以下は最近ウォールストリートジャーナル紙に掲載されていたグラフです。欧米株のセクター別の予想PERです。面白いデータだなと思い紹介しようと思いました。


せっかくグラフにしてくれているけど、ちょっとごちゃごちゃして逆に見にくいかな?

ちと、表にしてみます。


こっちの方が見やすい?
お好きな方をどうぞ。

あ、で、本題なんですが、欧州株(MSCI EMU)はディフェンシブな生活必需品セクターのPERがもっとも高くなっている点にWSJは注目しています。さらに、景気循環銘柄が多い一般消費財のPERは10.1倍と低いです。これは投資家が景気の先行きに警戒感を示している証だと。

なるほど。PERだけで安易に判断できるわけではありませんが、一つのデータとして興味深いなあと思いました。

一方で、米国株を見ると生活必需品セクターのPERは他と比べて高いわけではありません。

景気低迷(リセッション)が始まるとしたら、先ずは米国外の欧州や日本からになるでしょうか。やはり米国経済は強いです。10年債利回りはドイツ0.09%、英国1.0%、日本▲0.04%に対して米国は2.6%です。米国は低金利と言われていますが、他の先進国と比べれば遥かに高い金利環境です。それだけ高い金利に経済が対応できています。

米国株のセクター別PERを見るとリセッション入りはまだ来ないように思いますが、欧州株のそれを見ると投資家が景気に警戒感を抱いているように見えます。

こんな基礎データでマクロ経済動向を読めはしない。それはわかってます。ただそれでも「米中貿易戦争で・・・」、「イタリアの財政問題が・・・」、「英国のEU離脱が・・・」といった日々垂れ流れるニュースを読むよりも、こういったマーケットデータの方が経済の先を考える上で有益だと思います。

金を求めてマーケットでは日々静かな争いがバチバチ繰り広げられていて、その結果がマーケットプライスとして表れます。当たり前のようにスマホに表示される株価や金利は、一流ファンドマネージャーの投資判断の結果です。

金が掛かると人はガチ真剣になるものです。 20世紀、世界戦争が起こっていた時、債券トレーダーは戦況を注視していました。というのも、敗戦国の債券は暴落し戦勝国の債券は暴騰するからです。

当時は今みたいにインターネットでリアルタイムにニュースが流れることはありません。ヘッジファンドは戦争の前線にスタッフを送り込んで、戦況を報告させていたと聞いたことがあります。政府当局よりもヘッジファンドの方が、戦況の詳しい情報を把握していたことさえあったそうです。

・固定給を貰っている役人
・大きなポジションを取っている債券トレード
リスクを取ってでも戦況を知りたいと思うのは後者なのでしょう。

日々の株価はランダムウォークで意味はない。確かにその通りで、普段から株価に振り回されてもしゃーないです。でも、株式市場という厳しいマーケットが示すプライスを軽視はしたくないです。

指数全体で見れば欧州株は米国株より割安です。ただセクター別に見ると、欧州生活必需品株のPERは米国並みに高いです。ハード・ブレグジットのリスクを織り込んでいるのでしょうか。答えはわかりませんが、欧州株投資家は景気低迷リスクを感じ取っているように見えます。

相場は悲観と楽観どちらか一方に極端に振れ、中心点に来ることはほとんどない。ハワード・マークス氏はこう言っています。でも何だろう、最近の株式市場って中心点にある感じがしませんか。悲観でもなく楽観でもない。どっちつかずな感じ。

欧州株:やや悲観
米国株:やや楽観

う~ん、これから相場はどうなることやら。まあどうなるにしろ、10年20年レベルの長期で見るなら、米国株投資は報われると思ってます。