り離すために米国外事業を分離しました。

米国を除くアジア、欧州など32カ国でビジネスを展開しています。売上の35%がオーストラリアを含むアジアで、31%が欧州です。他、中東アフリカ、ラテンアメリカとグローバルでビジネスを展開しています。

開示セグメントは以下の2つです。
・可燃タバコ
・リスク低減製品(RRPs)

可燃タバコとは所謂紙巻きタバコということでしょう。フィリップモリスは将来的にはすべて加熱式タバコに移行すると表明していますが、現状ではまだ売上高の86%が紙巻きたばこです。主なブランドに「マールボロ」、「L&M」、「チェスターフィールド」、「ラーク」、「パーラメント」などがあります。

リスク低減製品(Reduced-Risk Products)は加熱式タバコユニットのことで、具体的にはアイコスとその関連製品です。私の同僚の感想によると、アイコスは紙巻きたばこに比較的近い味になっているようです。「今から紙巻きたばこに戻るなんてあり得ない」と言っていました。PM株主としては嬉しい感想です。現在アイコスは25カ国以上で販売されています。

財務データを確認しましょう。

売上高は過去10年、250億ドル~300億ドルのレンジで推移しています。タバコは衰退ビジネスと言われますが(事実そうですが)、PLを見れば収入は横ばいを維持していることがわかります。粗利率は平均65%と高いです。ちなみに、比較してよいかわかりませんがコカ・コーラ社の粗利率は約60%です。やはりタバコは儲かる。これでも多額のタバコ税を差し引いた後ですから恐ろしい・・。

ROEのグラフがFY12から底に張り付いていますが、純資産がマイナスとなりROE算定不能になっているためです。

FY18(2018年12月期)の売上高は296億ドルで前年比+3%と微増。販売本数は減少しましたが、販売単価が上昇し増収を確保。マールボロの2018年出荷量は2644億本と、2017年の2703億本から減少しました。

FY18の純利益は79億ドルで前年比+31%の大幅増益。2017年に一時的な税金費用を10億ドル以上計上しており、増益率が大きく見えています。実質的には、純利益は売上高の伸びと同程度の成長と見ています。

キャッシュフローは美しいですね。毎年多額の営業CFを荒稼ぎしています。営業CFマージンは30%超。設備投資が少なくて済むのでフリーCFも潤沢です。空からドル紙幣がパラパラと落ちてくる感じ。それくらい稼いでいる印象です。

バランスシートを見てましょう。流動資産と固定資産が半々です。流動資産はキャッシュと棚卸資産です。固定資産はタバコを製造するための工場設備と、過去のM&Aによって発生したのれんが主です。

調達側(BSの右側)を見て目立つのがマイナスの純資産です。安定キャッシュを武器に積極的な株主還元を続けてきた結果、純資産はマイナスになっています。純資産がマイナスとはつまり債務超過状態ということで、一般的には好ましいことではありません。しかし、PMは営業CFが潤沢なのでここまで純資産を切り崩しても問題になりません。

配当は一貫して増え続けています。配当利回りは2019年2月現在5.7%もあります。ただし、配当性向は90%近くあって増配余地は限られます。限界まで配当で株主に還元しています。自社株買いは直近4年(FY15~FY18)はほぼゼロ。配当で精一杯で自社株買いの余裕は当面はないでしょう。