EPSも上がっているので、株の割高感はそんなに感じない

株式相場、特に米株の勢いはとどまるところを知らない状況ですね。コロナ暴落前と比較しても、S&P500指数は1.3倍以上になっています。FRBのテーパリング示唆、デルタ株流行もなんのその。

それでも、米株はさほど割高ではない気がします。なぜなら、株価だけでなくEPSもしっかり上がっているからです。財政刺激策の支えもあって、今後も二桁は厳しくとも、一桁台の成長期待は現実的だと思います。

現在のS&P500の予想PERは21倍~22倍。益回りで言えば5%を切るくらい。魅力的な利回りではないけども、低い債券利回り、今後の成長(とくにテクノロジー、バイオなど)を考えれば妥当ではないでしょうか。

株は急激に上がっても、中期的にはEPSが追いついてくると期待できます。あまりに期待先行になり過ぎて調整が不可避になることもあるけど、EPSが増えるという前提を当然に持てるのは株式という資産クラスの強みだと思います。

賃料が上がりづらいので、マンション市場はバブルになりやすいと思う

さて、話を不動産(マンション)に移させてください。以下は、ここ10年の23区内の中古マンション価格推移です。

2012年を底に価格は1.5倍になっています。

いま私が少し気になっている池袋周辺にある築10年2LDKのマンションは6200万円。分譲当時の価格を調べてみると4600万円。なるほど、確かに値上がり幅はそんなものかという感じ。

マンション価格は日米の株価の上昇率に比べればマイルドです。

しかし、ファンダメンタルズを考えれば株よりもマンションの方が割高感は強くなっていると感じます。

なぜなら、賃料はさほど上がっていないからです。Home’sのデータによると、東京23区内の平均家賃相場の上昇幅はこの10年で+12%ほどです。

賃料は12%しか上がっていないのに、物件価格は50%も上がっている。当然利回りは下がります。

家賃は硬直性があると言われますね。そこが株のEPSとは違うところ。

金融資産の理論価格は、それが将来生み出すキャッシュフローに依存します。将来キャッシュフローとは株式ならEPSだし、不動産なら家賃です。

賃料はこの10年でそんなに上がっているわけではないし、これからも急激には上がらないと思われます。賃料が上がらないにもかかわらず、マンション市場は投機マネーの流入対象になりやすく、結果としてバブルが醸成されやすいと感じます。

最近の都心の中古マンションの平均利回りは4%ほどです。10年前はゆうに5%は超えていたはずです。

今の4%がバブルかと聞かれれば、そこまでではないと思います。都市銀行、ネット銀行であれば変動なら金利は0.4%ほど。単純に差し引きで3.6%残ります。まあまあではないでしょうか。逆に言うと金利が2%、3%になればアウトです。

都心に近づくほど利回りが4%を切る物件が多くなります。そこまで利回りが低いなら、賃貸でやり過ごすのも合理的な選択肢です。

低金利なうちに融資を引いておきたいところですが、金利が上がれば価格も下がるので(理論的には)、トントンとも言えます。

株はEPSが長期的には成長すると期待できる。だから、S&P500指数など優良株なら多少の割高を掴んでしまっても時間をかければ挽回できる。

一方で、不動産は賃料が長期的に大きく上昇するとは期待できません(少なくとも日本では)。そこが株式に大きく見劣りする点です。高値を掴んでしまったら、値下がりを帰属家賃でカバーできないリスクを感じます。

金額も株とは桁違いだし、不動産は判断が難しいなあと感じております・・