株が長期的に富を生むためには以下の2つ条件が満たされる必要があります。
①企業が永続的にキャッシュを創出する
②株式に永続的にリスクが織り込まれている
株が富を生むために必要な要素はキャッシュとリスクの2つです。どちらか一方だけではダメで両方必要です。
①は分かりやすいですね。投資した企業がしっかり儲けてキャッシュを稼いでくれないと株主にリターンはありません。毎日マーケットで株価は大きく動いていますが、株式のリターンとは企業がビジネスで稼いだキャッシュでしかなく、そのキャッシュが最終的に配当として還元されることで株主は投資利益を確定できます。企業のビジネスがダメダメでも短期的なトレードなら儲けのチャンスはありますが、長期投資ならば持続的に資本コスト超の利益を上げ続けないとリターンはありません。
②は普段あまり意識しない点かもしれませんが大事なことです。どれだけ企業が稼ぎまくっても(①の要件を満たしたとしても)、株にリスクが織り込まれていなければ投資家にリターンはありません。リスクとは目に見えないイメージしずらい概念ですが、要するに買値は常に大事だということです。どんな優良銘柄であってもバリュエーションを無視して高値で買ってしまえばリターンは小さくなります。
株にリスクが織り込まれているとは、投資家がビビッて株に投資するのを躊躇する結果、株価がそこそこ抑えられているということです。まあ優良企業は将来キャッシュの予見可能性が高いので、新興企業に比べるとどうしてもリスクは小さくなります。リスクが小さいと期待リターンも低くなります。コカ・コーラやプロクター&ギャンブルなどのクオリティ株に投資しても短期的に爆益をゲットできないのは仕方ないことです。
株価が安定している局面が長く続くと、株が織り込むリスクは小さくなりがちです。株価のボラティリティが低いということは、分散(標準偏差)が小さいということです。リスク=変動性(不確実性)という考えが一般的ですが、分散(標準偏差)が小さいことは変動性が小さいことを意味します。
と、、まあこうやって統計的に考えるのもいいのですがもっと感覚的な理解でOKだと思います。単純に平穏相場が続くと投資家に慢心を起こさせ株式マーケットにガンガン資金が流入する結果、株価が割高になりがちということです。2017年のような凪な上昇相場は株のリスクを下げる要因になります。
敢えて言うなら①キャッシュを重視すべきだけど、②リスクも頭の片隅に置いて欲しい
長期投資家は自分が投資しようとする銘柄について、①と②の両方を満足しているか確認すべきです。単にコカ・コーラは高収益だから長期保有目的ならいつ投資してもOKと安易に考えるのは×です。どんな優良株でも買値が高過ぎるとリターンはありません。たとえば、2000年前後にコカ・コーラ株に投資していれば、10年経ってもリターンはほぼゼロでした。インフレ調整後ではマイナスだったでしょう。
①キャッシュと②リスクどちらも大事な要素なのですが、敢えて言うなら①キャッシュの方が大事です。「永続的にキャッシュを創出できるか」という点です。もちろん、将来を100%見通すことは不可能なので、自分の中で納得感を持って投資する他ありません。最低限、過去の財務データくらいは確認した方がいいでしょう。過去10年営業CFマージンが20%を超えているなら、その競争優位性は恐らく今後も簡単には崩れないでしょう。
ウォーレン・バフェット氏のこんな言葉があります。
まともな企業を素晴らしい安値で買おうとするよりも、素晴らしい企業をまともな価格で買うほうがいい
過度にリスクが織り込まれて割安に放置されている銘柄を血眼になって探すよりも、先ずは莫大なキャッシュを稼げる優良企業を探すべきだと言っています。②リスクよりも①キャッシュの方を重視しなさい、というバフェット氏のメッセージです。
そもそも、②リスクというのは目に見えない概念で分かりにくいです。最低限PERや配当利回り、長期金利、株価チャートくらいは確認して、よほど割高でないかだけは確認した方がいいかなと思います。と言っても、「今は絶対割高じゃない!」なんて確信を持つことはできませんけどね。
心配しなくても普通の相場環境であれば、どんな株にも相応のリスクは織り込まれています。だから、優良株ならいつ投資してもOKというのは、実はあながち間違いでもないと思います。しかし、②リスクを鼻っから無視するのはもったいないです。PCやスマホで基本的なバリュエーション指標やチャートくらい簡単に無料で確認できるんですから、チェックするに越したことはないです。
①企業が永続的にキャッシュを創出する
②株式に永続的にリスクが織り込まれている
この2つの条件のうち①は言わずもがな。実際に①の方が大事な条件です。ただ、②リスクも投資リターンに大きな影響を与えます。周りが「クソ株」と言っている時に自分だけ投資する胆力があれば、長期的には市場平均を超えるリターンで報われる可能性があります。ただホントに「クソ株」だったら元も子もないです。だから①キャッシュの確認は必須です。
ここ最近だと通信銘柄やエネルギー関連銘柄には②リスクが多分に織り込まれているように思います。じゃあ、通信銘柄やエネルギー銘柄に投資すれば儲かるのか?
それはわかりません。①キャッシュ次第です。結局①キャッシュの確度が低いから②リスクは高くなるわけです。世の中うまい話はありません。ただリスクなきところにリターンはありません。人生どこかでリスクをテイクしないと人よりお金を稼ぐことはできません。
私はサラリーマンというほぼノーリスクの給与収入があるので、金融投資ではそれなりにリスクを取る覚悟があります。と言っても過度にレバレッジを掛けるとかではありません。なるべく現金比率を抑えてリスク資産を増やします(最近の現金比率は5%ほど)。リスク資産は100%株式にして、マーケットが悲観的になっているセクターを中心に攻める程度です。
自分で納得してリスクを取った上で結果としてリターンを得られなかったら、、そん時は仕方ないと諦めます。リターンを求めてリスクを取るとはそういうもんですから。まじめに出勤さえすれば給与が貰えるサラリーマンとは異なる世界です、金融投資は。ただ、きちんと分散投資をしてポートフォリオ全体がボロボロにならないよう留意はしています。
私は①はS&P500なので条件を満たしていると思います。(配当利回りは低いですが)
②は今回のような暴落局面でも狼狽売りなどせず、積み立てを継続しているので条件を満たしているのかな?と思います。
1も2も満たしていると思います。
S&P500構成企業が平均して資本コストを上回る利益を上げてキャッシュを稼ぎ、それを株主に還元していることは疑いようがありません。1はOKですね。
2についてですが、自分が狼狽売りしないことももちろん大事ですが、株価にリスクが織り込まれているか否かはマーケット次第なところがあります。
マーケットが株式という金融資産にリスクを感じているかどうかということです。
これは客観的に測れるわけではありませんが、PERなどのバリュエーション指標が参考になります。
現在のS&P500の予想PERは17倍弱です。益回りは6%弱です。割安とまでは言えませんが割高でもないと思います。
2018年になってボラティリティも復活してきましたし、やはり株式に対しては相応のリスクが織り込まれているはずです。
なのでコツコツ投資していけば、自然と適正なリスクが織り込まれた状態の株価を掴むことができます。
よって2もOKです。
リーマンショックから10年たちましたが、結果論とはいえ①②の条件を満たす投資タイミングでしたね。
当時の厳しい経済情勢だと企業はキャッシュを生み続けるのか確信を持てず、まだまだ株価は下がるのではないかという恐怖から実際に行動に移すのは難しいのですが。
リーマンショックの時は、二つ目の「リスク」が最大限に織り込まれていた時でしたね。
冷静に考えれば世界経済が崩壊するわけはなく、コカ・コーラやプロクター&ギャンブルといった生活必需品が売れ続けることは自明です。
とは言え、ああいう超混乱期は不安でなかなか投資に踏み切れないものなのかもしれません。
「もっと下がるかもしれない・・」という不安(というか期待)から、投資を躊躇しそうです。
優良企業ならキャッシュを生み続けるという確信は持てそうですが、マーケットの心理状態が悪過ぎて不安感だけで株がもっと売られるかもという危機感は抱きそうです。
いつが底値かなんて、わかりませんからね。
当時のような流動性危機は当面は起こりそうにないです。投資家も慎重だし、金融セクターに対する監視・規制は厳しいです。ストレステストとか。
それが良いことなのか悪いことなのか一概に言えませんが、、いや、それはきっと良いことですよね。経済が混乱しないに越したことはありません。
金融政策の失敗は殺人に匹敵すると聞いたことがあります。
管理通貨制度における「お金の管理者」の責任は重大です。
あの頃は「日経平均株価は5000円ぐらいまでは下がる」と騒がれていました。
自分もそれくらいの水準になったら買い始めようと思っていたのですが、実際は7000円あたりを底値にぐんぐん上昇していってしまいました。
「必ずしも底値で買う必要はない」という教訓を得た経験でしたね。
底値で買いたい気持ちはやまやまですけど、実際は難しいですよね。
相場が荒れていない最近の相場でも、いつ株価が反発するかとか短期的なことはわかりません。
ましてや、流動性危機の時にそれを予見するのは不可能です。
あの時は、バーナンキ議長、ブッシュ大統領、ポールソン財務長官の英断がなければ、世界の銀行システムは破綻していました。
今だから株価は反発して右肩上がりだ、株式市場は長期では右肩上がりだ、なんて言えますけど、もっとボロボロになって長期不況に陥っていた可能性もありました。
それを事前に予想して、投資判断を下すのはまとまな神経じゃ無理だな~と思います。
金融危機はないに越したことはないですね。
この暴落相場の中、狼狽売りだけはしないようにしております。
①のキャッシュフローを産み出しているのは当然として、この暴落相場のおかげで②のリスクも織り込まれてきている?と思います。
今回に限らす2018年は年間通して暴落が何度もありましたね。
2017年の低ボラティリティー時と180度局面が変わりましたね。
含み損になってはおりますが、狼狽売りをしなかったのは良かったことだと思います。
私も狼狽売りだけはしないように心掛けています。
過去悔やまれる取引も何度かありますが、曲りなりにもノーレバで優良株に分散投資しているから、それほど動揺せずに過ごせています。
S&P500のPERを見ると、だいぶバリュエーションは下がったように思います。
また、一部の銘柄はかなり割安にも見えます。
ただ、だからと言って暴落が起きないとは言えない点が怖いところです。
2017年とは様変わりした相場でしたが、無事?今年を乗り切れそうです。
このような不安定な相場が訪れることで、株式には適度なリスクが織り込まれます。
株式が長期で儲かる商品であることは今世紀も変わらないようです。よかったよかった。