FRBは社債市場を気にかけているのかも

新型コロナウイルスの感染拡大によって経済活動が停滞しているとは言え、FRBここまで思い切ってカードを切ってくるとは思いませんでした。3月3日に0.5%、そして昨日15日に1.0%も金利を引き下げてきました。予想を超える利下げ幅です。7000億ドル規模の資産買入れも行います。

なぜ、FRBはこれほど急いで金融を緩和しているのか?

流動性危機を起こさないためです。健康、安全が第一なので、経済活動が一時停止になるのは仕方ないこと。しかし、マネーの流れを止めるわけにはいきません。お金はよく経済の血液と言われます。そのたとえは的を射ています。どれだけ重症でも、人工肺や人工心臓を使ってでも血液を循環させないと経済は崩壊してしまいます。

営業が縮小している航空会社や飲食店の資金繰りにリスクがあるのは自明ですが、FRBはもっと幅広く信用危機が広がることを懸念しているかもしれません。なるべく、銀行が低利で信用供与できる環境を整えているように思います。

そのリスクがあると以前から言われているのが社債市場です。コロナ問題が明るみになる前から、ジェフリー・ガンドラック氏は社債市場に警鐘を鳴らし続けています。

以下は、格付け毎の社債発行残高推移です。

(ウォールストリートジャーナルより)

ジャンク債一歩手前のBBB格付けの社債が凄い勢いで増えています。これが危ないとガンドラック氏は言います。いつか金利が上がって、BBB格付けの社債がジャンク級扱いになれば、企業の資金調達コストが急上昇します。自社株買いができなくなるのはいいとしても、事業継続に必要な運転資金の調達コスト上昇は業績の大きな重しになります。

リスクオフ相場で国債利回りは下がっていますが、社債利回りは一部上昇が見られるそうです。そんなブルームバーグの報道を最近見ました。

相対的に信用リスクの高い企業

そんなわけで、信用リスクには要注意かなと思っています。以下、相対的に財務リスクの高いBBB格付けの主要米国企業を紹介します。

ロッキードマーティン(LMT)
フェデックス(FDX)
デルタ航空(DAL)
フォード・モーター(F)
ゼネラル・モーターズ(GM)
マリオット・インターナショナル(MAR)
マクドナルド(MCD)
ブッキング・ホールディングス(BKNG)
CVSヘルス(CVS)
ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス(WBA)
モンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)
アボットラボラトリーズ(ABT)
シティ・グループ(C)
アメリカン・エキスプレス(AXP)
モルガン・スタンレー(MS)
ゴールドマン・サックス・グループ(GS)
AIG(AIG)
ペイパル(PYPL)
イーベイ(EBAY)
エヌビディア(NVDA)
AT&T(T)
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)
フィリップス66(PSX)
インターナショナル・ペーパー(IP)
サウスウエスト航空(LUV)
クローガー(KR)
コンステレーション・ブランズ(STZ)
ゼネラルミルズ(GIS)
クラフトハインツ(KHC)
キャンベル・スープ(CPB)
ケロッグ(K)
JMスマッカー(SJM)
マコーミック(MKC)
ベクトン・ディッキンソン(BDX)
ボストン・サイエンティフィック(BSX)
セルジーン(CELG)
アラガン(AGN)
ブロードコム(AVGO)

これらの企業が即危ないとかそういう意味ではないです。が、ジャンク債直前なので信用コストが急増するリスクがあるという点は覚えておいて損はないと思います。

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