ある物事がファクト(事実)かオピニオン(意見)がきちんと区別して、ファクトなら可能な限りそれを数字で確認した方がいいです。仮にオピニオンであっても、その考えの前提となる数字があればそれも確認できればベター。

職業柄(特に前職の会計監査での)という面が大きいですが、私は数字で確認しないと落ち着かない性格です。「〇〇が最近人気ですごく流行ってるんですよ。」というのが日常会話ならまだいいけど、ビジネスや投資の会話なら、販売数量とか市場シェア、売上高とかの数字で示して欲しいです。なるべく。あと、その数字のデータソースを明示するのも大切ですね。

去年、数カ月に及ぶ大規模な社内研修に上司命令で強制参加させられました。元マッキンゼーのお偉い方が講師でした。とある研修でその講師が「アップルはiPhoneという単一デバイスが売上高の大半で・・・」と言ってました。

違いますよね。確かにiPhoneはアップルの稼ぎ頭ですが、その割合はピーク時でも66%です。直近決算では55%にまで下がっています。サービス売上の重要性が高まっています。iPadやMacの売上も無視できません。「iPhoneが売上高の大半」とは去年時点であってもちょっとミスリードです。なんとなくアップル=iPhoneの会社と思っているだけで、きちんと数字を確認してないんだろうなって思いました。別にわざわざ指摘しませんけど。

数字で確認できることをサボってふわっとごまかすと、時に信頼を失います。まあ、私は監査や経理という職業的にその傾向が強いってのもあります。でも一般論としても、なるべくファクトは数字で確認するという姿勢は持っておいて損はないと思います。

もちろん投資判断においては数字のチェックは不可欠です。配当利回り、PER、PBRなどのバリュエーション系の指標。あとは過去の業績、配当の推移。こういうのをきちんとチェックするだけで、平均以上の投資家になれると思います。主要企業だけですが、ブログの米国株銘柄分析で業績などの定量的な情報を掲載しているので参考にしてください。

数字で確認するって意外と盲点というか、やってない人多いですよ。だから、ここをやるだけで差別化になります。人がやりたがらないことを地道にやっていると、その先に金鉱が見つかるかもしれません。

この前、社長から「X事業の中国の売上高の割合ってどれくらいあるの? 成長率はどれくらいなの? ちょっと調べてくれない。」って言われて、めちゃくちゃ驚きました。X事業ってうちの主要部門でして、その事業の中国の売上規模をCEOが把握してないってマジかよって思いました。即答できない僕が偉そうに言えたもんじゃないですけどね。ま、私は一般社員でそんなに会社の業績にコミットしてませんので。。

社長は忙しいから、細かい数字を把握してないのは仕方ないとは思いつつも、そんなもんかーってちょっと残念な気持ちになりました。

こんなもんですよ。数字って嫌われものです。見てもつまらないですから。数字ばかりのプレゼン資料って、全く人の心に刺さらないですよね。人の感情を動かしたい時はあまり数字ばかりで攻めない方がいいと思います。

世の中の人が数字を毛嫌いするからこそ、きちんと数字でファクトを抑えておくことには価値があると思います。暗記する必要はないです。「数字で確認しなくっちゃ」という意識改革の方が重要です。

情報は暗記しなくても、その情報がある場所をざっくり把握しておけばいいです。落合陽一さんが知識のタグ付けをしよう、と書籍でおっしゃっていて共感しました。

私も普段からよくやってます、脳内タグ付け。毎日ウォールストリートジャーナルなどのニュースを読んでますが、そこに書いている情報を記憶するのは無理です。子どもの頃から記憶力ない方ですし。こんなこと書いてあったな~という程度の記憶だけ残す。「アップルの製品別売上についてWSJに書いてあったな」という記憶だけ残しておく。そしたら、いざその情報が必要になった時に検索すればいいです。だいたい数分で見つかります。ブログ書く時にはこの知識、情報のタグ付けがかなり役立っています。