※2020年12月期決算データ反映、コメント刷新

S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はAT&T(T)をご紹介します。

基本情報

会社名AT&T
ティッカーT
創業1983年
上場1983年
決算12月
本社所在地テキサス州
従業員数230,760
セクター電気通信
S&P格付BBB+
監査法人EY
ダウ30×
S&P100
S&P500
ナスダック100×
ラッセル1000

地域別情報

地域別売上構成比

地域別売上高推移

セグメント情報

セグメント別売上高構成比

セグメント売上高推移

セグメント利益推移

セグメント利益率推移

業績

キャッシュフロー

バランスシート

資産

負債純資産

株主還元

連続増配年数

36年

過去10年の配当成長

年率+2.1%

この10年で配当は1.2倍になりました。

過去の株主リターン(年率、配当込み)

過去10年(2011~2020):+5.5%
過去20年(2001~2020):- 0.9%
過去30年(1991~2020):+4.7%

バリュエーション指標(2021/4/3時点)

予想PER:9.5倍 最新情報はこちら

配当利回り:6.9% 最新情報はこちら

コメント

AT&Tはグラハム・ベルが1876年に設立した電話会社が前身の総合通信事業会社です。かつてアメリカ・カナダの電話事業を独占していたことから1974年に反トラスト法で訴訟を起こされ、結局1984年に各地域会社に分割されました。

2005年に昔傘下にあったSBCコミュニケーションズに買収され今のAT&Tとなりました。ブランド自体は”AT&T”が残り続けていますが、2005年を以ってベルが設立したAT&Tは終焉を迎えたことになります。

売上高の9割以上が米国内です。
主な報告セグメントは以下の2つ。
・通信
・ワーナーメディア

通信部門はワイヤレス通信、エンターテインメント、有線通信の3つに細分化されます。エンターテインメント部門は、一般家庭にインターネット、音声通信サービスを提供している事業です。

FY17までは通信部門のみでしたが、FY18より新たにワーナーメディア部門が開示されています。約850億ドルで買収したタイムワーナーの事業がここに含まれます。CNNなどを持つターナー部門、有料ケーブルテレビ局のHBO、映画やビデオゲームの制作を担うワーナーブラザーズの3部門に分かれます。

通信インフラは常に需要がある安定ビジネスではありますが高い成長は望めません。ワイヤレス通信市場はすでに飽和状態。AT&Tは次の成長エンジンとして、コンテンツビジネスに活路を見出しています。

財務データを確認しましょう。

FY20の売上高は1,718億ドルで前年比▲5%。すべてのセグメントで減収。通信部門は▲2%。ワーナーメディアはCOVID-19の逆風もあって▲14%と大幅減収。

FY20の純損益は▲51.7億ドルで赤字でした。衛星放送ディレクTVを含むプレミアテレビ事業で155億ドルの減損を計上。

減損はノンキャッシュチャージ。営業CFマージンは25%と高水準をキープ。

総資産のうち80%超が固定資産です。これは主に2つあります。1つが基地局やその周辺設備などの有形固定資産です。もう一つが無形資産で、これは恐らくFCC(アメリカ通信連邦委員会)ライセンスだと思われます。

連続増配36年の配当貴族。ただ増配率は低いです。この10年の増配率は2%とインフレに追い付く程度。配当利回りは7%と高いです。自社株買いは多くありません。