バランスシートの右下を握った者が資本主義経済の当事者
ちょっと前ですがアメリカの半導体大手エヌヴィディアが、イギリスの半導体設計アームをソフトバンクから買収しましたよね。
IoT社会の中心的役割を果たすとして孫さん肝いりのアーム取得(2016年)でしたが、結局は米国企業の手中に入っちゃいました。まあ、ソフトバンクとしてはたった4年で1兆円の株式売却益なわけで、結果オーライなんじゃないでしょうか。孫さんの心中は知りませんが。
んで、このエヌヴィディアへの株式譲渡を当のアーム経営陣や英国は快く思っていないそうです。世界のほぼすべてのスマホに搭載されるプロセッサの設計図たるARMアーキテクチャが米国の手に渡るなんて!と。
また、エヌヴィディアはARMの主要顧客の一つでもあるので、その点も中立性の観点からARMのビジネスに悪影響だと訴えていました。
と色々意見はあるわけですが、そんなこと今さら言っても仕方ありません。ARM株を売却したいと望むソフトバンクの意思を合法的に妨害する術はありません。そもそもソフトバンクに株を売り渡した時点で生殺与奪件は奪われているわけです。
株式とは企業の所有権。株を売るということは所有権を失うということです。
リスクを取って株を買った者、バランスシートの右下を握った者に会社の重要な意思決定を行う権利があります。そして、それによって得られた利益を享受します。もちろん良いことばかりではなく、判断をミスって事業に失敗した時は株主が経済責任を負わなくてはなりません。
バランスシートの外でどれだけワーワー騒いでもそれはただの一人芝居です。バランスシートの右側、それもできれば右上(負債)ではなく右下(純資産)を掴んで資本主義経済の当事者にならないと自分の意見を通すことはできないし、富の分配も満足には受けられません。
資本家と非資本家の格差がますます拡大する
コロナ禍に伴う財政刺激策で米国民の貯蓄は急上昇しました。そのお金はいずれ消費されて企業の懐に入ります。その一部は従業員の給料へと還元されるでしょうが、基本的には資本家間を行き来します。なぜなら、企業の儲けと労働者の給料はほとんど連動しないからです。
これから財政主導の金融相場が始まる可能性が高いです。5年と言わず10年くらい続くかも。こういう時にバランスシートの右下をしっかり握っておかないと、経済格差の下側に取り残される恐れがあります。逆に言うと、しっかり握っておくだけで金持ちになれるかもしれません。
先に言った通り、株式投資は損失リスクを伴います。どこまでリスクを負うか自分で決めないといけません。若いからって100%フルインベストが正しいとは限りません。
が、兎にも角にも、ある程度は優良企業のバランスシートの右下を握っておいた方がいいと思います。
てか、握っておかないとヤバいとさえ感じます。貯金(債券)と株式の利回り格差は無視できない状況です。超低利回りの貯金(債券)を踏み台にして、資本家が豊かになろうとしています。それが社会的に良いか悪いかの議論は一旦横に置いておくとして、先ずはその状況を理解してあなた自身が有利な場所に身を置いた方がいいです。
今、米株は割高という意見もありますが、私はそんなことないと思っています。財政刺激マネーが火を噴けば、ちょっと高いPERなんて余裕でペイできるくらいEPSは伸びるだろうと予想してます。
米国株が株高との意見は頻繁に聞こえますが、私はETFや投資信託の隆盛もそれに寄与していると見ています。
ETFや投信を定期的に買い付けるひとが増えるほど「買い」が増えると思いますので。
将来を見越して淡々と買い付ける、個人投資家の小さな行動も積み重なれば大きなものになると思います。
不況下も継続積立する姿勢が実体経済との乖離を産んだりしているのかなとも思います。
事実、バンガード社、ブラックロック社、ステートストリート社は相当数の企業においてかなりの割合の株式を保有していますよね。
ちょろっと素人ながら頭によぎった程度のことなのですが、Hiroさんはいかが思われますか?
株高は投資家要因とファンダメンタル要因の二つがありますね。
前者は金余りや将来不安から、株式ファンドへ資金が大量に流入することで起きるもの。
後者は将来の業績見通しが改善されることで、株式のマーケット評価額が高まることで起こるもの。
この二つを完全に分けて考えることはどうしてもできないのですが、おっしゃる通り現在は前者の要素もかなりあると思います。
が、やはりファンダメンタルで見て株式にバブル感はないので(割安感もないけど)、私はさほど悲観はしていません。
実体経済とマーケットが乖離しているとよく言われますが、両者は時間軸が異なるので今の様な局面では乖離するのも当然かなと思っています。
マーケットは明らかにワクチン接種後、アフターコロナの経済拡大を予想しており、そのマーケット見通しは決して楽観過ぎるものではないと思います。
まあ、将来のことなのでわからないんですけどね。