BS(貸借対照表)よりもPL(損益計算書)の方が馴染みがある人が多いはず。個人のPLって要は家計簿ですからね。最近は家計簿アプリなんかもありますね。損益計算って大切です。

PL脳は目先の利益ばかり重視しがちだから、ファイナンス思考、BS脳を鍛えようなんて最近よく言われます。そんな雑誌の記事をよく見かける気がします。確かにバランスシートを知ることは大切だと思います。でもPL脳も大事ですよ。きちんとPL的な損益計算ができることは個人としても非常に重要です。

あなたは毎月5万円の借金を返済しているとします。その時の会計仕訳はどうなるでしょうか?

現金が流出するわけだから、貸方(右側)は現金です。では借方(左側)はどうなりますか。借金という負債が減りますから、以下のようになるでしょうか。

借金 5万円 / 現金 5万円

本当にその仕訳で正しいですか?

間違いです。利息という費用を忘れています。返済額5万円のうちいくらが利息でいくらが元本なのでしょうか。

借金 4万円 / 現金 5万円
利息 1万円 /
なのか。

借金 1万円 / 現金 5万円
利息 4万円
なのか。

同じ5万円の返済でも両者には雲泥の差があります。前者は毎月4万円の元本が減っていますが、後者は1万円しか元本が減っていません。後者のような借金は大抵高利です(前者も普通に高利ですが・・)。消費者金融だと年利10%を超えることも普通にあります。毎月5万円返済しているように見えて、実際はほとんど返済できていません。

現金の流出は以下の3つのうちのどれかです。
①資産の取得
②負債の返済
③費用の支出

①と②はBSの世界です。③はPLの世界です。借金の返済はBSとPLの世界が混ざっています。負債の返済と費用の支出を同時に行っています。両者をきちんと区別しないといけません。そうでないと、食い物にされて貧困スパイラルに陥ります。

家計簿での現金主義的な発想だけではダメです。現金主義だとどちらのケースでも、「借金返済で5万円の支出」で終わってしまいます。返済額のうちいくらが利息なのか把握しないとダメです。支払利息というPL科目を意識しましょう。

住宅ローンや自動車ローンなど比較的低利な借金であっても同じです。借金(元本)を返済しているのか利息を払っているのか、そこをきちんと区別できないなら借金はしない方が無難だと思います。

借金する時はBS脳、ファイナンス脳(キャッシュフロー)だけではダメです。資金の流れを追うだけでは経済的実態を把握できません。PL脳が必須です。