親が送ってきた人生を当たり前と思うな。社会人になって結婚して子どもを作って、35年ローンでマンションを買うのを「普通」とは思うな。

20代のころ勉強させてもらったマネー本にはよくこんな内容のことが書かれていました。「うんうん、その通りだな」と思い、今まで無駄遣いをせず、もちろん家は買わずに、給料を貯めてコツコツ株で蓄財してきました。

後悔はしてません。若い頃にもっとお金使って遊んでおけばよかったー、とは思ってないです。お金を貯めてきたおかげで、比較的自由気ままに過ごせてます。

ただ、住宅に対する考えはだいぶ変わりました。最近はかなり金利が低いこともあり、0%台で数千万円もの負債を調達できる住宅ローンを組むのは、財産形成を進める上で有利な個人ファイナンス手法だと思っています。

とは言え、年収の数倍の借金を背負って、35年もの長期間にわたって返済し続けるのはやっぱり怖いと思う人もいるでしょう。借金という足枷があるせいで、会社、銀行の奴隷として生きるしかなくなるのではと。

私もローンは怖いと思うこともありますが、しっかり対策すればそれほど恐れる必要はないとも思います。たとえ35年ローンを組んでも会社、銀行の言いなりにならずに、自由に自分の生き方を追求することもできると信じています。

私見ですが、そのためにやるべきことは3つ。

①資産価値のある家を買う
②ある程度の金融資産を蓄えておく
③転職できるスキルを身に着けておく

①資産価値のある家を買う

35年ローンだからって35年で返さなきゃいけないわけではありません。

数万円の手数料がかかることもありますが、繰上返済して早く返すのは債務者の自由です。大きなペナルティなく繰上返済できるのは住宅ローンのメリットの一つです。

そもそも、「35年ローン=会社の奴隷」というのは、35年間ずっと会社からもらう給料を当てにしてローンを返済し続けると考えるからこそ出てくる発想です。

確かに家は一部現金化はできないので、目前のローン返済は給料から行う必要があるのは確かです。

しかし、いざという時に家を売却して現金化して、それでローンを完済できる見込みがあれば気持ちに余裕が出ます。住宅を住宅ローンの返済原資にすればいいんです。家を売って債務を消せれば、一旦賃貸に戻るということも柔軟にできます。

その心の余裕感が大切かなと思います。会社に対しても強気に交渉できます。

家の売却資金でローンを完済するためには、資産価値のある物件を買うことが重要になります。都心、駅近という立地条件が重要です。家を買うというより、場所というか街を買うという発想ですね。

日本は全体としては人口減少フェーズですが、東京の一部の都心部は今後30年は人口が増える見込みです。世帯数はさらに長期間上昇ペースが続きます。フルローンで背伸びして坪単価が高い地域のマンションを買っておくことが、むしろ身を助けることになります。

東京以外も資産価値を維持できる地域はあると思いますが、不勉強でわかりません。東京なら港区、中央区、千代田区、渋谷区、文京区あたりが鉄板と言われます。

②ある程度の金融資産を蓄えておく

家を売ればいいって簡単に言いますけど、株みたいにボタン一つで現金化できるわけではありません。適切な仲介会社を選んで、値決めして、買い手を見つける必要があります。

首尾よく売れたとしても通常は手数料で3%は取られます。購入した時の手数料も合わせると購入・売却の手続きでだいたい物件価格の10%は抜かれると思った方がいいです。

購入からあまりに短期間で売却すると買値と同額で売れたとしても手数料負けします。

あと、お金の問題だけでなく、手続き的にも現自宅を売って新たな住居に住み替えるのは大変です。引っ越しも地味に大変ですよね。

資産価値のある物件を買っておけば、ローンは完済できるとは理屈ではその通りでも、家族の生活の場である家はそんなホイホイ売るもんでもありません。

となれば、やはり当面の住宅ローンの返済原資は何とか工面するしかありません。

そこで重要になってくるのが給料の多さもさることながら貯金です。しっかり貯金をしておけば、給料から生活費がやり繰りできない時でもローン返済に困ることはありません。

私の場合は、余裕資金はほとんど米株で運用しているので、最悪の事態になれば株を売って債務を返済できます。

具体的にどれくらいの金融資産があればいいのか?

理想は住宅ローンと同額以上です。5000万円のローンを組むなら、5000万円の貯金や株式などがあれば安全安心です。家を売らずとも、一括返済できるだけの資産があれば強いですよね。

しかし、それは現実的ではありません。親が金持ちで援助してもらえるとか特殊な状況でもなければ、自宅の購入を考える20代後半~40代のサラリーパーソンが数千万の金融資産を築くのは難しいです。

明確な金額基準を設けたいわけではないですが、せめてローン残高の10%~20%くらいの金融資産があれば安心ではないでしょうか。ローン5000万なら500万以上が目安かな。できれば1000万。

まあ具体的な金額はさておき、とにかくある程度の預貯金はあった方がいいとは思います。

下手に多額の頭金を入れるよりも、フルローンで手元資金を多く残した方が得策ではないでしょうか。なんせ低金利ですし。

いくら資産価値のあるマンションを狙うとしても、貯金ほぼゼロで数千万円の借金を背負うのはちょっとリスキーだと感じます。

③転職できるスキルを身に着けておく

最後にちょっと方向性の違う話を。

自宅購入をきっかけに、転勤させられるという話をたまに聞きます。ローンを組んだから簡単には辞めないだろうと値踏みされるわけです。最近はこういう話はあまりないかもしれませんが。

しっかり貯金がある状態で、資産価値のあるマンションを買ったとしても、会社の人事部から見ると「あ、あいつローン組んだから転勤させやすいかも」と目を付けられる可能性はあります。

人事部は社員の預貯金の額なんて当然知らないし、購入した自宅の資産性なんてチェックもしないでしょう。住所は申告するとしても。

自分が求めるキャリアの志向と反する辞令を受けた時は、転職して会社を脱出するのもありです。転職が選択肢にあると気持ちに余裕が出ます。実際にするかどうかは別にして。

20年前の自己啓発系の本に書いてあるようなベタな内容で恐縮ですが、よく言われるのは英語、IT、ファイナンス(会計)の3つですね。

私はこの中のファイナンスのスキルしか持ってませんが、現職と同程度の待遇であればそこそこ転職先はあるかなと思っています。実際にリサーチした上で言ってます。今より良い待遇でとなると簡単ではありませんが。

資産価値のあるマンションとはつまるところ汎用性があるということです。自分だけでなく、他人も欲しがるから資産性が生まれるわけです。

仕事のスキルも汎用性があると他社に売れます。英語力なんてその筆頭ですよね。英語ができるだけで、狙える求人の幅が一気に広がります。私は語学ダメなので、英語が得意な人が羨ましいです。