最初は数カ月したら元の生活が戻ってくると高を括っていました。しかし、今は考えを改めました。パンデミックは遅かれ早かれ収束するでしょうが、コロナ後の世界はコロナ前とは変わっていると思います。

社会のデジタル化は一気に加速し、リモートワークは定着すると思います。今は準備が整ってない企業も多いと言われますが、この流れ自体は一時的なものではないと感じます。個人的にはまだまだコミュニケーション面での課題を感じていますが、乗り越えられない壁ではないです。そういえば、先日初めてマイクロソフトのTeamsを使って会議しましたが良かったですよ。スカイプも便利。

今回の新型コロナウイルス問題が一時的な影響を与える部分と、長期的構造的に影響を及ぼす部分を見極めることが投資家として重要です。マーケットは今のところ、十把一絡げに株式の評価を下げており、長期的にコロナ影響の恩恵を受ける業界、企業は割安になっていると思います。なぜなら、マーケットは長期的な収益上昇をなかなか株価に織り込むことができないからです。

個別株投資は2016年からでたいした実績はありませんが、これまでの短い投資家経験から感じていることは、マーケットは近視眼的ということです。今期、来期の業績見通しによって株価は大きく上下し、長期的な収益見通しは無視されがちです。

良くも悪くもコロナ影響が短期的だと思う例

日用品

コロナ影響が一時的に過ぎない例としては日用品が挙げられます。日本でもトイレットペーパー、ティッシュ等の買い占めで発生し、ドラッグストアやスーパーマーケットの店頭から消えちゃいましたね。

プロクター&ギャンブルや花王などの日用品メーカーの収益にはポジティブに働きますが、これは需要の先食いでしかありません。店頭から消えたトイレットペーパーは各家庭の中に移動しただけです。食品と違って消費期限もありませんし、備蓄した分を消費するまでは追加購入されないでしょう。最近、うちの近くの薬局ではようやくトイレットペーパーが売り切れにならず販売されているのを見かけるようになりました。

アルコールティッシュとかは中期的に需要が増えそう。日用品の中でも短期的な需要増なものとそうでないものがあります。

プロクター&ギャンブル(PG)は4月13日時点の2020年YTDリターンが▲7.7%とS&P500指数の▲13.2%を上回っていますが、さしてコロナによる社会変化の恩恵を受ける銘柄だとは思いません。と言っても、この収益の安定感は魅力的ですけどね。食品や飲料は娯楽として消費される側面がありますが、日用品は正真正銘生活必需品ですね。

テーマパーク、スポーツ観戦

「3密」がそろっているテーマパークやスポーツ観戦は現在休止しています。これは恒久的な変化でしょうか。ディズニーもサッカー観戦もネットでいいよね!ってなると思いますか?

私はそうはならないと思います。仕事はリモートで問題ないよねってなりそうですが、ディズニーやスポーツ観戦がネットで済まされるとは思いません。ディズニー、欧州サッカー、NBA、MLB(メジャーリーグ)、NFL(アメフト)、いずれも多くの熱狂的ファンがいるエンターテインメントです。それが生き甲斐という人も知ってます。

今はみんな我慢していますが、いずれ再開されるでしょう。ソーシャルディスタンスを確保するという慣習はすぐには消えないだろうから、以前と同じように開催はされないかもしれません。しかし、徐々に復活すると思います。タバコ業界と同じで、どれだけ政府が規制しようとしても、根強い顧客(ファン)がいる業界、企業は成長を取り戻せるはずです。

個別企業で言うとウォルトディズニー(DIS)に強気です。テーマパーク営業停止とスポーツ専門チャンネルESPNの視聴減少というダブルパンチを食らっていますが、両者とも遅かれ早かれ成長を取り戻すと予想してます。さらに動画ストリーミングのディズニープラスは巣ごもりの恩恵を受けます。DISは「買い」だと私は見ています。

良くも悪くもコロナ影響が長期的だと思う例

リモートワーク

エンタメと違って仕事は自宅で効率的に終わるならそれでいいよね、という流れになりそうな予感がします。これは社会の構造的変化というよりも、もはや規定路線でしたね。コロナ問題が起きなくてもリモートワークは定着していたはず。その時間軸が10年は早まった感じでしょうか。

ネット接続の頻度が増えるので、そのインフラを担うAT&Tやベライゾン、Tモバイルには恩恵がありそうです。ただし、短期的には設備投資が嵩んで逆にフリーCFにマイナス影響があるかもしれません。

ウェブ会議サービスを提供するシスコシステムズ(CSCO)、マイクロソフト(MSFT)、ズーム(ZM)も恩恵を受けるでしょう。

ネット通販

外出自粛が解禁されたとしても、ネット通販の取扱高は落ち込まないと思います。コロナを機にネット通販を使ってみて、その便利さを痛感した人は大勢いそうです。個人的には在宅勤務で荷物をいつでも受け取れるのがありがたいです。生鮮食品だと宅配ボックスにも入れられないですし。

個別企業で言うと、恩恵を受ける最有力はもちろんアマゾン・ドットコム(AMZN)ですね。アマゾンは注文数の爆増に対処するために従業員を10万人追加で雇用する予定です。クラウド、Eコマースで業界トップのアマゾンは、今回のコロナショックでもっともポジティブな影響(しかも長期的な)を受ける企業だと思います。

アマゾンに対抗するためにネット通販に投資をしてきたウォルマート(WMT)も変化に対処できそうです。

加工食品、スナック菓子

自宅で仕事をすると、スナック菓子や加工食品の需要が増えると実体験から思います。冷蔵庫に入れた6Pチーズをおやつ替わりに食べています。今までランチは外食でしたが、家で簡単な鍋を作ったりもしてます。仕事をしながらスナック菓子を食べてます(会社でも食べてたけど)。

自宅で過ごす時間が長くなるのは一時的な現象ではないので、保存の効く加工食品やスナック菓子の需要は構造的に増加傾向になると思います。個別企業で言うとゼネラルミルズ(GIS)、キャンベルスープ(CPB)、クラフトハインツ(KHC)、JMスマッカー(SJM)、ペプシコ(PEP)あたりが有望でしょうか。

慌てず、コロナ後の世界に適応できる企業に長期投資する

以上は私の勝手な仮説です。コロナ後の世界がどうなるかはわかりません。言いたいことは、短期的に需要が増えているだけの銘柄に飛びつかずに、長期的な視点を持って銘柄を選ぶことが大切ということです。

無理に仮説ベースで銘柄を見極める必要もないです。2020年、2021年の決算を見て、社会からの需要が構造的に高まっている企業に投資しても遅くはありません。良い決算が発表されている頃は株価もそれなりに高くなっており割安を掴むことはできないように見えますが、優良株は長期的に見れば大抵いつも「割安」なので問題ありません。