自分の考えていること、話したいことを好き放題書いているブログです。だから4年も続いています。確かに広告収入はありますが、それだけじゃこんなに続けられないです。んな大した金額じゃないです。アフィリエイトや商材作りなど、もっとマネタイズの仕組みを構築せねばと思いつつも、記事を書く方が楽しく、何も行動せずに今に至っている感じです。もうちょっと金儲けも頑張りたいところです・・。
気軽に楽しく読んでもらえればそれでいいです。勉強になれば嬉しいですが、投資については何の実績もないので上から語れることはありません。投資損益は一応プラスですがS&P500指数には負けています。「この銘柄を買えばいい!なぜなら・・」といった具体的なことは言いません。言えません。仮に言ったところで説得力ないし。投資は自己責任でやって下さいw。
ただ、私は企業活動のファクトを捉える能力には自信があって、人に教えれるレベルだと自負しています。なぜなら、ファクトを数字で表す会計の勉強、仕事をずっとしてきたからです。19歳の頃から会計、ファイナンス漬けです。ずっと数字と睨めっこしてきました。ゲーム中毒と変わらないかもしれません。
そもそも投資は未来を予想することだから、どれだけ勉強し経験を積もうとも、絶対の答えはわかりません。でも、過去の事実を会計的に捉える能力は勉強と経験で身に着けることができます。
自社株買いを理解して欲しい
前置きが長くなりました。この記事の目的は自社株買いの経済的意味、本質を理解してもらうことです。
株主還元には配当と自社株買いの2つがあります。配当は分かりやすいけど、自社株買いはよく意味が分からないと言われることがあります。これまで、読者さんから質問を受けたことも多々あります。
細かい会計基準や会社法の条文とか覚えてもしゃーないと思うんですが、自社株買いの経済的意味だけは是非しっかり理解して欲しいです。そう強く願います。だから、これまで何度も取り上げてきました。また今日取り上げています。
なぜ自社株買いを理解して欲しいかと言うと、長期投資で高いリターンを実現するには株主還元を重視する企業に投資し続けることが重要ですが、米国企業は配当よりも自社株買いの方が多いからです。きちんと自社株買いの意味を理解した上で、優良米株を保有し続けて欲しなあと思う次第です。
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これは最近、上司に頂いた野村證券の投資セミナーの冊子です。米国企業(左)と日本企業(右)の株主還元を比べた資料です。米国企業はグレーの自社株買いが、赤の配当よりも多いですね。
いやね、自社株買いなんて知らなくても問題なく儲かりますよ。そこが投資のいいところ。銘柄選びさえ間違わなければ、ただ株を保有しているだけで長期では利益を得ることができる可能性が高い。知識がある人もない人も、同じS&P500指数に投資している限りリターンは同じです。勉強なんて一切せずに完全ほったらかしで投資するのがもっともコスパがいいです。
でも、どうせ数十年とマーケットに居続けて嫌でもニュースや決算情報が入ってくるわけだから、投資の周辺知識が多い方が楽しくないですか?
その周辺知識の中でも自社株買いは特に重要だと思います。自社株買いが多い米国マーケットで勝負する場合、永続できる優良株を選別することがとても重要です。その意味がわかるようになります。是非わかって欲しいです。
自社株買いの目的は株価を吊り上げることではない。株数を減らして一株当たり利益(EPS)を増やすことが目的。
自社株買いの誤った理解として典型的なのは、「自社株買いをすることで株価を吊り上げて、株主のキャピタルゲインを増やす」というものです。
「吊り上げる」って表現がホント良くない。マネー誌ならまだしも、たまにWSJなどもこの表現使うから止めて欲しいです。
確かに、企業が自社の株に対して大量の買い注文を出せば、株価は上がるでしょう。商品の値段とは究極的には需要と供給の一致点で決まります。理論価格もクソもありません。自社株買いによって、売り注文を遥かに超える買い注文が発生すれば株価は上がります。
だから、表面的な意味としては自社株買いが株価を吊り上げるというのは間違いとは言えません。でも、そんな一時的に需給を逼迫させることが自社株買いの主眼ではありません。そうじゃなくて、市場から自社株を買い戻して、株式の流通量を減らすことが真の目的です。株数が減れば、EPS(”一株当たり”利益)もDPS(”一株当たり”配当)も増えます。
全体のパイが増えなくても、利益を分け合う「仲間」である株主が減れば、一人当たりの取り分は増えます。「仲間」は少なければ少ないほどいいんです。AKB48や乃木坂46より、ももいろクローバーZのメンバーの方が収入が多いかもしれません。ももクロは4人で利益を分け合えることができます。収入総額は乃木坂の方が多くても、一人当たりはももクロの方が多いかもしれません。事実は知りませんが。あくまで例えです。そんなイメージです。
企業の自社株買いと私たちの株式投資は同じ
もう一つ持っておいて欲しい視点として、企業の自社株買いと私たちの株式投資の経済的本質は同じという点です。
アップル自身がアップル株(自社株)を買うのと、あなたがネット証券でポチッとアップル株を買うのは同じ行為です。アップル株という資産を市場価格で購入しているだけです。
アップル株を買ったあなたが長期でリターンを得られるなら、同じくアップル株(自社株)を買ったアップル(の株主)もリターンを得られるはずです。
先日、アップルは2019年12月期の決算発表を行いましたが、そのプレスリリースの中で「当四半期中に250億ドルを株主に返還しました。そのうち、200億ドルは株式買い戻し、35億ドルは配当です。」と言っています。アップルは株価が市場最高値を更新する中で、200億ドル相当の自社株を買い戻したようです。
さて、これはアップル株主にとって得でしょうか損でしょうか?
それは、「2019年10月~12月にアップル株に投資したけど長期で儲かるでしょうか?」 と質問するのに等しいです。なぜなら、先に言った通り自社株買いも私たちの株式投資も同じだからです。敢えて違いを言うなら、個人投資家は途中で株を売却できるけど、企業は自社株を実質永久保有せねばならない点です。
どう思います? PER20倍を超える水準ですけど、世界の富裕層にバカ売れするiPhoneを販売するアップル株なら、PER20倍で買っても長期では儲かる気がしませんか。もしそうなら、株式買い戻しに200億ドルを注ぎ込むというティム・クックCEOの経営判断は正しい、株主利益に資することになります。
もしアップルの経営が傾いて利益が落ち、万が一倒産してしまったら(あり得ないが)。そしたら、200億ドルで買い戻したアップル株(自社株)の価値もゼロになるわけだから、既存株主に株式買い戻しの恩恵は一切ありません。
自社株買いの意味(まとめ)
まとめ。
自社株買いとは、
①株数を減らしてEPSを増やすことで既存株主の富を増やす
②自社の株に長期投資することで既存株主の富を増やす
ということが腑に落ちればいいかなと思います。
特に②がわかれば、自社株買いを正当化できるのは長期的に繁栄できる優良企業だけだとわかりますよね。自社株が超優良株でないと、自社株に永久投資なんてできませんよね。
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【持論】優良企業なら高値で自社株買いしても構わない。限度はあるけど・・
本記事で、自社株買いによるEPS・DPSについて、一点質問させてください
素人の考えで、間違っていたらすみません
「一株あたり」の数ですが、「消却」を行わないと実質の数が減ることにはならないのではないのでしょうか
アップルが自身の株を買っただけの場合、市場に放出されている、他の株主の株が横から横へと自身に渡っているだけのように思えました
その場合、市場に出回っている(出回る可能性のある)株の数に変動はないのではないかと、考えてしまいました
市場は、将来アップルがまた市場に自身が保有する株を放出する可能性を考慮しないものなのでしょうか
つまりEPSはDPSは、現在の市場の流通数だけで計算されるということでしょうか
(その場合、長期ホールドしている投資家は、市場はどう考えるのかについても疑問です)
至らぬ質問で恐縮ですが、よろしくお願いします
おっしゃる通り、消却しないと株数は減りません。
しかし、市場から自社株を買い取るだけでも、実質的には株数は減少しているとマーケットは捉えます。
とは言え、消却していない限りは市場に再度流通するリスクもあるので、それを織り込んだ株価が付いていると考えられます。
つまり、100の自社株買いのうちすべてが株価に織り込まれるのではなく、再度市場に出回るかもしれない10を割り引いて、90だけが株価に織り込まれるということdす。
これは理論的な話で合って、実際に株価がどう決まっているかは知り得ませんが。
>市場は、将来アップルがまた市場に自身が保有する株を放出する可能性を考慮しないものなのでしょうか
考慮するものだと思います。
ただ、その考慮がどれほど株価を下げているかは、なかなか可視化できませんね。
ご質問ありがとうございました。
ご回答、ありがとうございます
> つまり、100の自社株買いのうちすべてが株価に織り込まれるのではなく、再度市場に出回るかもしれない10を割り引いて、90だけが株価に織り込まれるということdす。
理解できました
とすると、「消却」が行われた場合には、割り引かれていた分の株価上昇分が市場に反映され、株価に僅かながらの上昇圧力が働くのですね
その場合、企業が消却をせずに株を持ち続けるメリットは何になるのか、気になりますね
https://yagi-jimusho.com/blog/jikokabushikishoukyaku.html
上記サイトを見ると、非公開会社であれば登記費用や資金調達の面で利ですが、アップルのようなキャッシュを潤沢に生み続ける企業にとっては些末な利だなと感じます
これ以上は、本記事の趣旨から脱線している気がしますので、ここで止めておきます
丁寧なご解説、ありがとうございました
今後ともよろしくお願いします
私の知る限りですが、自社株を消却せずに保有していれば、その自社株を対価として使えるというメリットがあると思います。
たとえば、株式交換で企業を買収するケースです。
対価として現金ではなく新株を交付することが多いですが、新株発行をせずに既存の自社株を交付することも可能です。
他には、役員や従業員がストックオプションを行使しして株式を割り当てる時も、新株発行ではなく自社株を割り当てることができます。
恐らく(勉強不足で詳細知らない)、新株交付よりも自社株交付の方が法手続き的に簡便な点があるのだろうと思います。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。
新株交付の場合は少なくとも発行済み株式数が変動するので変更の登記は必要になりますね。
自社株交付の場合はこの手間がないはずです。
なるほど、それは実務的には大きそうですね。
自社株交付の方がなにかと楽なんだろうなと想像します。
②の考え方がいまいち納得ができなかったのでご質問させてください。
上のご回答にあるように消却しなければ将来キャッシュの代わりとして使いみちがありますが、消却した場合は市場にキャッシュを還元した以外の意味がないように感じています。
唯一メリットがあるとすれば、消却すればその分には配当を支払わなくて良いので、将来どこかの時点で自社株買い費用<それまでに払うはずだった配当となり、これは長期投資と呼べなくもないかもしれません。こういった意味での長期投資ということでしょうか?
消却してもしなくても、市場から自社株を買い上げたことに既存株主にとっての経済的意味があります。
市場にキャッシュを還元して、株数を減らすこと自体が目的です。
ちなみに、消却しなくても自社株に配当を払うことはありません。
自分に配当を払うことになるからです。
これは会社法で明文化されていることです。
>自社株買い費用<それまでに払うはずだった配当 はい、それはおっしゃる通りだと思います。 自社株買いの本質は配当の後払いだと理解しています。 長期的に配当を払い続けられることが重要なので、自社株買いをする時は長期投資的な発想が必要だと思います。