首都圏のマンション相場を研究していく中で、一つ大きな疑問を持っていました。

それは、近郊郊外になるほど新築マンションが割高になるのはなぜだろうか?という疑問です。

とある新築マンションが割高か否かは慣れれば比較的容易にわかります。エリア、駅距離、築年数、戸数、設備仕様などが同条件の物件と比較すればいいです。完全に同じ条件というのはあり得ないですが、だいたい同じくらいの物件と比較することで感覚をつかむことはできます。

色んな物件を調べていると、都心から離れるほど新築プレミアムが大きくなる傾向があることに気づきました。

都心は新築であっても周辺中古と大して変わらない価格で販売されていることも珍しくないです。一方で、郊外になると新築は明らかに周辺中古よりも高い値段で売られているケースが多いです。

これ最近自分の中で勝手に結論を出したのですが、新築プレミアムは率ではなく絶対額で決まるんだということです。

なので、物件価格が低い郊外ほど新築プレミアムの影響が相対的に大きくなり、価格が高い都心ほど新築プレミアムの影響が小さくなるという理屈です。

新築プレミアムの具体的な額とは、私の感覚で恐縮ですが、坪40~50万円です。70㎡換算で1000万円前後。これが世間が認める新築プレミアムの額なのかと感じます。

坪150万(中古)、坪200万(新築)。この差は大きいです。率でいうと新築は中古よりも30%以上も高いです。中古市場に出た瞬間に30%値下がるとしたら結構しんどいです。

坪500万(中古)、坪550万(新築)。これはどうでしょうか。同じく新築の方が坪50万高いですが、率にすると10%ほどになります。10%くらいであれば、中古になってプレミアムが剝がれても、相場全体がそれ以上に上がっていることもあり得ます。

マンションは一般的に坪単価が高い物件の方が資産性を維持しやすいと言われます。それは新築プレミアムの喪失や経年劣化に伴う価値下落が率ではなく額で決まるからでは、という仮説を持つに至りました。

投資計算って何でも率で計算しますから、額で考えるというのは違和感を覚えます。が、郊外になればなるほど新築マンションが割高になる理由はこれくらいしか思いつかないです。

都心にしろ近郊郊外にしろ、同じマンションである以上、時間の経過とともに基本的には価値は落ちていくはずです。にもかかわらず、都心部のマンションの資産価値が維持されやすいのは、経年に伴う価値下落が率で見ると小さいからなのかなと思いました。