ダウの犬投資法とは?

「ダウの犬投資法」と呼ばれる投資戦略があります。NYダウを構成する30銘柄の中から、12月31日時点で配当利回りが高い10種に投資するというシンプルな方法です。

NYダウは米国を代表する大型企業で構成されていますが、その中でも特に割安と見られる銘柄を抽出しようという試みです。配当利回りが高い=割安と一概に言えるわけではありませんが、シンプルな方法で簡便的にスクリーニングしましょうという感じですね。

2020年ダウの犬10種

2019年12月31日時点のNYダウ構成銘柄を配当利回りが高い順に並べます。赤字にした上位10種が2020年のダウの犬です。

ティッカー 銘柄名称 利回り
DOW ダウ 5.2%
XOM エクソン・モービル 5.0%
IBM IBM 4.8%
VZ ベライゾン・コミュニケーションズ 4.0%
CVX シェブロン 3.9%
PFE ファイザー 3.4%
MMM スリー・エム 3.2%
WBA ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス 3.0%
CSCO シスコシステムズ 3.0%
KO コカ・コーラ 2.8%
CAT キャタピラー 2.8%
MRK メルク 2.7%
JNJ ジョンソン&ジョンソン 2.7%
JPM JPモルガン・チェース 2.6%
MCD マクドナルド 2.5%
HD ホームデポ 2.5%
BA ボーイング 2.5%
TRV トラベラーズ 2.4%
PG プロクター&ギャンブル 2.4%
INTC インテル 2.2%
GS ゴールドマン・サックス 2.2%
UTX ユナイテッドテクノロジーズ 2.0%
WMT ウォルマート 1.8%
UNH ユナイテッド・ヘルス・グループ 1.5%
AXP アメリカ・エキスプレス 1.4%
MSFT マイクロソフト 1.3%
DIS ウォルトディズニー 1.2%
AAPL アップル 1.1%
NKE ナイキ 1.0%
V ビザ 0.7%

利回りトップはダウ・デュポン(DWDP)が分割してできたダウ(DOW)です。他の銘柄は2019年と大きく変わらないように見えます。IBMやエクソンモービル、ベライゾンなどは相変わらず利回りが高いです。昨年株価が大きく上昇したコカ・コーラですが、今年もギリギリでダウの犬に入りました。

2019年ダウの犬の結果

昨年の結果を確認しておきましょう。2019年のダウの犬10種は以下でした。

IBM(IBM)
エクソンモービル(XOM)
ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)
シェブロン(CVX)
ファイザー(PFE)
コカ・コーラ(KO)
JPモルガン・チェース(JPM)
プロクター&ギャンブル(PG)
シスコシステムズ(CSCO)
メルク(MRK)

各銘柄の2019年のトータルリターンは以下の通りです。

赤い点線がNYダウのリターン(+28.4%)ですが、それを超えているのはJPMとPGのみ。あとはすべて負けです。ダウの犬10種の平均リターンは19.1%とNYダウ指数を9%もアンダーパフォーマンムしました。

そもそも、ダウの犬の顔触れが昨年とあまり変わっていないということは、株価が上がらず利回りが高位のままということであり、ダウの犬の相対的な低リターンを示唆していますね。エネルギー株の復調はまだ見られません。後発医薬部門をスピンアウトしたファイザーのリターンはマイナスに。シスコはガイダンスを下方修正。2019年はダウの犬のボロ負けです。

ちなみに、2019年のダウ銘柄で最高リターンだったのはアップルで+88%でした。次はマイクロソフトで+57%。ビザも+43%と大健闘。相変わらずハイテク優良株が相場を牽引した一年でした。

ダウの犬の勝敗履歴(2001年~)

2001年からのダウの犬とNYダウの勝敗の履歴です。

ダウの犬 NYダウ 判定
2001年 -5% -5% 引き分け
2002年 -11% -15% 勝ち
2003年 33% 28% 勝ち
2004年 7% 5% 勝ち
2005年 -5% 2% 負け
2006年 32% 19% 勝ち
2007年 2% 9% 負け
2008年 -39% -32% 負け
2009年 18% 23% 負け
2010年 21% 14% 勝ち
2011年 15% 8% 勝ち
2012年 10% 10% 引き分け
2013年 35% 30% 勝ち
2014年 11% 10% 勝ち
2015年 3% 0% 勝ち
2016年 17% 14% 勝ち
2017年 23% 28% 負け
2018年 0% -4% 勝ち
2019年 19% 28% 負け

ダウの犬の11勝2引き分け6敗です。配当利回りのみでスクリーニングしているだけの10種ですが、これが意外にもNYダウ30種を圧倒しています。実務的には毎年末に売却すると税金や手数料が発生するため、なかなか実践する気にはなれませんが、悪くない投資法ではありますよね。

配当利回りでバリュエーションを判断するのは適切とは言えません。PER(益回り)で見る方が理論的です。しかし、実際には高い配当を追い求めると結果としてリターンも付いてくるということを過去の実績が物語っています。ダウの犬は売られ過ぎの高利回り企業とは言え、NYダウに選出されるくらい強い事業構造を持っていることがリターンを支えていると思います。

改めて2020年のダウの犬のご紹介

改めて2020年のダウの犬を紹介します。

ダウ(DOW)
エクソンモービル(XOM)
IBM(IBM)
ベライゾンコミュニケーションズ(VZ)
シェブロン(CVX)
ファイザー(PFE)
スリーエム(MMM)
ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンス(WBA)
シスコシステムズ(CSCO)
コカ・コーラ(KO)

私が個別株で保有している銘柄が6つもあります(笑)。XOM、IBM、VZ、PFE、CSCO、KOです。何の自慢にもなりません。自分がいかに高利回り銘柄に偏重しているか再確認できました。

これが長期的に吉と出ればいいのですが、わかりませんね。低利回りのマイクロソフト、ビザの卓越したリターンが今後も続く可能性もありますし。