4月23日に公表された、通信大手ベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)の2019年度の第1四半期決算は良かったです。調整後EPSは1.2ドル、売上高は321.3億ドルでともにアナリスト予想を上回りました。

が、開示後にむしろ株価は急落しました。58ドル台だった株価は一時55ドル台に。4月29日現在は56ドル台です。別に暴落したわけではないですが、良い決算の割にマーケットの反応は悪いです。

株価が上下する理由なんて特定できません。日々のニュースでは「リセッションを懸念して・・・」とか「逆イールドが・・・」とか「日中貿易問題で合意が進み・・・」とか言われますけど、実際はそんな一言で片づけれるほどマーケットは単純ではありません。一つ確実に言えることは、誰かがベライゾンの株を売ったからベライゾンの株価が下がったということです。

〇〇の理由でベライゾンの株価が下落したなんてことを素人の僕が言うつもりはないのですが、今回の下落を見て少し安心しました。というのも、ここ最近のベライゾンの株価はちょっと上がり過ぎに見えていたからです。

昨年後半と今年3月には一時60ドルを超えました。後出しじゃんけん的な発言でカッコ悪いですが、あの時は一部売却しようか真剣に悩みました。結局売りませんでしたけど。

2019年予想EPSに基づくと60ドルという株価はPER13倍ほどになります。13倍と聞くとむしろ低いと感じるかもしれませんが、ベライゾンにしては高いです。同業AT&Tの同数値は8倍台です。

配当利回りも目安の4%を割りました。2016年からウォッチを続けていますが(たかが3年ですが)、ベライゾンの利回りが4%を切ったのは恐らく初めてです。PERもこれまでより高いなあと思いながら、チャートを眺めていました。

ディレクTVとタイムワーナを買収して、コンテンツビジネスに思い切った投資を行っているAT&Tと同列にバリュエーションを比較して良いとは思ってません。ベライゾンのPERがAT&Tより高いのは道理だと思っています。

が、にしても、ちと最近のベライゾンのバリュエーションは高騰気味かなと感じていました。Q1決算が良くてここからさらに株価が上昇したらどないすんねん、って思ってたけど、株価はしっかり調整してくれて少しホッとしました。

ベライゾンの第1四半期売上高は予想を上回る321億ドルでしたが、YoYでは+1%の成長に過ぎません。超スロー成長です。これだけ成長ペースが緩やかだと、PER13倍でも高く感じます。 5Gがどーこー言われますけど、まだまだビジネスは限定的だし、100%米国内通信ビジネスを営んでいるわけだから、そんな急に売上高が成長するとは思えません。5Gへの設備投資が利益を圧迫もします。

現在の株価56ドルでPERは12倍くらいか。せめてこれくらいには落ちてくれないとね。AT&TのようにPER8倍台まで下がることはないにしても、10倍~12倍のレンジにはいて欲しいです。それが似つかわしい。高PERも中PERもベライゾンには似合わない。低PERがお似合い。利回りもせめて4%は欲しいところ。

20世紀後半、フィリップモリスの平均PERは13倍と投資家期待は低く、それが破格の高リターンを生み出しました。それと同じストーリーをベライゾンに求めるなんて無理難題。EPSがこれから10%以上の伸び率で成長するなんて考えられないですから。同じ低PER銘柄でも意味が全く違います。ベライゾンはいつも低PER・高利回りですが、決して売られ過ぎなわけではありません。

PER11倍で益回り9%。2%のインフレ率を差し引いても7%のリターン。これくらいの安定リターンを地味に狙いにいくのが、通信銘柄への投資目的です。ポートフォリオのディフェンス役。これからも低PERを維持してくれることを期待します。でないと追加投資しない。