今さら先週金曜の日経新聞を眺めていました。内部留保の記事最近多いですね。
内部留保とはバランスシート右下の純資産のことであって会計上の利益剰余金に過ぎません。
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この日経新聞のバランスシートの図は分かりやすいですね。
90億円の利益剰余金(内部留保)が右下にありますが、左上の現預金は50億円しかありません。
内部留保≠現預金
「内部留保があるんだからその分の現金を今すぐ株主に返せ!」とは言えません。健全な企業はそんな多額の現預金を社内に抱えてはいません。株式会社は株主から預かっているお金を投資して収益を上げてナンボです。日経の図にある通り工場や店舗などに投資しています。
でもだからって、内部留保を拡大し続けて株主還元を疎かにしていいわけじゃありません。企業は事業に投資して利益を稼ぐことがゴールではありません。稼いだお金を株主に還元するまでが株式会社の役割です。「無事に家に帰るまでが遠足」と子どもの頃言われたのと一緒で、「無事に株主の元に資金が帰るまでがビジネス」です。
ところで、株式投資を始めてから財務諸表には慣れてきましたか?
会計専門的なことを無理に学ぶ必要はないですが、投資家として財務諸表を読めるようになることは意義あることだと思います。財務諸表を読めた方が長い投資家生活をより楽しく過ごせそうです。また日常生活でも仕事でも役立つ時があるはずです。
財務3表とは以下のことです。
・損益計算書
・貸借対照表(バランスシート)
・キャッシュフロー計算書
この中で一番分かりにくいのが貸借対照表です。借方(左側)、貸方(右側)というのは独特な概念です。
バランスシートの右側は資金の調達形態を示しています。
バランスシートの左側は資金の運用形態を示しています。
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この大原則を抑えておくだけでも十分です。これを理解した上で改めて上の日経の図を見てみて下さい。
財務諸表を作れるようになるには長い訓練が必要ですが、財務諸表を読むだけならそんなに難しいことではありません。「数字だらけの決算書なんて見たくない!」と嫌悪感を抱く人もいるかもしれませんが、ぜひぜひ、嫌がらずにチラッとでも読んでくれると一経理部員として嬉しく思います。
株式投資を始めたことが、会計の世界を知るきっかけになってもらえると嬉しいです。
ちょっとこの記事と関係ないことかもしれませんが。
税金をほとんど払ってない大企業リストがネットで見れます。
http://ir.c.chuo-u.ac.jp/repository/search/binary/p/7086/s/4918/
それと、輸出戻し税ってのがあるそうですが。
こういう会計ルールを適用したりすると日本の大企業はかなり税負担を軽減できるんでしょうか?
法律違反じゃないならどんどん節税すれば良いと思いますが、
やはり、その後にくる個人的な思いは「配当出せや!!」って日本の上場企業に対して強く思います。
法人税を軽減なんてしなくても今の会計で十分節税できるんならそんな法律いらないと思います。
あと、政治家は「法人税を軽減すれば国際競争力が増して日本の企業の収益力があがる」と
熱弁してました。
それとは別に、消費増税について官僚は、「法人税を軽減することで税収に穴があくので
消費税などその他の税で穴埋めしないといけない」とコメントしました。
国際競争力が増して企業の税収が増えるなら納税額は増えるはずですが、
財務省は日本の企業が国際競争力が強くなるとは思ってないでしょうね。
だから、法人税を軽減したらそのまま税収に穴があくんでしょうね。
益々、円をドルに変えて米国株へ資産を移したくなりました。
輸出が中心の大企業はかなり優遇されているというのが本音です。
海外への出荷に対して消費税は掛かりません。
仕入れに掛かる消費税だけが残るので、それでは不公平ということで消費税の還付を受けることができます。
これを俗に「輸出戻し税」と言います。
これは実は得でも損でもない制度です。
大企業は仕入れに掛かった仮払消費税を取り戻すだけですから。
ですが、それは理論上の話で合って実務上は輸出中心の大企業に恩恵がある仕組みです。
大企業に納品するサプライヤーは消費税相当を販売価格に完全に転嫁できるはずはありませんから。
日本企業の株主還元が甘いのは、経営者の保身があるからです。
経営者の保身があるのは、株主からのガバナンスが効いてないからです。
株主からのガバナンスが効かないのは、、、なぜでしょうかね~。
最近イギリスの資産運用会社がTBSに対してアクティビスト活動をしています。
こういう外部圧力に嫌悪感を抱く日本人は多いと思います。
この日本独特の文化が株主からのガバナンスを希薄なものにしていると思います。
海外ではなく、日本の株主がこのような声を上げていく社会にならないと企業統治は大きくは変わらないと思います。
まあでも、それが株主の考えならそれを尊重してもいいのかな~とも思いますがね。
何が正しいのか、どうすることか国民にとって一番幸せなのかはよくわかりません。
>財務省は日本の企業が国際競争力が強くなるとは思ってないでしょうね。
GDP成長率が3%になる!と主張しているトランプ大統領とは大違いですね。
「期待」が経済に与える影響は大きいです。
「どうせ経済成長は無理だろ」という諦めが、より経済成長を阻害するのかもしれませんね。
はじめまして、最近しばしば拝見しております。興味を引く掲載が多く、投資の参考にさせて頂いております。
バランスシートですが、X社の場合だと、40億を配当、新事業などに使ったと解釈してよいのでしょうか。
はじめまして、こんばんは。
コメントありがとうございます。
>X社の場合だと、40億を配当、新事業などに使ったと解釈してよいのでしょうか。
いいえ、そうとは言えません。
この利益剰余金は過去の利益の積み上げなわけですが、この利益がどう使われたかというフローの情報はバランスシートからは読み取れません。
バランスシートはあくまでも一時点の資産と負債の状態を示しているストック情報です。
この現預金50億円の原資が内部留保90億円というわけでもありません。
明確に色付けはできません。
過去にいくら投資したか、いくら配当したか、という情報はキャッシュフロー計算書を見ないとわからないです。
バランスシートからわかるのは、諸々の取引の最終結果として企業に残っている資産と負債の状況です。
ちょっと分かりずらいかと思いますが、バランスシートからは期中取引に関連するフローの情報は読み取れないということです。
よろしくお願いします。