先日、奥さんが職場の同僚男子に「二人暮らしで家賃15万円なんて贅沢だね~」って言われたそうです。
確かに贅沢だと思う。自分の価値観だけ言えば、リモートワークもほとんどしてないし、家にここまでお金を払わなくてもいいかなとは思ってます。
お互いの職場に近いし、奥さんが築浅を希望することもあって、ちょっと高い家賃になっちゃいました。別に共働きだしいいかなと。次はもうちょっと都心から離れて、同じ家賃でも2LDKとかに住みたいです。自分の希望だけを言うと書斎が欲しい。そしたら在宅勤務もいいかも。
あ、で、「贅沢やな」と言われるのは別に構わないんですが、その後の展開にぶったまげました。
家賃15万円を贅沢と言うその同僚男子は、同じく二人暮らしだそうですが、今度マンションを買う予定でその値段が4500万円くらいだそうです。
いやいや、そっちの方が贅沢やろ(笑)。
割引現在価値という概念を知っておこう
毎月の支払額は15万円以下というシミュレーション結果なのかもしれないけど、普通に考えると家賃15万円の賃貸住宅より、買値4500万円の家の方がコスト高いですよ。
やっぱり最低限のファイナンス知識って大切だと思います。会計、財務を職業としてなくても、この資本主義ゲームのルールを理解するためにも、基本的な知識は勉強しておいた方が絶対にいいと思います。
特に大事なのは割引現在価値という概念。将来のキャッシュフローを一定の利回りで割り引くという発想ですね。
月の家賃が15万円ということは年間支払額は180万円。今後50年間、ずっと毎年180万円の支払いが続くと仮定します。そのキャッシュアウトを6%で割り引くとします。
結果はいくらになると思いますか?
正解は28,371,349円
エクセル使えば簡単に計算できます。
(ワークシートの一部)
利回り毎の計算結果を書いておきます。
8%:2202万円
7%:2484万円
6%:2837万円
5%:3286万円
4%:3866万円
利回りを4%まで下げても3000万円台です。
どの割引率を使うべきか迷うところですが、一般的に不動産投資の期待リターンとしては6%、7%は見ておきたいところですよね。
自宅は投資じゃないですが、投資と思って期待利回りは考えないと経済的にしんどくなります。
また、私たちは米国株という収益を生む資産に投資しているので、そこから考える機会コスト、つまり米株の期待リターンで考えても、6%~7%は想定すべきだと思います(いやもっと上10%を狙ってる??)。
割引率6%~7%なると、家賃15万円に匹敵する家の時価は2500万円~3000万円となります。
「家賃15万円がもったいないから、2000万円くらいの中古マンション買うわ~」ならまあ納得というか、経済感覚的には違和感ないですけどね。
最低限のファイナンスは勉強しといた方が絶対にお得
あるあるの間違いですが、キャッシュフローとPLを混同してはいけません。毎月の支払い額が小さいからって節約になっているとは限らないです。
いや、と言っても、企業じゃなくて家計ならキャッシュフローとPLを混同しても問題にないことが大半です。普段はキャッシュとPLのズレなんてほとんど起こらないし。クレジットで支払いが翌月になるくらいでしょう。
唯一、住宅くらいですね。キャッシュフローとPLの関係が見えづらくなるのは。
賃貸か持ち家か、どちらがいいかは、ライフスタイルの好みによります。損得計算だけで判断するところではないでしょう。
でも、金額が大きいから損得計算は必ずやるはず。その計算を間違えるのは避けたいですね。
主観的な価値観の相違は他人がどうこう言う話ではないけど、客観的な経済計算の誤りは正直「おいおいちゃうやろ」って言いたくなります。
ま、他人の生活にもちろん口出しなんてしないですけどね。余計なお世話だろうし。
ただ、ブログでは吐き出します。ブログはそういう場になる宿命なんですw
あと何かの縁でこのブログを読んでくださっているあなたには、基本的なファイナンスは知っておいて欲しいなというのは割と本気で思ってます。これも余計なお世話だったら申し訳ないのですが。
少しでいいから本読んだ方がいいです。千円の本を読んでおくだけで、そのリターンは数百万円いや数千万円になるかもしれません。投資リターンの改善ではなく、大きな買い物で計算を誤らないという意味で。
4年くらい前にブログで紹介したこちらの書籍が安くて個人的にはおすすめです。
同じ都内通勤の大人2人暮らし、ということで比較されているのでしょうが、「マンション価格4500万円≒賃貸15万円(月)」という点が成立しているのかが気になります。
キャッシュフローで計算して比較すると東京圏は常に割高ですね
あと、購入の場合は
・固定資産税・都市計画税
・管理費・修繕費
・火災保険(建物部分)
の費用が発生しますね
持ち家or賃貸、は永遠の論争テーマ
一寸先は闇、不動産価格が上昇するかも、災害や欠陥で価値が下がるかも、正解は結果的にしかわからないのでせいぜい「…とちゃうか」の世界だと思います。
購入ではローン減税、修繕費、賃貸では引っ越し、更新など考慮すべき事項はいろいろありますね。
結局のところ質と立地が同じ程度あれば、コストはさほど変わらないのかなとも思います。
ライフスタイルの柔軟性をどれくらい求めるかですかね。
こんばんわ。
今年30歳になる二人暮らし共働きで、都内の1LDKで15万円の賃貸に住んでいて高いなと思っていたのですが、2LDKに住みたいなと思い、さらに高い18万円もする千葉県のマンションに先月引越しました(笑)
たしかに手元に4,500万円の現金があれば、マンションよりも株式の方が良いとは思いますが、マンションだと借り入れができますし、金利や控除等を考慮すると、(マンションを購入しなかった時と比べても)物件次第では十分に期待キャッシュフローはプラスではないかと思います。
私は賃貸派でしたが、30歳を超えてくると、だんだん人生が見えてきて、2~3年後にはそろそろマンションを買ってもいいかなって思いつつ、やっぱり身動きが取りにくくなるので、どうしようかなと迷ってます。
迷った時はこの記事を思い出して、(損をする可能性が高いことを考慮しても)買いたいって思えるぐらいの物件であれば買おうと思います!
いつも面白い記事をありがとうございます。
おっしゃる通り、購入のいいところは低金利でお金を借りれるところですよね。
サラリーマンをやるメリットの一つは銀行からの高い信用だと思います。
その信用を存分に生かすには、事実上家を買うしか方法がないです。
千葉で18万円、いいですね~。
私は千歳烏山~調布あたりで同じ条件を見てますが、18万払えば結構良い物件が見つかります。
自宅は一度質を上げてしまうとなかなか戻れないですよね。
ただ、住宅にお金をかけるのは、いいお金の使い方だと個人的には思っています。
こんばんは。この問題は「答えはありそうでない。ケースバイケース」が答えかなぁと。
私自身は2011年の大震災後の9月に今の自宅マンションを買いましたが現在では40%ほど値上がりしてます。子育て世帯に人気の場所(公立小学校でも、かなり人気差はあります)で買い手も付きやすいのが大きな理由でしょう(売りませんか?チラシの多さよw)地方の過疎が予想される場所は上がる要素もないので将来の資産としての金額だけで判断すれば所有する事で損は免れないでしょうし。結局、物件でも株でも需要があるかないかが全てかと思いますね。
こんばんは。
そうですね、個別物件によって条件は様々です。
需要次第というのはその通りで、無理してでも都心の一等地を買った方が資産価値は維持されると言われますね。
はじめまして、時々ブログ拝見し、参考にしております。
記事の趣旨の部分はおおむね理解し、面白いと思いましたが、
さすがに今の2800万円と50年で9000万円が同等の負担というのは極端な気がします。
やはり割引率6%に違和感があって、
不動産投資の期待値ではなく、投資全般の平均リターンの方がしっくりきます。
一般投資家に限れば、平均リターンはせいぜい1-2%ではないかなとも。
それと、今の2800万円と50年で9000万円と「金銭的には同じ価値」ならば、
購入した方が得という考え方も成立する気がして、示唆に富んだ記事だと思いました。
はじめまして。
コメントありがとうございます。
割引率6%に違和感があるというのはわかります。書いててなんですが。
これは立場によって違うのかもしれません。
日本は超低金利ですし、預金しか持たない一般的な日本人にとって、6%の利回りで割り引くのは現実感ないと思います。
一方で、米国株に投資している私たちは6%くらいの利回り(時間価値)は想定できるのかなとも思います。機会コストという意味で。
ところで、今の2800万円と50年で9000万円と「金銭的には同じ価値」、というのが違和感があれどファイナンスの世界です。
それが長期投資、複利の凄いところとも言えます。
複利は実感しづらいと言われますが、同じく将来CFの現在価値も実感しづらいものと思います。
40年後、50年後の100万円の支払いは現在価値に直すとほんの小さな金額になります。
いつも楽しみに拝見しております。特に「会計の考え方をいかに家計に落とし込むか」という点について
分かりやすく解説してくださるので、とても参考になります。
私は簿記が苦手で大変苦労しました。仕分けも苦手で、精算表も大体数字が合いません。
会計に向いていないのですが、使いやすいソフトもありますし、電卓叩く必要もないので
簿記の試験はちょっと、実用的ではないのではと思ったりします。でも、
Hiroさんは基本的な考え方(概念)を分かりやすく説明してくださるのでありがたいです。
家計で考えると会計も理解しやすいですね。家計のBSをざっくり作って、そのBSが年間でどのくらいの
キャッシュを生み出すか、シミュレーションしてみると楽しいです。
今後とも解説をよろしくお願いします。
いつもありがとうございます。
簿記の勉強は概念はすぐに実務に使えますが、各論点は確かに実務から離れるものも多いですね。
特に簿記2級の特殊商品売買なんて、、
連結会計なんかは座学と実務が結構似ていて面白いなって私は感じました。
家計はシンプルなのであまり会計、ファイナンスの概念を持ち込む必要はないんですが、支払いが長期に及ぶ住宅だけは別かなと思っています。
あ、あとたまに記事にしてるバランスシートを作成するのは個人的には家計でもやってみると有益かなと思ってます。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いします。
コメント欄の皆さんレベルが高いですね!
現在、手元に2800万円ある人が適切に資産運用すれば、家賃15万円×50年分に匹敵するということですよね。
住宅購入すると様々なリスクを抱えますが、10年住んでも買った値段で売れることもあるのが住宅購入の魅力なのかなと思います。
同僚男子さんも4500万円で売れれば高い買い物じゃないんでしょうしね。
どちらの意見もわかるので住宅のテーマは面白いですね〜
>現在、手元に2800万円ある人が適切に資産運用すれば、家賃15万円×50年分に匹敵するということですよね。
はい、そういうことですね!
住宅は個人単位でファイナンスの議論ができる貴重なネタだと思っており、定期的にブログの記事にさせて頂いています。
家の話は自分事として考えることができますし。
家賃15万円の現在割引価値から2800万円とが同等と仰っていますが、どうにも腑に落ちません。それは2800万円を一括で支払う場合との比較ですよね?
仮に(というか大抵の場合はそうだと思いますが)ローン支払いの場合ではどのように考えればよいでしょうか?
私の認識が間違っていれば、よろしければ教えていただければありがたいです。
支払い方法については特に議論していない理解です。
年180万円のキャッシュフローが50年続くと仮定した場合、その現在価値っていくらだろうか、という点について住宅をネタに記事にしてみた次第です。
私は特にファイナンスの専門家でもないので、あくまで1意見としてよろしくお願いします。
お返事ありがとうございます。
承知しました。
ファイナンスは勉強不足で、C/FとP/Lの違いあたりでいつも戸惑ってしまうんです。
このブログではとても勉強になります。今後も記事を楽しみにしています。
よろしくお願いします。
※すみません、新規コメントのつもりがツリーの中に入ってしまっていました。
いえ、お返事ありがとうございます。
こういうお金の話はなかなか日常ではしないことが多いこともあり、ブログで思ってることを書いてます。
それがお役に立てれば嬉しいと思う一方で、私の偏った見方、意見なども多分に含まれますね、どうしても。
今後もよろしくお願いします。
賃貸と持ち家の論争は尽きませんよね。
私も投資好きといこともあり、賃貸派でした。
家賃には賃貸人の利回りが含まれるので同グレードの住宅ならば、
キャッシュフローは厳しくなりますが、人生リスクへの保険と割り切ってました。
が、子どもが生まれると事情が変わるんですよね。
なにかとお金がかかるのに、広い家が欲しくなる。
1部屋増やすと家賃が+5-7万円。投資に回せるお金もその分減ってくる。。。
で、購入に踏み切ったのですが、借りた金を返すだけと思うと不思議と気持ちが楽になりました。
持ち家転向派の感想です。連投、失礼しました。
これからも記事、楽しみにしています!
子どもが生まれると考えが変わると、皆さん口を揃えておっしゃりますね。
うちの妹も娘が生まれてから、格安の社宅を出て、一軒家を建てました。
広さよりも、衛生面が気になったとのことで(社宅はカビが生えているとかで)。
私と妻も今はお互い賃貸派ですが、今後どうなるかはわかりませんね。
いえいえ、コメントありがとうございます!
比較対象同士の条件が揃って無いです。
A. 50年間の家賃を一括先払いして2,800万円。
B. 2,800万円の物件を一括購入する。
Bの一括購入の方が、資産として手元に残るから断然良い条件になりますよ。つまりBの金額が多少上がったとしても一括購入の方がお得になるケースがある。それがもしかしたら4,500万円を超えるかもしれない。
ご意見ありがとうございます。
HIroさん、お世話になっております。
この3か月で不動産の考え方が大きく変わって、その変化がすごいですね。
今、Hiroさんが求めておられるマンションは「4500万円」超えてますものね。(笑)
ここ10年で、さっさと結婚して、都心に新築マンション買って、固定より短期金利のほうが
「安いから」というだけで、ローンを組むようなおよそ「金融リタラシーのなさそうな人」が
実が勝ち組だなんて、本当に皮肉なものですね。はやり常識を疑う必要があると感じました。
一方、地方に行けば500万円程度で古民家がゴロゴロ売りにでてますね。一口に不動産といっても
もはや別次元ですね。やはり都心のマンションは夫婦で稼ぐ家庭がいかに効率的に生活できるか
というためのものなのでしょうか。やっぱり不動産は株以上に「美人投票」ですね。
みんなが欲しいと思える物件は必ず売れるということでしょうか。
ぜひ、素敵なマンションをゲットして報告下さい。
今後とも楽しみにしております。
そうですね、不動産は美人投票的な要素が株より大きいと私も思います。
とはいえ、家賃というファンダメンタルを無視して買い上げられたら警戒する必要があると思っています。
現在の都心のマンション価格はまだその域は超えてないというのが、素人ながら私の判断です。
賃貸経営をするなら、ボロ物件を買って低コストでリフォームするのが有効なのでしょうね。
そんな簡単にやれるものとは思いませんが。
事業性ローンで普通にマンションを買って儲かることはまずあり得ないなあと、勉強して改めて感じました。
利回り4%でも行けると思えるのは、0%台の住宅ローンがあってこそです。