※構成銘柄等の情報を最新にアップデート、コメント刷新(2018年10月3日)
ジェレミー・シーゲル氏は著書『株式投資の未来』の中で、20世紀後半に高リターンを残したセクターとして、生活必需品・ヘルスケア・エネルギーの3つを挙げています。その中でも特段パフォーマンスが良かったのがヘルスケアです。
日本を初め先進国共通の課題である高齢化。癌や生活習慣病の患者数は上昇し続けると予想され、ヘルスケアセクター企業の業績は今後も伸びると期待できるでしょう。
ただ、医薬品の開発はリスクが高く、数千億円かけた新薬開発投資もFDAの判断一つで水の泡となる可能性もあります。特定銘柄への集中投資はなるべく避けたいところです。
そんなヘルスケアセクターの有力米国企業にまとめて投資できるETFが、ヘルスケア・セレクト・セクター SPDR® ファンド(XLV)です。
XLVの紹介をします。
XLVはこんなETF
概要
ヘルスケア・セレクト・セクター指数の値動きと利回りに、経費控除前で概ね連動する投資成果を上げることを目標としています。
経費率
0.13%
組入銘柄数
64銘柄
上位構成銘柄
ティッカー | 銘柄名 | 比率 |
JNJ | ジョンソンエンドジョンソン | 10.1% |
UNH | ユナイテッド・ヘルス・グループ | 7.0% |
PFE | ファイザー | 7.0% |
MRK | メルク | 5.1% |
ABBV | アッヴィ | 3.8% |
AMGN | アムジェン | 3.6% |
MDT | メドトロニック | 3.6% |
ABT | アボット・ラボラトリーズ | 3.5% |
LLY | イーライリリー | 2.8% |
BMY | ブリストル・マイヤーズ・スクイブ | 2.8% |
GILD | ギリアド・サイエンシズ | 2.7% |
TMO | サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック | 2.7% |
CVS | CVSヘルス | 2.2% |
ANTM | アンセム | 1.9% |
BDX | ベクトン・ディッキンソン | 1.9% |
BIIB | バイオジェン | 1.9% |
DHR | ダナハー | 1.8% |
AET | エトナ | 1.8% |
ISRG | インテューイティブ・サージカル | 1.8% |
CELG | セルジーン | 1.7% |
AGN | アラガン | 1.7% |
SYK | ストライカー | 1.5% |
BSX | ボストン・サイエンティフィック | 1.5% |
ESRX | エクスプレス・スクリプツ・ホールディング | 1.4% |
ILMN | イルミナ | 1.4% |
上位10社構成割合:49%
上位25社構成割合:77%
(ティッカーをクリックすると銘柄分析記事に飛びます。)
産業別構成比
売買回転率
4%
分配金利回り
1.4%
過去10年リターン
年率14.6%(配当込み)
コメント
米国ヘルスケア業界を代表する優良企業のオンパレードです。
10%を占めるジョンソン&ジョンソン(JNJ)は、医薬品と医療機器両方で高い市場シェアを誇るヘルスケアの総合デパート的な存在です。NYダウ銘柄で医療保険最大手のユナイテッドヘルス・グループ(UNH)、製薬業界の巨人ファイザー(PFE)、メルク(MRK)、アッヴィ(ABBV)が上位にいます。医療機器メーカー大手のメドトロニック(MDT)とアボットラボラトリーズ(ABT)がその後に続きます。
経費率は0.13%とS&P500ETFほどではないものの、十分長期保有に耐えられる水準です。
分配金利回りが1.4%とS&P500平均を下回ります。大手医薬品メーカーには利回りが3%~4%ほどもある高配当銘柄も多いです。構成割合トップのJNJの利回りは2.6%あります。
にもかかわらず、ここまでXLVの利回りが低いのは、無配ないし低利回りの銘柄も多いからです。バイオ医薬大手のセルジーン(CELG)、バイオジェン(BIIB)、心臓カテーテル等の取り扱うボストンサイエンティフィック(BSX)などはまだ無配です。
21世紀も引き続き、ヘルスケアセクターの投資リターンは市場平均を超える可能性が高いと思います。XLVに投資することで、医薬品・医療機器のみならず、医療保険からバイオ医薬、薬局、薬剤給付管理(PBM)まで幅広くヘルスケアセクター全体に投資できます。
ヘルスケアは私が米国株に興味を持つに至ったセクターです。
XLVは私の主力銘柄ですが、ヘルスケアセクターは日本株においても
長期的にみて日経平均を超過するリターンをだしているので心配はしていないです。
むしろ低パフォーマンス著しいVDCのほうが気になりますが、
今がいい買い時なのかなと思ってコツコツ買い増しています。
ヘルスケアセクターって日本株でも市場平均を超えているのですね。
それは知りませんでした。
日本のヘルスケアと言えば、武田薬品、アステラス製薬、大塚製薬、HOYA、塩野義、オリンパスなどですね。
製薬や医療機器ビジネスが長期投資に強いのは、普遍的な理由があるということですね。
やはり景気に左右されずに安定してキャッシュを生み出せるからだでしょうね。
大手製薬メーカーは、一見すると臨床試験リスクを抱えていて投資リスクが高いように見えますが、長い歴史の中で培ってきた特許技術の複合は世間が思っている以上に永続的な競争力をもたらしていると思います。
VDCは最近やや不調ですね。主力メンバーのPGやPM、MOが落ちてますので。
長期的に見れば”買い”だと思います。
いつも楽しく学ばせていただいてます。
ヘルスケア関連の業界で働いていることもあり、ヘルスケアセクターは注目しています。
XLVとVHTではどちらが投資妙味があると思われますでしょうか?
いつもありがとうございます。
VHTはバンガードのヘルスケアETFですね。
こちらもXLVと遜色ない優良商品です。
特徴としては、XLVより構成銘柄数が多くより分散されている点です。
また、経費率がVHTの若干安いです。
投資妙味についてはどちらもそれほど大差ありませんが、過去10年リターンではややVHTが上回ります。
甲乙つけ難く、個人の好みで選んでよいかな~と思います。
ちなみに、私は大型株の構成割合が多いXLVの方が好きです。
Hiro さん
ETF情報の更新、有難うございます。
仕事柄、ヘルスケア分野に注目していますが……ヘルスケア分野の発展はIT分野の発達の恩恵を特に授かった産業分野だと思います。
ヘルスケアとIT分野のETFの組み合わせなども考えてみたいと思っています。
いつも有難うございます
ETFの情報更新かなりサボってきました。
セクター整理がありましたし、ちょっと記事の整理をします。
記事化していないセクターETFも結構あった気がしますし。
Yabochanさん投資予定のQQQもアップデートしますね。
ヘルスケアはITに絡んだベンチャー投資がかなり活発で、うがった見方をすれば「成長の罠」にはまる可能性もゼロじゃないです。
なのでバリュエーションは常に要チェックです。
とは言え、大手ヘルスケア銘柄に過熱感は今はまだありませんから大丈夫だと思います。
ヘルスケアとITって相性いいですよね。
特に画像診断とAIは相性がよく、元気なベンチャー企業がいます。
具体的にはたとえば米国のViz.ai、日本のエルピクセルなどです。