巨額追証で市場を揺るがしたアルケゴス・キャピタル・マネジメント。きっかけはメディア・コングロマリットのバイアコムCBSの株価急落でした。

会社のファンダメンタルとは関係なく、資金を必要とする誰かの投げ売りで株価が下がっている場合、その株式は本源的価値を下回る水準まで売られがちです。目前の資金繰りのため、バリュー無視で売却しなくてはならないからです。

バイアコムCBSとは名前だけは聞いたことがありましたが、財務データなどを見て詳しく調べたことはなかったです。最高値から半値になっているということで、投資価値があるのがちょっと気になり調べてみました。

結論としては投資不適格。投機対象にはなれど投資対象にはならないと判断。

Portfolio VisualizerでバイアコムCBSの1995年~2020年の株主リターン(配当込み)を調べると、わずか年率+1.1%でした(1995年が測定可能なもっとも古い年でした)。

インフレ考慮すればマイナスリターンです。こりゃアカン。この時点でいくら半値でも投資価値はないと即断できます。短期トレードする価値はあるとしても。

まあ、何となくそんな気はしていた。というのも、今年バイアコムが急落したきっかけは同社が増資を発表したことだったからです。30億ドルを新株発行で調達しました。

この低金利時代にエクイティで資本を調達する(せざるを得ない)時点で微妙。テスラみたいな優良新興企業の増資は別ですが。

以下はバイアコムCBSの発行済み株式数推移。

(Source: Morningstar)

2016年まで株数は減少していますが、2017年に急増しています。2021年に新株発行するということは、発行済み株式数は10年前より増えることになると思われます。

こうやって株数を平気で増やして既存株主の取り分を少なくする会社というのは、往々にして投資リターンが悪いです。

投資銘柄(投機銘柄ではなく)を決める時、財務データよりも先ずは過去の株主リターンでスクリーニングした方がいいと思います。過去10年、20年で見て株主を金持ちにできていない企業というのは、今後10年もやはり同じだと思った方が現実的です。

逆にこれまで株主の富を築いてくれた企業は、今後も株主を金持ちにしてくれる可能性が高いと考えていいと思います。

①過去の株主リターンを見て株主にとっての優良企業をスクリーニング

②過去の財務データ、長期展望を自分なりに分析

③バリュエーションをチェック

投資!

こんな流れがいいんじゃないかなあと思います。私はそうやってます、今は。