楽天証券、SBI証券、マネックス証券は、ウィズダムツリーの配当重視ETFの新発売を発表しています。
国内でたくさんの海外ETFにアクセスできるようになるのは喜ばしいこと。
早速リサーチ!
各社共通で販売するのは以下の8銘柄。
ティッカー | 銘柄名 | 経費率 |
DLN | ウィズダムツリー 米国大型株配当ファンド | 0.28% |
DON | ウィズダムツリー 米国中型株配当ファンド | 0.38% |
DES | ウィズダムツリー 米国小型株配当ファンド | 0.38% |
DGRW | ウィズダムツリー 米国株クオリティ配当成長ファンド | 0.28% |
DGRS | ウィズダムツリー 米国小型株クオリティ配当成長ファンド | 0.38% |
EUDG | ウィズダムツリー 欧州株クオリティ配当成長ファンド | 0.58% |
DGS | ウィズダムツリー 新興国小型株配当ファンド | 0.63% |
DGRE | ウィズダムツリー 新興国株クオリティ配当成長ファンド | 0.63% |
この中で個人的に注目したのは、
・ウィズダムツリー 米国大型株配当ファンド(DLN)
・ウィズダムツリー 米国株クオリティ配当成長ファンド(DGRW)
特に後者は「クオリティ」と名が付いていることに興味を惹かれる。
長期投資で大切なことはいつの時代も永続するキャッシュを生む能力があるハイクオリティな優良株に投資し続けることだからです。
この記事では、米国株クオリティ配当成長ファンド(DGRW)について詳しく紹介します。
DGRWの詳細
概要
米国市場において配当支払いを行う成長性がある時価総額の大きい企業に投資することを目的としている。
(ウィズダムツリーのHPより引用)
要するに米国の大型バリュー銘柄に投資しているということ。
経費率
0.28%
許容範囲内ですが、バンガードなど他の海外ETFと比べると割高。
高配当ETFとして競合しそうなバンガードのVYMは0.09%、ブラックロックのHDVは0.12%です。
上位保有銘柄
ティッカー | 銘柄名 | 割合 |
KO | コカ・コーラ | 4.04% |
MO | アルトリア・グループ | 3.55% |
MSFT | マイクロソフト | 3.29% |
APPL | アップル | 2.89% |
ABBV | アッヴィ | 2.85% |
IBM | IBM | 2.42% |
MCD | マクドナルド | 1.98% |
CSCO | シスコシステムズ | 1.96% |
MMM | スリーエム | 1.93% |
INTC | インテル | 1.87% |
BMY | ブリストル・マイヤーズ・スクイブ | 1.82% |
HD | ホームデポ | 1.76% |
UTX | ユナイテッド・テクノロジーズ | 1.68% |
AMGN | アムジェン | 1.65% |
CMCSA | コムキャスト | 1.60% |
RAI | レイノルズ・アメリカン | 1.59% |
LMT | ロッキード・マーチン | 1.57% |
UNH | ユナイテッドヘルス・グループ | 1.52% |
UPS | ユナイテッド・パーセル・サービス | 1.51% |
UNP | ユニオン・パシフィック | 1.49% |
BA | ボーイング | 1.45% |
HON | ハネウェル・インターナショナル | 1.45% |
CAT | キャタピラー | 1.45% |
GILD | ギリアド・サイエンシズ | 1.40% |
LLY | イーライ・リリー | 1.40% |
上位10銘柄構成割合:26.8%
上位25銘柄構成割合:50.12%
上位構成銘柄は、さすが”クオリティ”という名に恥じぬ優良企業ばかりです。
1位はバフェット銘柄でお馴染みのコカ・コーラ(KO)。
2位はたばこ会社のアルトリア・グループ(MO)。
米国外を担当するフィリップモリス(PM)に対して、アルトリア・グループは米国のみをビジネスフィールドにしています。
3位のマイクロソフトはWindowsやOfficeで知られる超高収益のソフトウェア会社。
以下、素晴らしい銘柄が続きます。
これらの構成銘柄を見ると、安心して長期保有できるETFだなと思えます。
セクター別割合
セクター | 割合 |
資本財 | 20.57% |
一般消費財 | 19.75% |
情報技術 | 19.40% |
生活必需品 | 18.27% |
ヘルスケア | 14.75% |
金融 | 3.39% |
素材 | 2.99% |
エネルギー | 0.88% |
VYMやHDVとも異なる構成割合。
資本財や一般消費財の割合が高いですが、これらのセクターは歴史的に高パフォーマンスを残してきたセクターではないです。
資本財は多大な設備投資が株主負担を増やしてきたし、一般消費財は製品のコモディティー化で価格競争に陥り株主価値の向上が困難という理由。
エネルギーセクター企業がほとんど存在しないのも特徴です。
売買回転率
売買回転率が高いということは、ファンド内で何度も売買されているということを意味します。
頻繁な売買は手数料や税金負担を増加させることになり、ファンドのパフォーマンスを押し下げる要因となります。
さて、DGRWの売買回転率はというと、
32%
やや高い印象。
競合するバンガードVYM(約10%)より高く、ブラックロックHDV(約60%)よりは低い。
分配金利回り
分配金とは配当金と同義と思ってOKです。
長期投資では高配当な銘柄に投資した方が高パフォーマンスを残せる可能性が高いです。
なぜなら、高配当な企業とは成熟した低成長な企業ですが、こうした企業はマーケットの注目を浴びる機会が相対的に少なく価格が割高になることが少ないため、配当再投資によって購入株数を効率的に増加させることができるからです。
さて、DGRWの分配金利回りはというと、
2.13%
配当重視ETFとしてはやや低い印象。
競合するバンガードVYMやブラックロックHDVはともに3%台の分配金利回りがあります。
過去リターン
DGRWは2013年5月に設定されたばかりなので、長期のチャートは取得できませんでした。
これはDGRWが設定されてからの株価チャートです。
競合するVYM、HDVも表示させています。
青:ウィズダムツリー DGRW
緑:バンガード VYM
赤:ブラックロック HDV
これは驚きました!
DGRW設定来の約3年間の株価の推移はDGRWは最も良い結果でした。
ただ、DGRWは分配金利回りがVYMやHDVと比較して1%ほど低いのでそこは割り引いて見る必要があります。
ざっくり言って、DGRW設定来のパフォーマンスとしてはVYMやHDVと遜色ないと言えそうです。
良いETFだけど、敢えて買わないかな
ウィズダムツリー米国株クオリティ配当成長ファンド(DGRW)は良質なETFだと思います。
長期投資する価値のあるETFだと思います。
でも個人的には今のところ、積極的な購入意思はありません。
高配当ETFにはバンガードVYMやブラックロックHDVが王者として君臨していますが、これらの牙城を崩すほどではないと考えているからです。
確実にパフォーマンスに影響を与える経費率が0.28%と割高ですし、セクター別割合も好みではありません。
VYMやHDVを差し置いて、敢えてDGRWに投資する理由は今のところ見出せません。
しかしながら、3年間リターンに過ぎませんが過去実績はしっかり残しているし、上位構成銘柄はクオリティという名に恥じぬ黄金銘柄群です。
良いETFであることは間違いないです。