※2021年12月期決算データ反映、コメント刷新

S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はフィリップ・モリス・インターナショナル(PM)をご紹介します。

基本情報

会社名フィリップ・モリス・インターナショナル
ティッカーPM
創業1987年
上場2008年
決算12月
本社所在地ニューヨーク州
従業員数69,600
セクター生活必需品
S&P格付A
監査法人PwC
ダウ30×
S&P100
S&P500
ナスダック100×
ラッセル1000

地域別情報

地域別売上構成比

地域別売上高推移

セグメント情報

セグメント別売上構成比

セグメント別売上高推移

業績

キャッシュフロー

バランスシート

資産

負債純資産

株主還元

連続増配年数

13年

過去10年の配当成長

年率+5.7%

この10年で配当は1.7倍になりました。

過去の株主リターン(年率、配当込み)

過去10年(2012~2021):+6.9%
設立以来(2009~2021):+11.3%

バリュエーション指標(2022/2/14時点)

予想PER:16.4倍 最新情報はこちら

配当利回り:4.6% 最新情報はこちら

コメント

フィリップ・モリス・インターナショナル(PM)は、スイスのローザンヌに本社を置く売上高世界2位のたばこ会社です。かつては世界トップでしたが、レイノルズ・アメリカンを買収したブリティッシュ・アメリカン・タバコが現在は世界最大のたばこ会社となっています。

2008年に米アルトリア・グループの米国外事業が分離してできた会社です。米国は訴訟社会でFDA(アメリカ食品医薬品局)の規制が非常に厳しいです。事業上野不確定要因を切り離すために米国外事業を分離しました。

米国を除くアジア、欧州など32カ国でビジネスを展開しています。売上高全体の約半分がヨーロッパ、アジアが3割、中東アフリカ1割、その他という構成です。

開示セグメントは以下の2つです。
・可燃タバコ
・リスク低減製品(RRPs)

可燃タバコとは所謂紙巻きタバコです。将来的にはすべて加熱式タバコに移行すると表明していますが、現状ではまだ売上高の76%が紙巻きたばこです。主なブランドに「マールボロ」、「L&M」、「チェスターフィールド」、「ラーク」、「パーラメント」など。

リスク低減製品(Reduced-Risk Products)は加熱式タバコユニットのことで、具体的にはアイコスとその関連製品です。

財務データを確認しましょう。

FY21の売上高は314億ドルで前年比+9.4%。為替、M&Aの影響を除いても+6.4%の成長でした。

半導体不足が供給を一部制限したものの、IQOSが成長を牽引しました。紙巻きタバコの売上高は前年比+1.5%でしたが、加熱式たばこ(IQOS)は+34%でした。

加熱式タバコ好調によるミックス改善、販売単価上昇、製造コスト削減によって粗利率は前年66.7%から68.1%に改善。純利益は91億ドルで前年比+13%。営業利益も+11%と増益。

営業CFマージンは38%と過去最高。

流動資産と固定資産が半々です。流動資産はキャッシュと棚卸資産です。固定資産はタバコを製造するための工場設備と、過去のM&Aによって発生したのれんが主です。

調達側(BSの右側)を見て目立つのがマイナスの純資産です。安定キャッシュを武器に積極的な株主還元を続けてきた結果、純資産はマイナスになっています。

今年株価は上がっていますが、それでも配当利回りは4.6%と米国債利回り(10年)の2倍超あり魅力的。FY21は僅かですが2014年以来の自社株買いを行いました。

金利上昇が懸念される中、低PERでかつ価格決定力のあるビジネスを持っているフィリップモリスは比較的安心してホールドできる銘柄だと思います。