S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はテスラ(TSLA)をご紹介します。

基本情報

会社名テスラ
ティッカーTSLA
創業2003年
上場2010年
決算12月
本社所在地カリフォルニア州
従業員数48,817
セクター一般消費財
S&P格付B-
監査法人PwC
ダウ30×
S&P100×
S&P500×
ナスダック100
ラッセル1000

地域別売上構成比

セグメント別売上構成比

業績

キャッシュフロー

バランスシート

資産

負債純資産

株主還元

なし

連続増配年数

なし

過去10年の配当成長

なし

過去の株主リターン(年率、配当込み)

上場以来(2011~2018):+37.12%

バリュエーション指標(2019/6/2時点)

予想PER:30.9倍 最新情報はこちら

配当利回り:0% 最新情報はこちら

コメント

テスラはイーロン・マスク氏が2003年に設立した、シリコンバレーを拠点とする電気自動車(EV)メーカーです。ガソリン車は1台も販売しておらず、自動車販売はEVのみです。この点、GMやフォードなど他のメーカーと大きく異なる点です。つまり、テスラはEV事業で黒字を確保しないと資金が回らないということです。

現在販売している車種は3つあります。2012年発売の5ドアセダンのモデルS、SUVタイプのモデルX、2016年発売のセダンタイプのモデル3です。モデル3はつい最近日本でも受注受付が始まりました。お値段は500万円以上。自動運転など諸々のオプションを付けたら600万円を超えます。高級車ですね。余裕のあるお金持ちじゃないと手が出ない代物です。

売上高の約7割は北米ですが、中国も重要な市場の一つです。上海に工場を建設して現地生産を行っています。中国政府は現地生産のEV一台につき約3,600ドルの補助金を支給しています。

後述しますが、利益・キャッシュフローともに赤字状態です。モデル3の量産体制をスムーズに進めて、営業黒字を達成できる体質にならないと債務負担で苦しくなりそうです。

財務データを見てみましょう。

売上高は倍々ゲームで増えています。一方で、利益は出ていません。FY09~FY18のデータを拾いましたが、営業利益、税引き後利益ともに黒字になった年度はまだ一度もありません。債務調達と増資によって何とか資金を繋げている状態なのがわかります。

FY18の売上高は214億ドルで前年比+82%と大幅増収。モデル3の納入台数が245,506台と前年比で2倍超に増加しました。なお、同生産台数は254,530台でした。

FY18の純利益は▲9億ドルと赤字。粗利率は20%程度と他の自動車メーカーと同等ですが、研究開発費やマーケティング費用まで回収することはできず、営業赤字です。当面これらの投資を過度に抑制することは困難と思われるので、黒字を達成するには粗利率を向上させるしかありません。現在の生産台数で粗利率20%というのはEVの収益性の高さを感じます。モデル3の量産体制が整えば、粗利率はトヨタ自動車を超えそうです。まあ安いのでも1台500万円以上しますからね~。

キャッシュフローもPLと同じく厳しいです。フリーCFはマイナスが続いています。FY18は営業CFがFY13以来の黒字転換しましたが、損益がマイナスである以上楽観はできません。生産高と出荷高のバランスで営業CFは一時的にプラスになっている可能性が高いです。社債で資金を調達しているものの、過去の債務の返済もあり財務CFはトントンです。綱渡りの資金繰りです。

バランスシートを見てみましょう。約3割を占める流動資産は現預金と在庫です。固定資産は工場、生産設備、太陽光エネルギーシステム等の有形固定資産です。自己資本比率は17%で資本の大半を負債で賄っていることがわかります。50億ドル超の累積損失が純資産を食い潰しています。有利子負債は100億ドルを超えており、これは売上高の約半分に相当する規模です。

無配です。株主還元にお金を回す余裕はありません。

ここまで見てきた通りテスラは赤字ですが、2020年予想EPS6ドルに基づくPERは30倍超です。このまま現金燃焼が続けば、現在の高い評価額は持続不能に見えます。