株式投資をやってることは会社でも公言していますが、投資に関心を持って話しかけてくれる人はほとんどいません。経理財務セクターなのに寂しいもんです。でもたま~に、「俺も投資やろうと思ってるんやけど相談に乗ってくれない?」って言われることもあります。ま、1年間に二人くらいかな、、平均すると。
誰に相談されても結論は一緒で、「株式を買う覚悟があるならS&P500連動のETFか投資信託がいいよ!」って答えてます。そう思う背景もなるべく丁寧に説明します。ETFと投資信託それぞれのメリット・デメリットも簡単に伝えて、「最後は自分の好みでええよ」って言います。NYダウへの投資も有望ですが、混乱させるのでS&P500以外は言いません。聞かれたら答えますけど。
なぜS&P500インデックスの長期投資を推奨するのか?
・過去200年以上に渡ってインフレ調整後でリターンを残してきた実績がある
・S&P500を構成する企業は世界的に有名な高収益企業ばかり
・商品の低コスト化が進んでいる(投資信託もETF並みの手数料)
・お手軽簡単。投資の知識がなくても実践可能。
といった理由があります。
コスパという観点で見てインデックス投資に勝るものはない。その中でも高収益な米国企業に特化したS&P500が良いかなという判断です。
もちろん欧州を含むMSCIコクサイでもいいし、世界株に投資するバンガードVTもありだと思います。その辺は聞かれたら答えますが、自分から積極的には言いません。選択肢が増えると混乱して、結局考えるだけで実際に投資するまで至らないケースが多いので。紀伊國屋や丸善みたいな大型書店に行くと、置いてある本が多すぎて目移りして、結局何も買わずに店を出ることが多いのと同じ感じです(そんなの私だけかもしれませんが)。
費用(特に時間消費)対効果という点でS&P500インデックス投資が一番効率的だと思い、これまで推奨してきました。
その思いは今も変わってませんが、最近は別の観点からさらにS&P500への長期投資の素晴らしさを実感しています。
それはリスク対リターンという観点です。
リスク調整後リターンとも言います。
どれくらいリスクを背負ったうえで得たリターンなのか。リターンの質は高いのか低いのか。
ビットコインの半年間の値上がりで得た100万円とS&P500に1年間投資して得た100万円。同じ100万円という利益でも質は違います。S&P500に投資して得た100万円の方が質は高いです(リスク調整後リターンは高い)。
正直言って、昔はリスク調整後リターンという概念を馬鹿にしていました。んなのくだらねぇって思ってました。
「同じカネはカネだろ。個人投資家は精神力があってレバレッジさえ掛けなければ、どんなボラティリティにも耐えられる。結果として儲かればそれでいいんだよ。儲かる過程なんて関係ない。」
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これが昔の僕の発想でした。
でも、この発想はもう消えました。
個別株投資を初めてからリスクを重視する慎重な姿勢がいかに大切か痛感しています。たくさんの銘柄に分散してボラティリティを下げるというより、保有銘柄に対する理解を深めることが重要だなと思ってます。その企業がどうやってお金を稼いでいるのかちゃんと理解する。これまでしっかり稼いできて配当を払い続けてきたのか。これかも未来永劫廃れることなく稼げるのか。高い競争力を失わずに高収益体質を維持できるのか。こういったことに関して、自分なりのストーリーを持つ。
何でも100%の確信を持つことは難しいですが、少しでも自信を持って未来を想像できる銘柄へ投資する。個別株投資をやるなら、この姿勢はとても大切だなと感じています。その理解があってこそ、暴落時にも売らずに耐え凌ぐことができる。逆に売るべき時に売ることができる。
リスクとは定量化できないフワッとした概念。人によって違う。私にとってIBM株のリスクは高いですが、あなたにとっては中くらいかもしれません。
とある投資家が儲かっているかどうかはその人のポートフォリオを見ればわかりますが、その投資家のリスク調整後リターンが高いのかどうかは誰にもわかりません。リスク認識の大小が外からは見えないからです。
リスク調整後リターン=リターン / リスク
と数式化してみます。いや、リスクは定量化できないんだから数式化できないことは分かっています。無理矢理式にしただけです。
リスクは
・ほぼゼロ
・低い
・やや低い
・中くらい
・ちょっと高い
・高い
といった感じでざっくり表すくらいしかできません。
バフェットの投資「リターン」は無限大(∞)なんじゃないかってたまに思うんです。バフェットは自分が買う株のリスクは国債より低いと言っています。というか、リスクはゼロとさえ言います。途中でリスクがゼロより上がってしまえば、容赦なく売ります。最近のIBMのように。
仮にリスク認識が限りなくゼロに近いとすれば、リターン / リスク=無限大となります。分母が限りなくゼロに近いなら、分子がどうであれ結果は無限大になります。リターンが7%なのか15%なのかは関係なく、リスク調整後リターンは無限大になります。リターンが1%でも、リスクが0.000001ならリスク調整後リターン(リターン / リスク)は1,000,000%になります。
いや、、自分で言っておいて何ですがこれは詭弁です。
いくらリスク調整後リターンが無限大だからって、リターンの絶対値が低いと意味はない。リスクほぼゼロで金利0.1%の預金に預けても、雀の涙ほどの預金利息のリスク調整後リターンは無限大ということになります。これはどう考えてもおかしな話だ。
やっぱり投資利回りの絶対値は大切。そこを満足いく水準に上げながら、いかにリスクを下げるのか。「ほぼゼロ」とは言わなくても、「低い」「やや低い」までリスクを下げる。一番良い方法はインデックス投資だと思います。
S&P500への投資にどれくらいリスクを感じるか、これもまた人それぞれではありますけどね。
私にとってS&P500インデックス投資のリスクは「ほぼゼロ」です。
アップル、マイクロソフト、アマゾンドットコム、バークシャーハサウェイ、ジョンソン&ジョンソン、JPモルガンチェース、エクソンモービル、フェイスブック、アルファベット、バンカメ、ファイザー、ユナイテッドヘルス、ベライゾン、ビザ、プロクター&ギャンブル、ウェルズ・ファーゴ、インテル、・・・。
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これらS&P500構成企業に長期分散投資して、損する可能性ってどれくらいあるでしょうか?
私は「ほぼゼロ」だと思います。株価は動くのでボラティリティはそこそこありますが、リスクは「ほぼゼロ」だと思います。
隕石が地球に衝突して文明が崩壊し企業も消滅するとか、そういう可能性はゼロじゃないです。ですが、そうなる時は株式投資の成果どうこう言ってる場合じゃないです、もはや。
S&P500への投資に対するあなたのリスク認識がどの程度なのか、それを私が知ることはできません。教えてと言うつもりもありません。ただ、もしあなたのS&P500に対するリスク認識が「ちょっと高い」より上なら、まだ投資すべき時ではないのかもしれません。もう少し調査、勉強をして自分の中でしっかり納得してから投資をスタートさせても遅くはありません。株式投資をしないという判断だってあるかもしれません。
あなたのS&P500に対するリスク認識が「ほぼゼロ」なら、あなたの「リターン」は無限大(∞)と言えるかもしれない。こんな凄い投資ツールは他にないと思います。リスク調整後リターンを追求するなら、S&P500インデックス投資より優秀なツールは他にないと確信しています。
私たちは結果として得られた富は見えるけど、富が得られる過程は決して見えない。おかげで私たちはリスクを忘れ、失敗例にはまったく注意を向けない。ものすごく簡単なゲームのように思えて、いい加減にやってしまうのだ。
ナシーム・ニコラス・タレブ著『まぐれ』より
ロシアンルーレットで得た1000万ドルの価値は、歯医者を営み、真面目に技術で稼いだ1000万ドルと同じではない。同じもモノが買えるという点では同じだけど、一方はもう一方よりも偶然に頼っている。
会計士にとってこの2つは全く同じだろう。おなたのお隣さんにとってもそうだ。しかし、私は心の奥底で、この二つは質が異なっているという考えを捨て切れない。
ナシーム・ニコラス・タレブ著『まぐれ』より
最近、昔読んだ本を引っ張り出して再読しています。私は会計士。まさにタレブの言う通り、ロシアンルーレットで得た1000万ドル、真面目に歯医者を経営して得た1000万ドル、2つとも同じカネはカネだろって思ってました。
でも今はタレブの言っていることが正しいと思ってます。2つの利益は違う。現実に起こらなかったシナリオにも目を向けるべきでした。ロシアンルーレットで死んでいた可能性もあったわけですから。
私たちの人生は1回限り。だからこそ、リスクをとって刺激のある人生にするか。でもやっぱり金融投資では無駄なリスクは不要なんじゃないかって思います。投資以外ではいっぱいリスクを取った方が楽しそうですが。ダメ元でも勇気出して好きな女の子をデートに誘うとか・・。
最後の方面白かったです。少しでも、そのような感情があるのであれば、だめ元で行動して、頑張ってみてはいかがでしょ?
もしかしたら楽しい世界に触れられるかもですよ。
「別に死ぬわけじゃないし」と思うことで、何ごとにも動じることなく冷静に対応できるようになれる気がします。
冷静さだけじゃなく、色んなことにチャレンジする気持ちも持った方がいいですよね。せっかくの人生だし。
大東亜戦争のことを書いた本など読むと、平和で豊かな現代に生まれただけで有り難い、これ以上何を求める必要があるだろうか、とも思うことがあります。
ありがとうございます。
最近、「本当にそうだな」と自分の経験を振り返って痛感する英語の言葉があります。
No pain, no gainです。結局リスクを取って何かをしないと得るものはないという意味で私は解釈しています。
ちなみに、逆説的な言い方だとThere is no free lunchなんて言葉もあります。結局どの国でもみんな同じような事で悩み、同じような本質にたどりつくのですね。
お金に関することでも、そうでなくとも、リスクを取らずしてリターンはありませんよね。
金融市場は人生そのものに比べるとまだリスク・リターンが測りやすい分野かなと思います。
起業して成功した人が「起業は難しく思われがちだけど、参入する人が少ないからまともにやれば意外と成功確率は高いんだ」といった主旨の発言を以前していました。
なるほど、と思いました。
サラリーマン(会計士も弁護士も雇われはサラリーマン)は、参入する人が多いからちょっと頑張っても周囲から抜け出すのは難しそうです。
せめて株式投資でリスクを取っていきたいと思います。臆病な自分でもできる最低限のリスクテイクです。
S&P500を構成するアメリカの優良企業が倒される時・・・
– 中国共産党が倒されて,中国に真の民主的政府が樹立される。
– 日本が官民を挙げて新生中国への全面的な支援・投資を開始する。
– その結果,日本の技術・繊細さと中国の資源・大陸的大胆さが結びついた合弁企業が出現し,アメリカの超大企業を凌駕するようになる。
◆その時,私達は,もちろん,”東アジア連合共和国”の優良企業に投資している・・・
まあ,こんなファンタジー小説のような話でもない限り,S&P500構成企業がシェアを失うようなことはないと思っていますが。
中国の勢いは馬鹿にできないですよね。
一概にファンタジーではないかもしれません。
民主主義ではないことの強みって確かにあるなって最近思います。
トップダウンによる意思決定のスピードは中国には敵わないです。
AI発展に必要な個人データの量も中国が圧倒的に多いです。
私はこれからも米国株に投資を続けます。
それは利益成長力だけでなく、NYの公正な資本市場を信頼してるからという面が強いです。
長期投資ではコーポレートガバナンスこそ最重要と思っています。