※2017年5月26日更新

世の中には無配の企業も多く存在します。
メジャーな米国企業で言うと、フェイスブックやアマゾンなど。

米国では会社は株主のものという意識が強く、株主に利益をもたらさない企業は強く糾弾され経営者は株主から圧力をかけられます。

では、なぜフェイスブックやアマゾンは無配でも株主から許されているのか?

それは、配当金になんて回さなくていいから稼いだキャッシュは全額事業投資に回してよいと株主が認めていて、経営者も株主に配当として還元するよりも事業に再投資した方が株主価値向上に貢献できると考えているからです。

株主の要求リターン(資本コスト)が10%だとして、事業投資の予想利回りが20%だとしたら、そのような高利回りで再投資できるのであれば、無配の経済合理性は成立します。

しかしながら、数年間だけならまだしも、そのような高利回りの事業再投資を長期的に継続するのは困難なのです。

多くの企業は株主のお金を再投資しておきながら、思った通りに収益を上げることができず、結局株主のお金を無駄にして株主価値を棄損させてしまうのです。

もちろん経営者も株主利益のために賢明に経営して再投資したわけですが、所詮自分のお金ではなく他人(株主)のお金に過ぎないという考えもあることは否定できません。

経営者と株主の利害対立(エージェンシー問題)は長期投資家にとって、避けられない課題です。

株主のお金が無配、低配当のまま30年超も株主価値向上のために使われ続けると期待するのは考えが甘すぎるのです。

長期投資になればなるほど、多額の再投資が不要な成熟大企業に投資すべきです。

配当金は株主価値向上のために経営をしてきました、という経営陣から株主へのメッセージです。
現ナマほど強いメッセージはありません。

長期投資家はなるべく高配当の銘柄に投資して、配当再投資を続けることが大切。

そんな高配当な企業を自動で選別して複数の銘柄に投資できる便利なツールがETF。

配当に着目するETFは数多くありますが、特におすすめしたいETFが、
バンガード・米国高配当株式ETF(VYM)

今回は、このVYMはどんなETFなのかご紹介します。

  VYMの詳細情報

概要

配当利回りが市場平均を上回る米国の大型株で構成される指数である、FTSE ハイディビデンド・イールド・インデックスに連動しています。

設定日は2006年11月。

 

投資国

米国企業のみ

 

経費率

0.09%
0.08%(改定)

長期投資の最大の敵は手数料。

株式のリターンは変動がありますが、毎年の経費は確実に投資家のリターンを悪化させます。
当然ですが、経費率は低い方が好ましい。

VYMの経費率はなんと0.08%と破格の低コスト!
高配当ETFの中で最安です。

1,000万円VYMを保有していても、年間経費は僅か8千円です。

 

組入銘柄数

427銘柄

非常に多くの銘柄に分散されており、安心して投資できます。

 

上位構成銘柄

VYMの上位構成銘柄は以下の通りです。

ティッカー 銘柄名 構成比
MSFT マイクロソフト 5.5%
XOM エクソン・モービル 3.6%
JNJ ジョンソンエンドジョンソン 3.6%
JPM JPモルガン・チェース 3.3%
WFC ウェルズファーゴ 2.9%
GE ゼネラルエレクトリック 2.7%
T AT&T 2.6%
PG プロクター&ギャンブル 2.4%
PFE ファイザー 2.2%
CVX シェブロン 2.1%
VZ ベライゾン・コミュニケーションズ 2.0%
KO コカ・コーラ 1.9%
PM フィリップモリス 1.8%
MRK メルク 1.8%
CSCO シスコシステムズ 1.8%
INTC インテル 1.8%
PEP ペプシコ 1.7%
IBM IBM 1.6%
MO アルトリア・グループ 1.5%
AMGN アムジェン 1.3%
MMM スリーエム 1.2%
MCD マクドナルド 1.2%
WMT ウォルマート 1.2%
ABBV アッヴィ 1.1%
BA ボーイング 1.1%

上位10銘柄構成割合:31%
上位25銘柄構成割合:55%

マイクロソフト(MSFT)、エクソンモービル(XOM)、ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)など優良企業ばかりです。

この記事を初めて書いたのは2016年の夏。
当時は米国株の知識も今よりかなり薄弱でした。

今改めてVYMの構成銘柄を見ると、ホントに優良企業のオンパレードだな~と思います。
こんな優良企業が集まったVYMに長期投資して損することはほぼないと思います。

 

セクター別割合

セクター 割合
金融 15.3%
テクノロジー 14.4%
消費財 14.3%
資本財 12.7%
石油・ガス 10.7%
ヘルスケア 10.6%
公益 7.8%
通信サービス 5.5%
消費者サービス 5.4%
素材 3.3%

あらゆるセクターに満遍なく分散されています。

 

売買回転率

7%

高配当ETFは売買回転率が高くなりがちですが、このVYMは優秀です。
7%であれば許容範囲内です。

 

分配金利回り

2.95%

かつては3%台でしたが、最近は株価が堅調な影響でちょっと下がっています。

とはいえ、高配当ETFというくらいですから高い分配金利回りです。
株主還元に積極的な高配当銘柄を長期保有・配当再投資することが、長期投資の富の源泉です。

 

過去10年リターン

年率7.1%(配当込み)

これはVYMとS&P500指数の過去10年チャート。

株価推移だけを見ると、VYMはS&P500に負けています。
分配金を加味するともう少し差は縮まります。

過去10年程度で見ると、VYMはS&P500をアウトパフォームできていません。
だからと言ってVYMの未来に悲観的になる必要はないと思います。

上で記したVYMの構成銘柄を見て下さい。
ああいった成熟高配当株に長期投資することで成長の罠に嵌らずに、効率よく配当再投資で資産を増やすことができます。

ただ、S&P500指数が優秀なのもまた事実です。
無理してVYMを買わずに、S&P500に投資をするのも非常に合理的です。

 

  VYMは長期投資に適した優良ETF

VYMは米国の優良バリュー銘柄が400以上パッケージされているうえ、経費率は僅か0.08%というモンスター級の超優良ETFです。

世の中には数千以上の無数の金融商品がありますが、その99.9%は投資に値しません。
ましてや長期投資にふさわしい商品なんてほんのごくわずかです。

VYMは残り0.1%に該当する長期投資に適した優良ETFです。

VYMに投資していれば、高い配当金を受け取りながら10年かからずに株価も2倍に成長することを期待できます。

上位構成銘柄を見れば安心して投資できますよね。
黄金銘柄のオールスター状態です。

何を買うか迷ったらVYM買っておけば損はなし!