会計の流れを大雑把に言うと、以下の3つの工程に分かれます。
伝票処理、出納(日々の取引)

制度会計(法定決算、有価証券報告書作成など)

管理会計(会社独自のセグメント会計、製品別収支など)

これを図で表すとこんな感じです。

伝票処理、出納

制度会計


管理会計

最初の伝票処理のグニャグニャの図は、会社がビジネスをする中で日々たくさんの伝票が切られる様子を描いたものです。原材料仕入、経費支払い、給与支払い、出荷処理、売上代金の入金など、会社では日々たくさんの取引が行われ、それが休む間もなく伝票データとして会計システムに蓄積されます。また、現金もたくさん動きます。

溜まった会計データ(伝票データ)は、最初はあのグニャグニャの図みたいな感じです。勘定科目毎に記帳されているとは言え、ただデータが無秩序に存在するだけのカオス状態。

そのカオスな伝票データを、損益計算書や貸借対照表という法定フォーマットにカチッと整えるのが制度会計です。グニャグニャの青い図が綺麗な四角になるイメージです。

以下はアップル(AAPL)の2018年9月期の連結損益計算書です。10-Kレポートからの抜粋です。

凄いと思いませんか!?

iPhone本体の裏側には”Designed by Apple in California Assembled in China”と記載されています。サプライチェーンはグローバルにまたがります。アメリカ、欧州、日本、中国と世界中で売っています。つまり、世界中で伝票が処理されています。

アップルの1年間の大量のマネーの動きや取引が、たった一枚の紙に納まっています。カオスな伝票データが制度会計の損益計算書としてカチッとまとまっています。これって地味に凄いことだと思いませんか。これが制度会計です。

で、最後のカラフルな四角が管理会計のイメージです。制度会計で作成した損益計算書に(貸借対照表にも)色を塗るイメージ。塗り絵です。PLを地域別や事業別に分けます。もっと細かく製品別に損益計算書を作ったりすることもあります。時には通貨別に分けることもあります。USドルだけのPLとか、ユーロだけのPLとか。

会社が公式に開示しているセグメント情報はあくまで投資家用です。当然ですが、会社内部ではもっと細かいセグメントデータを作成し管理しています。制度会計で作った四角形をどういう切り口でどういう色を塗っていくのか、これは意外とセンスが問われるところなんです。

手で作業することはあまり多くはありません。各分野にそれぞれ色んなシステムが介在しています。システムが裏で処理しているもんだから、データの流れがわかりづらいところはあります。でも、こういう会計の一通りの流れを理解できると、地味な経理業務もちょっとは楽しくなってきます。