家を買って改めて実感してるんですが、住宅ローンってホント凄い。

0.4%未満というほとんどタダみたいな金利で、7000万円という年収の数倍のお金を借りてます。変動なので金利上昇リスクはありますが。全期間固定でも住宅ローンは1%台ですね。これでも十分低い。

身の丈を超えた借金はいけませんが、借金を過度に恐れるのも損です。借金に対するアレルギーを無くすためには勉強することです。

リスクというのは不確実性、先が見えないこと、わからないことです。それは知識で乗り越えることができる面もあります。知識を得ることでより健全なリスクテイクを行えるようになります。

借金に対する恐怖心をなくすために知るべきことを書いてみたいと思います。

借金は経済そのもの。誰かの資産の裏には誰かの負債(借金)がある。

借金なくして経済は存立し得ません。借金は経済そのものと言っても言い過ぎではありません。あなたの財布に入っている1万円札は誰かが1万円の借金をしたものが、巡り巡って偶然今あなたの財布にあるものです。

体の血液のようにお金が循環することで経済が回っているわけですが、お金は銀行の信用創造によって生み出されます。信用創造とは小難しい表現ですが要は貸付です。銀行がお金を貸すことを信用創造と言います。

あなたが住宅ローンで4000万円の借金をしたら、世の中の日本円の流通量が4000万円増えます。

みんながたくさん借金をしたら円の流通量がどんどん増えてインフレが起きます(円の価値が下がる)。インフレを抑えるために日銀は金利を上げます。金利が上がると借金をする人が減るので、円の流通量が減りインフレが落ち着きます。

個人や企業が借金をしなくなるとお金の量は減っていく一方です。それでは低血圧で経済が死んでしまいます。

そこで政府が代わりに借金をします。公共事業を行うなどしてお金を市中経済に投入して、経済の血圧を上げようとします。減税や助成金も政府の借金と言い換えることができます。減税した分を補うために追加の国債発行が必要になるためです。

政府がこの役割を果たし切れなかったのがこの30年の日本と言えます。

ご存知の通り、日本は低インフレ経済が続いてきました。最近はコロナ禍という別要因で物価が上がってきましたが、景気がよくなって日本人がガンガン借金することでインフレが起こることは、この30年ありませんでした。

バブル崩壊以降、家計と企業が元気をなくして借金を控えたにもかかわらず、追い打ちをかけるように政府まで借金を控えてしまった結果が今です。まあ、そのおかげで低利でローンが組めるわけですが。

誰かの資産は常に誰かの負債です。物事には裏表があります。政府の借金は民間の資産です。民間の元気がないなら、本来政府は積極的に借金しないといけません。それが正しい治療法のはずでした。

逆に政府ががんばり過ぎたのがアメリカでしょうか。

コロナ禍で失業者が増えて民間部門の元気がなくなったことを受けて、米政府は巨額の借金をして民間部門に資金を注入しました。それが昨今の高インフレの一番の原因です。

結果論ですが、アメリカ政府およびFRBはちょっとやり過ぎたと言えるかもしれません。ただ、デフレ放置の日本よりはマシかなと思います。

何が言いたいのかいうと、常に誰かが借金をしないと経済は回らないということです。それくらい借金は私たちにとって身近な存在なのです。

有利な条件でかつ返済の目途が立つなら借金すればいいんです。そのチャンスを見過ごして借金をしないなら、その分政府が代わりに借金をすることになるはずですが、政府の借金とは間接的には私たちの借金です。

私たちは常に借金まみれです。信用貨幣経済とはそういうものです。

コーポレートファイナンス

コーポレート・ファイナンスも借金の恐れをなくす上で欠かせない分野です。ファイナンスは主に企業を対象としていますが、個人の家計運営でも参考になります。

企業は負債(=借金)と資本によって資金を調達し、ビジネスで利益を上げて、負債と資本の提供者にリターンを分配します。企業活動はその繰り返しです。

企業は負債と資本の要求利回りよりも高い収益率をビジネスで達成しなくてはなりません。それができない企業は経済的には存在価値がないと判断されます。

利率2%で銀行から借金して設備投資をしたなら、その設備投資で生み出すリターンは少なくとも2%以上は必要です。リスクを加味すると5%以上は必要かもしれません。この辺の投資基準は会社によって異なります。

実際は資本との加重平均資本コストを考える必要がありますが、細かいことは今回の話の主眼ではありません。要は調達コストよりも高い利回りで運用できる場合に、借金は正当化されるということです。

この経済原則は家計にも当てはまります。

借金が経済合理性を持つのは、その借金の利率よりも十分に高い利回りで運用できると想定できる場合です。金利15%でお金を借りてしまったら投資の神様バフェットでもしんどいです。

金利何%までOKなのかはその時の政策金利、インフレ率などに依存するので一概には言えません。今の日本で言えば、金利3%以上での借金は不合格かなと個人的には考えています。

金利0.4%の住宅ローン(変動)は合格、1%台の固定も合格。金利2%前後の銀行のマイカーローンはOK、金利が4%を超えるディーラーローンは△。消費者金融は×論外。