※構成銘柄等のデータ更新、コメント刷新(2018年11月)

生活必需品と一般消費財の区分は曖昧に感じるところもあります。

一般消費材セクターは「自動車」・「アパレル」・「ホテル、レストラン」・「小売り」などに細分化されます。一方で生活必需品セクターは「食品小売り」・「飲料」・「食品」・「タバコ」・「家庭用」などに細分化されます。

「小売り」とかもろに被ってます。例えばウォルマート(WMT)は生活必需品セクターですが、ターゲット(TGT)は一般消費財セクターです。ターゲットは日用品や衣料品を販売する量販店です。ウォルマートはエブリデーロウプライスでアメリカ国民の生活に無くてはならない存在だから、生活必需品セクターなのでしょうか。判断基準はよくわかりません。

マクドナルドが一般消費財セクターなのは何となく理解できますが、フィリップモリス(たばこ)がなぜ生活必需品セクターなのかな。ハンバーガーは「生活必需品」ではないのに、たばこは「生活必需品」と解釈されているようです。たばこを吸う人にとってたばこはもはや「生活必需品」ということなのでしょう。

ところで、生活必需品、一般消費財、ヘルスケア等の区分は世界産業分類基準(GIGS)に従った公式なものですが、今年9月にこのGICSの区分が大きく見直されました。

特に大きな影響を受けたのが一般消費財セクターです。ウォルト・ディズニー(DIS)やネットフリックス(NFLX)、コムキャスト(CMCSA)といった主要企業が新設されたコミュニケーション・サービスに移りました。

それを踏まえた上で一般消費財セクターの中身を見ていきましょう。一般消費財セレクト・セクター SPDR® ファンド(XLY)を紹介します。

  XLYはこんなETF

概要

一般消費財セレクト・セクター指数の値動きと利回りに、経費控除前で概ね連動する投資成果を上げることを目標とします。

 

経費率

0.13%

 

組入銘柄数

65銘柄

 

上位構成銘柄

ティッカー 銘柄名 比率
AMZN アマゾン・ドットコム 21.4%
HD ホームデポ 10.1%
MCD マクドナルド 6.7%
NKE ナイキ 4.7%
BKNG ブッキングホールディングス 4.5%
SBUX スターバックス 4.3%
LOW ロウズ・カンパニーズ 3.8%
TJX TJXカンパニーズ 3.3%
GM ゼネラル・モーターズ 2.3%
TGT ターゲット 2.2%
ROST ロス・ストアーズ 1.8%
F フォード・モーター 1.8%
MAR マリオット・インターナショナル 1.6%
DG ダラー・ゼネラル 1.5%
YUM ヤム・ブランズ 1.3%
VFC VFコーポレーション 1.3%
EBAY イーベイ 1.3%
ORLY オライリー・オートモーティブ 1.3%
CCL.U カーニバル 1.1%
HLT ヒルトン・ワールドワイド 1.0%
AZO オートゾーン 1.0%
APTV デルファイ・オートモーティブ 1.0%
DLTR ダラーツリー 1.0%
RCL ロイヤル・カリビアン・クルーズ 0.9%
BBY ベストバイ 0.8%

上位10社構成割合:63%
上位25社構成割合:82%

 

産業別構成割合

 

売買回転率

272%

 

分配金利回り

1.2%

 

過去10年リターン

19.9%(配当込み)

 

  アマゾンが2割を占める

構成銘柄を眺めて先ず感じることがアマゾンの存在感の大きさです。XLYの2割以上がアマゾン1社で占められています。もともとXLYはアマゾンの影響が大きかったですが、それでも10%強くらいでした。GICS変更でディズニーやネットフリックスがXLYを去った影響で、アマゾンの影響がさらに増しています。

次に大きいのがホームデポ(HD)とマクドナルド(MCD)、ナイキ(NKE)です。ホームデポは日本人からすると馴染みがない企業ですが、米国では有名なホームセンターです。5番目にいるブッキング・ホールディングス(BLNG)は旧プライスライン・グループでオンライン旅行予約の大手です。

以前はXLYにいなかったなあ(少なくとも上位には)と思う銘柄はダラーゼネラル(DG)です。たまにWSJに出てくるので名前は知っていました。1ドルショップです。日本で言う100円ショップかな。

あと、VFコーポレーション(VFC)も昔はなかった銘柄かな。The North Face、Vans、Timberlandなどのブランドを持つアパレル大手です。ちょっとオシャレに目覚めた中学二年生の夏に、Timberlandのリュックサックをキャナルシティ博多で親父に買ってもらったのはいい思い出です。当時はリュックが流行ってました。つい2年前まで使ってました(笑)。

そー言えば、結構前ですけど読者さんに「VFコーポレーションは優良銘柄だからオススメですよ~」ってメールもらったことを思い出しました。銘柄分析記事にしてみたい企業の一つです。

経費率は0.13%と良心的。売買回転率が272%もありますが、セクター変更の影響です。かつてのXLYの回転率は10%未満だったので、今後はそれほど大きな銘柄変更はないと思って大丈夫だと思います。

分配金利回りは1.2%でS&P500を下回ります。まあ無配のアマゾンが2割を占めますから低利回りは仕方ないですね。

一般消費財セクターは経済成長期に市場平均をアウトパフォームする傾向にあります。お金が経済をグルグル回って、人々の懐が暖かいとレジャーに行ったり贅沢品を買ったりする機会が増えますから。アマゾンのネット通販の取扱高も増えます。

この10年のリターンは年率19%とべらぼうに高いです。景気回復期に強いことが証明されていますね。米国経済は、2008年のリーマンショック後からの緩やかな景気回復期が続いている途上です。

これからの10年もXLYが市場平均をアウトパフォームし続けるのか、それともXLYに大打撃を与えるようなショックがマーケットを襲うのか、、それはわかりません。