たばこ大手フィリップモリス・インターナショナル(PM)の株価が最近大きく下がりました。同じたばこ会社アルトリア(MO)との株価推移比較。直近1ヶ月です。
(グーグルファイナンス)
直近1ヶ月でMOは+5%なのに対して、PMは▲10%です。
フィリップモリスはドル高に弱い
PM株価下落は主に2つ理由があると思っています。
1つが売上地域の問題。
フィリップモリスは2008年にアルトリアの国際事業部門としてスピンオフしてできた会社で、100%米国外でビジネスを展開しています。
ロシアがウクライナに侵攻して、世界経済に影響を与えています。当然、ロシアとウクライナ両国の経済がもっとも被害を受けています。
PMのタバコ出荷数量のうちウクライナは約2%、ロシアは約8%を占めます。2国合わせて総出荷量の1割と無視できない規模です。
欧米の経済制裁を受けているロシアの人々の購買力が低下すれば、タバコの販売にも悪影響でしょう。タバコ会社は生活必需品セクターではありますが、タバコはどちらかいうと嗜好品です。
PMの株価急落2つ目の理由が為替です。ドル高です。
すべて米国外でのビジネスなので、販売通貨はほぼドル以外です。ロシアならルーブル、欧州ならユーロ、日本なら円で売っています。つまり、PMはドル高局面にめっぽう弱いということです。
ロシアとウクライナの戦争を受けてマーケットは弱気に傾いています。金、債券が買われています。米10年債利回りは一時1.6%台まで下がりました。原油はまさかの1バレル130ドル台ですよ。驚きです。
有事の安全通貨ということでドルが買われています。以下は主要16通貨バスケットに対するUSドルの動きを示すWSJドル指数の年初来の推移です。
(ウォールストリートジャーナルより)
ここ1ヶ月でドルが急上昇していますよね。円に対してはさほど動いてないので気付きづらいですが、ドルは全面高なのです。ドルの一人勝ち状態です。
このドル高がPMの売上高を目減りさせます。
100%米国外ビジネスでドル高に弱い。
これが優良配当株フィリップモリスの泣き所です。
強みとも言える
しかし、見方を変えると長所、強みとも言えます。
PM株はUSドル建てですが、PM株への投資は実質的には欧州や新興国などの多数の通貨への分散投資です。ドル安局面では為替が業績にポジティブな影響を与えます。
最近改めて思うのですが、やっぱり分散って大事ですよね。。
当局の締め付けによる中国ハイテク株の暴落
新型コロナウイルスの蔓延
ロシアのウクライナ侵攻
原油価格マイナスからの130ドル越え
どれもこれも、とても予測なんてできたもんじゃありません。私にとっては全部ブラックスワンですよ。
米国株は米国だけに集中投資していると言われることもありますが、グローバル企業を買っておけば、実質的には米国外のビジネスにも投資していることになります。アップルは日本でも事業を展開してます。
フィリップモリス株を買うことで、米国市場の高いコンプライアンスの恩恵を享受しつつ、間接的に欧州、中東、アジアに投資できます。