※2019年12月期決算データ反映、コメント刷新

S&P100構成銘柄を中心に米国企業の業績、財政状態、キャッシュフロー、株主還元状況について過去10年分のデータをグラフ化しています。

データソースはMorningstarです。

今回はInternational Business Machine(IBM)をご紹介します。

基本情報

会社名IBM
ティッカーIBM
創業1910年
上場1915年
決算12月
本社所在地ニューヨーク州
従業員数383,800
セクター情報技術
S&P格付AA-
監査法人PwC
ダウ30
S&P100
S&P500
ナスダック100×
ラッセル1000

地域別情報

地域別売上構成比

地域別売上高推移

セグメント情報

セグメント別売上構成比

セグメント別売上高推移

セグメント利益推移

セグメント利益率推移

業績

キャッシュフロー

バランスシート

資産

負債純資産

株主還元

連続増配年数

20年

過去10年の配当成長

年率+11.6%

この10年で配当は3.0倍になりました。

過去の株主リターン(年率、配当込み)

過去10年(2010~2019):+3.2%
過去20年(2000~2019):+3.1%
過去30年(1990~2019):+8.3%

バリュエーション指標(2020/3/1時点)

予想PER:10.0倍 最新情報はこちら

配当利回り:5.0% 最新情報はこちら

コメント

IBMは1911年にニューヨークで創業したIT企業です。設立当初はタイムレコーダーなどを開発していた小さな会社でしたが、今では従業員35万人を抱える巨大ITサービス企業です。

1964年にIBMの社運をかけた一大事業だったメインフレームSystem 360の開発に成功し、コンピューター界で盤石の地位を築きました。メインフレームやパーソナルコンピューターでIT時代の幕開けを牽引した同社ですが、1980年代辺りから他社の追随を許すようになります。特にマイクロソフトのOS搭載のPCが出始めたことで、メインフレーム事業の利益率は急速に低下し、1990年代前半には3期連続の最終赤字に陥りました。

90年代になってRJRナビスコ会長からIBMのCEOに就任したルイス・ガースナー氏が大ナタを振って事業を再編し、IBMを復活させました。ガースナー氏は当時のIBMの従業員はとても優秀かつ真面目で勤勉だったが、とにかく組織が官僚的で硬直していたと後に語っています。外のお客様を見るのではなく、皆内側を向いて仕事をしていたと。なんだか典型的な日本企業のようです。

ガースナー氏はそんなIBMの組織・文化を変え、また経営資源を適切に配分することで見事IBMの業績を改善させました。具体的には、メインフレームの価格を思い切って引き下げて在庫を捌くとともに、主力事業をITコンサルティングに据えました。要件定義からシステム構築、運用後の稼働サポートまで一貫してクライアント企業を統合的に支援するビジネスです。製造業からサービス業への大転換だと言えます。組織の文化を変えるのは一筋縄ではいきません。ガースナー氏がいなければ今のIBMはなかったでしょう。歴史に残る名経営者です。

そのIBMは今再び苦境に直面しています。上述したコンサルティングを通したハードウェアの販売収入の落ち込みが大きく減収決算が続いています。

2019年にクラウド用ソフトウェア大手のレッドハットを330億ドルで買収。IBM史上最高額のM&Aです。クラウド事業において競合のアマゾン、マイクロソフトから完全に出遅れたIBM。レッドハットの買収で起死回生となるか。投資家は高いリスクを負っています。

2020年、8年間CEOを務めたロメッティ氏が退任し、クラウド事業を率いるクシュナー氏が新CEOに就任すると発表。クシュナー氏はレッドハット買収を主導した人物です。また、レッドハットCEOのホワイトハースト氏がIBM社長に就任します。

財務データを確認しましょう。

売上高はFY11をピークに減少傾向。FY19の売上高は771億ドルで前年比▲3%の減収ですが、事業売却とドル高の影響を除くと若干の増収です。レッドハット買収は第3四半期から連結ということもあり、それほど売上高に恩恵はなかったようです。「クラウド、コグニティブ」が4%伸長したものの、「グローバル・テクノロジーサービス」が6%の減収となりました。

FY19の純利益は94億ドルで前年比+8%。粗利率の高い「クラウドコグニティブ」部門の成長で事業ミックスが改善。

営業キャッシュフローは売上高と同じくこの10年減少傾向です。ただ、安定感はあります。営業CFマージンは20%前後。

FY19に総資産が23%増加しているのはレッドハット買収の影響です。のれん、無形資産が増加。有利子負債も増加しており、財務は悪化しています。

連続増配年数20年。バフェット(バークシャー)が株主だった2012年前後は100億ドル以上の自社株買いを実施していましたが、戦略的事業への投資を進めている最近は控え目です。FY19の買い戻し額は16億ドル、総還元性向は80%弱です。