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【IBM銘柄分析】IBMはコンピューター時代を創ったITサービス大手。現在、事業改革中。

   

※2017年12月期決算データ反映、BSデータ追加、コメント刷新(2018/4/12)

S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はInternational Business Machines Corporation(IBM)をご紹介します。


    IBM財務情報

基本情報

会社名 IBM
ティッカー IBM
創業 1910年
上場 1915年
決算 12月
本社所在地 ニューヨーク州
従業員数 380,300
セクター 情報技術
S&P格付 AA-
監査法人 PwC
ダウ30
S&P100
S&P500
ナスダック100 ×
ラッセル1000

 

地域別売上高

 

セグメント別売上構成比

 

業績

 

キャッシュフロー

 

バランスシート

資産

負債純資産

 

株主還元

この記事を読むともっとこのグラフを理解できます!

 

連続増配年数

18年

 

バリュエーション指標等(2018/4/12時点)

PER:25.7倍 最新情報はこちら

配当利回り:3.8% 最新情報はこちら

配当性向:43% 最新情報はこちら

 

感想

IBMは1911年にニューヨークで創業したIT企業です。設立当初はタイムレコーダーなどを開発していた小さな会社でしたが、今では従業員38万人を抱えるITサービスの巨大企業です。

1964年にIBMの社運をかけた一大事業だったメインフレームSystem 360の開発に成功し、コンピューター界で盤石の地位を築きました。メインフレームやパーソナルコンピューターでIT時代の幕開けを牽引した同社ですが、1980年代辺りから他社の追随を許すようになります。特にマイクロソフトのOS搭載のPCが出始めたことで、メインフレーム事業の利益率は急速に低下し、1990年代前半には3期連続の最終赤字に陥りました。

90年代になってRJRナビスコ会長からIBMのCEOに就任したルイス・ガースナー氏が大ナタを振って事業を再編し、IBMを復活させました。ガースナー氏は当時のIBMの従業員はとても優秀かつ真面目で勤勉だったが、とにかく組織が官僚的で硬直していたと後に語っています。外のお客様を見るのではなく、皆内側を向いて仕事をしていたと。なんだか典型的な日本企業のようです。

ガースナー氏はそんなIBMの組織・文化を変え、また経営資源を適切に配分することで見事IBMの業績を改善させました。具体的には、メインフレームの価格を思い切って引き下げて在庫を捌くとともに、主力事業をITコンサルティングに据えました。要件定義からシステム構築、運用後の稼働サポートまで一貫してクライアント企業を統合的に支援するビジネスです。製造業からサービス業への大転換だと言えます。組織の文化を変えるのは一筋縄ではいきません。ガースナー氏がいなければ今のIBMはなかったでしょう。歴史に残る名経営者です。

そのIBMは今再び苦境に直面しています。上述したコンサルティングを通したハードウェアの販売収入の落ち込みが大きく減収決算が続いています。現CEOのバージニア・ロメッティ氏は「戦略的必須」事業(ソーシャル・ネットワーク、モバイル、アナリティクス、クラウド、ビッグデータ分析、セキュリティ技術)の売上高拡大を目指しており、2017年にはこれらの「戦略的必須」事業の割合は46%にまで拡大しています。

「戦略的必須」事業の粗利率は79%とかなり高い数字です。対して旧来のITサービス事業の粗利率は25%しかありません。これらが合わさって全体の粗利率46%となっています。今後人工知能やクラウド関連の事業がうまく軌道に乗れば、IBMの利益は大きく向上する可能性があります。しかし、後述しますが現在の11倍という低いPERから推測するに、マーケットはIBMの成長に懐疑的なようです。

過去の財務データを確認しましょう。

売上高はFY11から減少傾向でしたがFY15~FY17までは何とか横ばいを保っています。レガシーのハードウェア事業の不振が響いています。事業転換によって今後成長路線に戻れるのか注視する必要があります。粗利率の低下も目立ちます。事業を拡大しているコグニティブ・ビジネスの収益性が高いことを考えれば、全社での粗利率低下は既存ビジネスの収益性が一層悪化していることを意味しています。

FY17に純利益・EPSが大きく下落していますが、法人減税に伴って55億ドルの一時損失を計上しているためです。実績PER26倍は実態を示していないので注意しましょう。調整後EPS13.8ドルに基づくPERは11倍(2018年4月12日時点)で割安感のある数字です。IBMの再復活についてマーケットがあまり信頼していないことが11倍というPERに表れているように感じます。この「割安」な株価をチャンスと見て投資するかどうかは各投資家の判断次第ですね。

業績不振が続いている割にキャッシュフローは安定しています。営業CFマージンは20%超を確保しているし、フリーCFも多いです。マイナス成長に陥っているものの資金は余裕で回っており、事業転換を進めるための投資キャッシュは問題なく確保できているようです。

バランスシートを見てみましょう。自己資本比率は14%と低めの数字です。これは別に業績悪化で借金を重ねているからではありません。今まで多額の自社株買いを行ってきて純資産を食い潰しているためです。特にバフェットが大株主だった時代に多額の自社株を買い戻しました。フリーCFは潤沢な会社ですから株主還元に回せるお金も十分にありました。ただ今後は自社株買いより事業投資を優先すると思われます。総資産の60%が固定資産ですがその半分程度は「のれん」です。

配当は毎年増加しており連続増配年数は18年です。自社株買いにも積極的ですが、さすがにここ3年間は少なめで総還元性向は70%ほどです。今は株主還元よりも投資を優先しています。

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