※2019年12月期決算データ反映、コメント刷新

S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はAT&T(T)をご紹介します。

基本情報

会社名AT&T
ティッカーT
創業1983年
上場1983年
決算12月
本社所在地テキサス州
従業員数251,840
セクター電気通信
S&P格付BBB+
監査法人EY
ダウ30×
S&P100
S&P500
ナスダック100×
ラッセル1000

セグメント情報

セグメント別売上高構成比

セグメント売上高推移

セグメント利益推移

セグメント利益率推移

業績

キャッシュフロー

バランスシート

資産

負債純資産

株主還元

連続増配年数

35年

過去10年の配当成長

年率+2.0%

この10年で配当は1.2倍になりました。

過去の株主リターン(年率、配当込み)

過去10年(2010~2019):+9.2%
過去20年(2000~2019):+0.3%
過去30年(1990~2019):+5.3%

バリュエーション指標(2020/3/6時点)

予想PER:10.0倍 最新情報はこちら

配当利回り:5.7% 最新情報はこちら

コメント

AT&Tはグラハム・ベルが1876年に設立した電話会社が前身の総合通信事業会社です。かつてアメリカ・カナダの電話事業を独占していたことから1974年に反トラスト法で訴訟を起こされ、結局1984年に各地域会社に分割されました。2005年に昔傘下にあったSBCコミュニケーションズに買収され今のAT&Tとなりました。ブランド自体は”AT&T”が残り続けていますが、2005年を以ってベルが設立したAT&Tは終焉を迎えたことになります。

売上高の9割以上が米国内です。
主な報告セグメントは以下の2つ。
・通信
・ワーナーメディア

通信部門はワイヤレス通信、エンターテインメント、有線通信の3つに細分化されます。エンターテインメント部門は、一般家庭にインターネット、音声通信サービスを提供している事業です。

FY17までは通信部門のみでしたが、FY18より新たにワーナーメディアというセグメントが開示されています。約850億ドルで買収したタイムワーナーの事業がここに含まれます。反トラスト法問題がありましたが、買収は承認されました。CNNなどを持つターナー部門、有料ケーブルテレビ局のHBO、映画やビデオゲームの制作を担うワーナーブラザーズの3部門に分かれます。

通信インフラは常に需要がある安定ビジネスではありますが高い成長は望めません。ワイヤレス通信市場はすでに飽和状態で、業界トップのAT&Tとベライゾンはそれぞれ将来の成長の種を蒔くべく努力しています。iPhoneの販売台数が頭打ちになっていることから分かる通り、携帯電話・スマホ市場は飽和気味です。AT&Tは次の成長エンジンとして、コンテンツビジネスに活路を見出しています。

2015年に衛星放送大手のディレクTVを買収しました。また、前述の通りタイムワーナー買収が今年2019年に当局承認となりました。2つの買収合わせて15兆円近い規模です。AT&Tの資金力を考えても、かなり思い切った投資です。

財務データを確認しましょう。

売上高はこの10年緩やかな右肩上がりですが、ディレクTV、タイムワーナーの買収が寄与しており、オーガニックではほぼ横ばいです。

FY19の売上高は1,812億ドルで前年比+6%。前年はタイムワーナーの業績が年間フルでの連結対象ではなかったですが、FY19は通期で寄与しました。通信部門は1%の減収。実質的な成長はほぼないと見ています。

FY19の純利益は139億ドルで前年から28%の減益。利益率の高いワーナーメディアの通年連結によって、本業のみを対象とする営業利益は13%伸長。

営業CFは安定しています。通信ネットワークはもはや生活必需品。ただし一定の設備投資が必要になるので、営業CFに比べてフリーCFはやや少な目です。営業CFマージンは27%超。

バランスシートを見てみましょう。総資産のうち80%超が固定資産です。これは主に2つあります。1つが基地局やその周辺設備などの有形固定資産です。もう一つが無形資産で、これは恐らくFCC(アメリカ通信連邦委員会)ライセンスだと思われます。

連続増配35年の配当貴族。ただ増配率は低いです。この10年の増配率は2%とインフレに追い付く程度。配当利回りは5.7%と高いです。