※2018年12月期決算データ反映、コメント刷新(2019/3/8)

S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はアッヴィ(ABBV)をご紹介します。

基本情報

会社名アッヴィ
ティッカーABBV
創業2012年
上場2013年
決算12月
本社所在地イリノイ州
従業員数約3万人
セクターヘルスケア
S&P格付A
監査法人EY
ダウ30×
S&P100
S&P500
ナスダック100×
ラッセル1000

地域別売上構成比

製品種類別売上構成比

業績

※FY18は純資産マイナスでROE算定不能

キャッシュフロー

バランスシート

資産

負債純資産

株主還元

連続増配年数

46年

※分社化前アボット・ラボラトリーズ時代を含む年数

過去5年の配当成長

年率+17.5%

この5年で配当は2.2倍になりました。

過去の株主リターン(年率、配当込み)

上場以来(2013~2018):+24.4%

バリュエーション指標(2019/3/8時点)

予想PER:8.3倍 最新情報はこちら

配当利回り:5.5% 最新情報はこちら

コメント

アッヴィは2013年にアボット・ラボラトリーズから分社化され設立された、世界的なバイオ医薬品会社です。アッヴィ自体は新しい会社ですが、元をたどれば創業100年超の伝統ある企業です。なお、アボット・ラボラトリーズは20世紀後半に株主リターンが高かった企業として『株式投資の未来』にも取り上げられています。

売上高の66%が米国です。次いで多いのが日本で5%を占めます。

事業セグメントは医薬品のみ。リウマチ、胃腸疾患、血液がん、C型肝炎、HIV、神経障害(パーキンソン病など)といった難病の解消に取り組んでいます。

抗リウマチ薬の「ヒュミラ」という大型商品を持っており、この1医薬品でアッヴィの売上高の61%を占めます。米国では特許期間が2016年に失効していますが、2016年以降も依然としてヒュミラの売上高は堅調を維持しています。とは言え、バイオシミラー(後発薬)の脅威があるのは間違いないでしょう。

2015年にがん治療薬のファーマサイクリックス社を210億ドルで買収しました。血液がん治療薬の「インブルビカ」は、「ヒュミラに」次ぐ売上規模を誇ります。この2つの医薬品で全売上高の7割以上を占めます。

財務データを見てみましょう。

この10年、売上高は右肩上がりに増加しています。粗利率は75%~80%のレンジで高収益です。製薬業界は最もコストが掛かる研究開発費が売上原価を構成しないので、そもそも粗利率が高くなりがちですが、それを踏まえても高マージンだと感じます。ファイザーと同程度です。

FY18の売上高は327億ドルで前年比+16%。「ヒュミラ」が米国、米国外ともに販売を伸ばしました。「ヒュミラ」のFY18販売収入は199億ドルで前年比+8%。特許切れにもかかわらず売上を維持していますが、バイオシミラーにシェアを奪われており、FY19は米国外では減収傾向と会社が発表しています。現在のアッヴィの業績は「ヒュミラ」が支えていると言っても過言ではないので、今後の販売状況は要チェックです。

FY18の純利益は57億ドルで前年比+7%。無形資産(仕掛研究開発費)の減損処理、税制改正関連の特別利益など、色々と特殊要因はありましたが、結局はほぼ前年並みの数字に落ち着いています。うむ、、短期的な純利益を見てもしゃーないなと思ってしまう。もちろん、最終損益は重要ですけどね。特殊要因を除いた調整後EPSは7.91ドルで増益とのこと。

PLに特殊要因がたくさんある時はキャッシュを見たくなります。営業CF、フリーCFともに潤沢で一安心。営業CFマージンは40%を超えておりメチャクチャ高収益です。稼ぎまくっています。

バランスシートを見てましょう。固定資産が総資産の70%を占めますが大半が「のれん」と「買収に伴って認識した無形資産」です。FY15に固定資産が増加しているのは、がん治療薬のファーマサイクリックス社を210億ドルで買収した為です。FY18に純資産がマイナスで債務超過となっています。100億ドル超の自社株買いを実施したためです。

DPS(一株当たり配当)は毎期増加しています。アボット時代から通算すると46年連続で増配を続けています。FY18は配当総額56億ドル、自社株買い総額120億ドルで、なんと総還元性向は300%超え。リスクの高いビジネスで現金を厚く持っておきたい気持ちもあるでしょうが、ここまで積極的に株主還元してくれるのは、経営者の自信の表れなのでしょうか。