配当利回りなんてガン無視しろ!!
って言ったら「お前に言われたくない!!」ってPCから声が聞こえてきそうです(笑)。
ですが改めて言わせて下さい。投資判断において配当利回りはほとんど見る意味がありません。見るべきは配当ではなく利益。利益も今の高い利益を求めるのではなく、長期的な利益成長が見込めるか否かが重要です。高配当、高益回り(低PER)だからと言って安易に飛びつかない方がいいです。
配当を見る意味がないと言ってしまいましたが、過去の配当実績を確認することは意味あることです。これまで50年、60年と配当を出し続けてきた企業には一定の信頼を置けます。安心してホールドできます。でも、配当利回りは投資判断においてほとんど気にする必要はありません。
あなたが株式投資に求めていることは、当然ですが長期的な儲けを最大化することですよね。金儲けのために株式投資やってるんだから当然です。長期的な株主利益を大きくするには、長期的に増益を続けられる優良銘柄を選んでじっくり煮えたぎるまで持ち続けることが大切です。
長期で高い増益を続けられる企業は必然的に配当も増えていきます。利益あってこその配当です。そうやって、利益に着目することが結果として投資期間全体での配当最大化につながります。
普通に理論的に考えて、長期投資で高配当銘柄が有望という結論にはならないです。複利で企業内部で再投資+増益を繰り返して株主価値を向上させてくれることが理想です。そうすれば株主は非課税(課税繰り延べ)で資本コストを超える投資利回りを得ることができます。もちろん、企業が資金を再投資すれば時に失敗することもあります。そのリスクは避けられません。株主は万が一の時経済的負担を負います。それが株主の役割です。
今日、新宿のスタバで決済ネットワーク最大手ビザ(V)の2018年9月期決算の年次報告書を見ていました。いや~やっばいよ、、ビザは、メチャクチャ儲けてる。ホント驚くわ。
ビザはS&P500に比べてPERは高く、配当利回りも低いです。でも、配当利回りが低いからと言ってビザへの投資を避けていれば、大きな機会損失を被っていることになります。ビザのこの10年間のトータルリターンは年率27%にもなります。10年間複利で27%って半端ないです。100万円投資したら10年後には1000万円を超えている計算になります。
もちろん、それは結果論でしかないのは事実です。これからの10年も同じくらい高いリターンが期待できるかと言われれば、それは分かりません。
ただ、ビザのように高い増益を継続できる銘柄を選ぶことが長期リターンを高める上で重要ということがよくわかります。今から10年前の2009年のビザのEPSは0.5ドルでした。それが2018年現在は3ドルを超えています。10年で6倍。利益が増えているんだから、必然配当も増えます。DPS(一株当たり配当)は2009年に0.11ドルだったのが現在は1.0ドルです。約9倍に成長しています。
私は主に高配当銘柄に投資しています。ポートフォリオにはコカ・コーラのような利益成長緩やかな成熟企業が多いです。これら成熟企業も安定利益を武器に、長期ではそれなりに高い増益力を達成できるだろうと思って投資しています。決して「利益成長は期待できないけど高配当だからいいや~」という気持ちで投資しているわけではありません。
ありませんが、私はすぐに配当というキャッシュが欲しいから高配当株に投資しているのも事実です。なんか嬉しいんですよ、何も働かずに年間80万円以上のお金が口座に入金されることが。今すぐ配当が欲しい・・。それは経済合理的な判断ではありません。それを自覚しています。理論よりも自分の感情を優先しているところがあります。(が、先に言った通り、長期的な投資リターンを放棄しているわけでもないです。)
結局、成長なんです。利益成長なくして高い株主利益は実現不可能です。
「株主利益は究極的には配当である」という考え自体は正しいし、これは大事な心構えだと個人的には思っています。こう思うことで日々の株価変動に右往左往し過ぎることなく、冷静に企業のビジネスを見ようと思えるからです。ただ、だからと言って普段の投資判断で配当利回りを気にし過ぎると判断を誤ります。
仮に配当利回りで投資判断するとしたら、「今の配当が将来どれだけ成長するか」という点にフォーカスする必要があります。これは利益で考えるのか配当で考えるのかの違いでしかありません。究極的には総利益=総配当ですから。
ただ利益ではなく敢えて配当で考えるメリットはないように思います。配当の成長ペースは配当性向をどうするかや、配当と自社株買いの割合をどうするかといった財務方針によって変わりますから。配当ではなく利益をベースに投資判断した方がよいと思います。
というわけで、あなたが私と同じ高配当好きな投資家でないならば、配当利回りはガン無視で問題ないと思います。今の利益と将来の増益をしっかり見て判断すればいい。長期で増益を続けられる企業は結果として配当も増えます。ビザのように。
高配当株=高リターンというのは過去の事実としてそういうデータもありますが、あまり理論的に導き出せる結論ではありません。資本を再投資しない(利益成長が鈍い)企業の投資リターンが高くなることは、普通に考えてありません。まあとは言え、過剰な投資をするより配当に回した方が株主利益に資することが多いのもまた事実で、それが高配当株のリターンが高かった理由の一つかもしれません。
あ、ちなみに資本を再投資せずに利益成長を続ける恐ろしい企業も世の中にはあります。こういうチート銘柄にクリック一つで投資できるって凄いですよね。
高配当株を否定しているわけではないです。低配当株を推奨しているわけでもないです。大事なことは、長期的な増益力だと言いたいだけです(=長期的な増配力)。シンプルな話です。もちろん買値は大事。ただビザのような高い増益を継続できる銘柄であれば、ちょっとくらい高いPERは余裕でペイできます。
収益、収益、収益、これに尽きます。
実は、優れた株を選ぶとき、配当については最低限しか考慮しなくてよい(最大限ではなく)。これまで配当についてたくさん書いてきたが、一番おもしろいのは、配当について最も考えなかった人が、結果的には最も高い配当利回りを得ている場合が多いということだ。
フィリップ・A・フィッシャー『株式投資で普通でない利益を得る』より
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配当を考えずに利益(今の利益ではなく、将来の利益成長)にフォーカスしていた投資家が、気が付ければザックザック配当を貰えるようになっているということです。つまり、今の配当を追い求めるのではなく、将来の増配を待つべしということです。
こんばんは
Vの株主としては、心強い記事有難うございます。
利益を再投資せずに株主にガッポリ還元して、且つガンガンと毎年利益を増やす……こんな企業があるんですね。
こう言う企業が、大衆の必需品を扱っていたら米国株初心者が投資対象として選ぶにはマストアイテムなんだと思います。
キャッシュレスの生活が進めば、当面はVは盤石な成長を続けそうな気がします。
ポートフォリオでAAPLのナンピンで銘柄比率が乱れてしまったのでVの買い増しを中心に来月の投資計画を考えて見ます
いつも有難うございます
こんばんは。
ビザの還元額を見ていると、それはまるで成熟企業のようです。
配当を出し始めたばかりの成長企業には見えません。
でもなぜか凄まじい成長率です。
築き上げた決済ネットワークに参加する顧客を増やすだけで、どんどん収益が上がっていきます。
そして利用者数が増えることで、よりビザの決済ネットワークの価値は高まります。俗に言うネットワーク効果。
毎日ビザ使ってます。使わない日は1年間に2,3日だと思います。
生活に密着した高収益企業。貴重ですね。安心してホールドできます。
こんばんは。
hiroさんのブログの中で一番大きく印象に残ってることが
益回りを見ろ と 理論株価はEPS成長率が大きく関係してること の二つですね。
結局グロースもバリューも高配当も無配も期待されるEPS成長率が違ったり、株主還元の方法が違うだけで、EPSこそが投資家の懐に入ってくるお金
という理解でもやもやがすっと落ち着きました。
ただ数十年という年月は凄く大きい…AT&TやBTI○○○○万かったら毎年お金○○入ってくるのか…と考えたくなる自分もいますが、ぐっとこらえてETFやら自分の業界の中で絶大な信頼をおけるいくつかの会社への投資でとどまれています。
こんな投資スタイルに行きついたのはhiroさんの考えに凄く影響されました(笑)
こんばんは。
グロース株とバリュー株の定義はいまだに腑に落ちて理解できません。
コカ・コーラはバリュー株??、、でもPERは20倍以上あって「バリュー」には見えません。
オラクルマンさんおっしゃる通り、成長率や有配無配などが違うだけであって、それをテキトーに線引きしているに過ぎませんね。
利益成長率はバリュエーションの一部である、という発言をバフェットはしていますが、そりゃそうだよなって思います。
EPSこそ株主利益ですね。もっと言えばDPSですが。
>自分の業界の中で絶大な信頼をおけるいくつかの会社
その考えすっごく重要ですよね。
私はようやく最近になってその理解に辿り着きました。
自分がいる業界ってポートフォリオのコアにする価値があります。
せっかく自分が詳しい分野なわけですから。
ちなみに、オラクルマンさんの名前にあるOracle社はすごく高収益で投資したくなる銘柄の一つです。
「今の配当を追い求めるのではなく、将来の増配を待つ」とはS&P500の銘柄で今は配当を出していなくても、いつかは配当を出すようになる、増配を待つことにも当てはまりますね。
S&P500の良いところは、益回りと増益率のバランスが良いところです。
分散しているからバランスが良いのは当たり前かもしれませんが。
アマゾンやフェイスブック、アルファベットなど無配企業があれだけ多くいる中で、分配金利回り1.8%も十分だと思います。
今後の増益増配を期待できますね。