※2021年12月期決算データ反映、コメント刷新
S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。
データソースはMorningstarです。
今回はアッヴィ(ABBV)をご紹介します。
基本情報
会社名 | アッヴィ |
ティッカー | ABBV |
創業 | 2012年 |
上場 | 2013年 |
決算 | 12月 |
本社所在地 | イリノイ州 |
従業員数 | 約50,000 |
セクター | ヘルスケア |
S&P格付 | A |
監査法人 | EY |
ダウ30 | × |
S&P100 | 〇 |
S&P500 | 〇 |
ナスダック100 | × |
ラッセル1000 | 〇 |
地域別情報
地域別売上構成比
地域別売上高推移
製品別売上構成比
業績
キャッシュフロー
バランスシート
資産
負債純資産
株主還元
連続増配年数
50年
※分社化前アボット・ラボラトリーズ時代を含む年数
過去8年の配当成長
年率+15.9%
この8年で配当は3.3倍になりました。
過去の株主リターン(年率、配当込み)
上場以来(2013~2021):+21.2%
バリュエーション指標(2022/2/24時点)
予想PER:10.2倍 最新情報はこちら
配当利回り:3.8% 最新情報はこちら
コメント
アッヴィは2013年にアボット・ラボラトリーズから分社化され設立された、世界的なバイオ医薬品会社です。アッヴィ自体は新しい会社ですが、元をたどれば創業100年超の伝統ある企業です。
売上高の77%が米国です。
事業セグメントは医薬品のみ。リウマチ、胃腸疾患、血液がん、C型肝炎、HIV、神経障害(パーキンソン病など)といった難病の解消に取り組んでいます。
抗リウマチ薬の「ヒュミラ」という大型商品を持っており、かつてはこの1医薬品で総売上高の半分超を占めていたほどです。米国では特許期間が2016年に失効。バイオシミラー(後発薬)の脅威に晒されています。
2015年にがん治療薬のファーマサイクリックス社を210億ドルで買収。血液がん治療薬の「インブルビカ」は、「ヒュミラに」次ぐ売上規模を誇ります。この2つの医薬品で全売上高の7割以上を占めます。
2019年にアラガンを630億ドルで買収を発表。アラガンはしわ取り薬の「ボトックス」などを保有しており美容、眼科領域に強いです。
財務データを見てみましょう。
FY21の売上高は562億ドルで前年比+23%。為替除いて+22%。ヒュミラは米国外では減収も、米国では+7.6%と成長持続。グローバル合計でも+4.3%と増収でした。ボトックスの売上高は前年比2倍と成長に貢献。
FY20から粗利率が下がっていますが、これはアラガン買収に伴う無形資産償却、在庫のステップアップによるものです。これらM&Aの影響は実質的な粗利率計算からは除外されるべき性質なので、見た目ほど収益性は落ちていないと見ています。
営業CF、フリーCFも買収に伴い増加。営業CFマージンは40%前後を維持。
FY20に総資産が増加しているのは、アラガン買収により無形資産、のれんが計上されたためです。
一株当たり配当は毎期増加しています。アボット時代から通算すると50年連続増配。毎年自社株買いも行っていますが、FY19以降はアラガン買収の影響か控え目です。
とても参考になります。ABBVさらに買い進めていきたいと思います。今後もブログ楽しみにしてます!
安西さん、
こんばんは。
先日はメールお問い合わせありがとうございます。
私は偉そうにブログ書いていますが米国株投資は初心者で正直言って知らない会社もたくさんあります。
ABBVは名前だけは知っていましたが、あまり知らない会社でした。
アボットから分離した会社なんですね。
そんなことも知りませんでしたが、今回記事を書くにあたって勉強できました。
ところで、ブログ拝見しましたが、パイロットでいらっしゃるのですね!!
まったく私の知らない世界です。
>座右の銘「人生は時間でできている」
おっしゃる通りですね。共感します。
人生とは時間というリソースの配分ゲームだと私は思っています。
今後とも何かご希望の記事あれば、遠慮なくご連絡下さい。
すみません、お返事いただいているとはつゆ知らず返信遅くなりました。
ダウが少し下げてきましたね。仕込時でしょうか。XOMやBPあたりを狙ってます。
あまり株ばかりやってると本業に差し支えるので程々にしたいですが、限りある時間を使って頑張りまーす!
いえいえ、わざわざご返信頂きありがとうございます。
そうですね、オバマケア代替案の否決を市場がポジティブに見ているのか、ネガティブに見ているのか今一わかりかねます。
私もそろそろ買い注文出さないとなあと、、キャッシュが余り気味だなと思っております。
サマータイムになって少しは日本人フレンドリーな時期になりましたね。
「朝焼けのABC」綺麗でした。
ヒュミラに61%依存って、やばくないですか?私は医師ですが、昔ほど使われなくなってますよ。バイオシミラーもそうですが、他のバイオが続々と出てきてますし、最近はいわゆる「飲むバイオ」も出てきてます。患者さんは日常的に使う薬に対しては注射よりも内服を好みます。その理由は、注射よりも内服の方がなんとなく副作用が少なそうという思い込みと、注射は痛いという点にあると思います。ヒュミラは企業努力により発売当初よりも薬液の刺激が弱くなり、あまり痛くなくなりましたが、それでも痛いという方はいます。
関係ありませんが、糖尿病も内服薬はいいけどインスリンには抵抗がある方が多いですね。これも思い込みと痛みが関係しているのかなと思います。
長文失礼しました。
>私は医師ですが、昔ほど使われなくなってますよ。
ご意見参考になります。
ヒュミラの米国外売上は落ちているようで、やはり日本でも症例数は減少しているのですね。
バイオ医薬は完全複製のバイオシミラーの開発が難しく既存製品のシェアが落ちづらいという話を聞いたことがありますが、やはりバイオシミラーの脅威を甘く見てはいけないことがわかりました。医療経済性を考えてもそれは好ましいことと思いますし。
最近、新聞で「飲むインスリン」の臨床試験が成功したという報道を読みました。
患者さんの負担を和らげるため医療も日進月歩で進化していますね。
うちの父親は糖尿病でナノパスを使用していますが、経口になるとより日常生活が送りやすくなると思います。
こんにちは。頭が混乱してきたので教えてください。。
配当性向が高いと、純利益から無理やり配当を絞り出しているという認識なのですが、
自社株買いについても毎年行っているなら同じことが言えますよね。
株主還元が高いのはいいことなのですが、
総還元性向が毎年100%を超えるというのは危なくないんですかね??
会計処理が変わって、BRKのように純利益が変動するようになっていると
配当性向も変動するので、あくまで参考みたいな感じになるんでしょうか??
変なことを言っているようであれば指摘をお願いしたいです。。
こんにちは。
>総還元性向が毎年100%を超えるというのは危なくないんですかね??
配当も自社株買いも株主還元です。
配当性向100%も総還元性向100%も、利益を全額株主に還元しているという意味では共通です。
違いがあるとすれば、配当は連続性を求められるのに対して、自社株買いは柔軟に実施できるという点です。
仮に利益が減少した場合、配当は何としても守ろうとしますが、自社株買いは当然のように減額してきます。
そういう文化が米国にはあるようです。
なので、経営者目線で考えると配当性向が高い方が危険という認識(無駄なお金は使えない!という心境)になります。
アッヴィに限らず還元ステージの会社は総還元性向が100%に達しているケースが多いです。
むしろ50%~60%の還元率の会社の方が珍しいくらいです。
これは米国株投資を始めてからもっとも驚いた点の一つです。
もしかしたら、私が見ているこの10年が低金利時代だからそうなっているだけなのかもしれません。
負債を調達して、その資金で自社株買いしている資本政策をよく見ます。マイクロソフトなど。
配当性向が100%に近いと連続増配が危ないかなと思うことがあります。
総還元性向が100%に近くても、今では特に何も思わないです(最初は驚きました)。
>会計処理が変わって、BRKのように純利益が変動するようになっていると
配当性向も変動するので、あくまで参考みたいな感じになるんでしょうか??
はい、なります。
純利益は諸々の特殊要因で大きく上下することがあります。
そのたびに配当性向、総還元性向が変動します。
調整後EPSや予想EPSを分母にするか、もしくは過去5年くらいの平均値で見るなどで対応しています。
おっしゃる通り、株式の時価変動をPLに取り込むようになったバークシャーの配当性向は以前より変動が大きくなりますね。
なるほど。勉強になりました。
他の銘柄も見て今後の方針を考えてみようと思います。
ありがとうございました。
どういたしまして。
また何かわからないことあれば、いつでも聞いて下さい。
こんにちはいつも拝見してます。上の方もそうみたいですが、医師です。
カレトラがコロナウィルスの治験を今やってますね。
占いレベルですが、僕はギリアドに負けると予想しています。
結果出たら下がるかもしれませんね。
こんばんは。
ご意見ありがとうございます。
米製薬メーカーの皆さんが迅速にコロナウイルスの治療薬を開発してくれるのは有り難いことだなと思います。
どれくらい収益に貢献するのか。社会貢献目的な面もありそうです(あるいは助成金か)。
専門的なことは存じ上げませんが、アッヴィやギリアド、ジョンソンエンドジョンソンなどが関与しているとWSJで読みました。
ギリアドが有望なのですね。ニュースをウォッチしていきます。