ただほど怖いものはない。良いものは高いカネを払わないと手に入らない。資本主義経済の常識です。

金を積めば積むほど良質なものが買えるのはどの業界でも普通のことです。一定金額を超えると性能は同じでブランド代が乗っかっているだけってこともありますが、基本的には値段と品質は比例関係にあります。

パナソニックのLet’s note(レッツノート)は軽くて充電持ちも良い素晴らしいノートPCですが、お値段は高いです。20万円はするかな。法人用として使われることが多いでしょうか。個人で買うにはちょっと抵抗があります。PCはブログ運営に必須ですから高い金を払う意味もあると思うのですが、、元来の貧乏性が抜けきっておらずPC1台に20万円以上も払う気にはなかなかなれません。

レッツノートは性能が良いので高いです。強気の価格設定が正当化される品質です。仕事でレッツノートを使っているのでよくわかります。ちなみに、今使ってるのはレノボのThinkPadで10万円前後でした。これでも自分として勇気のいる買物でした。

1万円のスーツと3万円のスーツでは明らかに雰囲気が違います。うまく説明できませんが、3万円のスーツの方がシャキッと見えます。スーツは3万円~5万円までは価格と品質がいい具合で比例している印象があります。それ以上になるとこだわりの領域ですかね。ちなみに私のオススメは、スーツカンパニーでカノニコ生地のものを探すことです。

都内で家賃6万円だとかなり狭い。風呂トイレ一緒の1Rか1Kになる可能性が高いです。家賃を1.5倍にして9万円まで出せば都内でもそこそこ良い住環境を手に入れることができます。しかし、平日も休日もほとんど家にいない私は今は家に投資するタイミングではないと考え、新宿から数駅圏内で家賃6万円のボロマンションに住んでいます。最近入社した新人さんより家賃安いです(笑)。引っ越し検討中です。

とまあこんな感じで、良いものを手に入れようと思えば高い金を払わなくてならないのが普通です。そういうもんですよね。そうやって資本主義経済は成長してきました。「良いものを作ってたくさんお金を稼いでやろう!」というモチベーションが経済成長のエンジンとなってきました。社会主義がうまく機能しなかったことは歴史が証明しています。

 

株式はクオリティと値段が比例していない。

ところが、価格と品質が比例関係にないものがあるんです。

株式です。

株式は銘柄のクオリティと値段が全くもって釣り合っていないと感じます。

株式の値段とは株価ではありません。株価の高低なんて株式分割や株式併合でいくらでも変わりますから。株式の値段は利益に対する株価の比率で測ることが普通です。つまりPERです。

良質な株の値段は確かに高いです(高PER)。しかし、そんなめちゃくちゃ高いわけじゃないです。そのクオリティを考えればもっと高PERになってよいのではと思う銘柄がごまんと存在します。

ハイクオリティな銘柄とは具体的に何を指すのでしょうか?

まあ、一般的に優良株と呼ばれる銘柄ですね。明確な定義はありませんが、米国経済を牽引するアップルやアルファベットのような企業をイメージして下さい。

ハイクオリティな銘柄を主観で選別するのは気が引けるのでETFを参考にします。DGRWというウィズダムツリーの「米国株クオリティ成長ファンド」というETFがあります。一定規模以上の企業で、かつROE等の収益性指標が優秀なハイクオリティ株を集めたETFです。

DGRWに選出されている「ハイクオリティ株」のお値段(PER)はいくらなのか見てみましょう。果たして、本当に高品質に見合った高い値段になっているのでしょうか?

以下はDGRWの上位構成銘柄と、その2018年予想PERです。

ティッカー 会社名 予想PER(倍)
XOM エクソンモービル 13
AAPL アップル 16
MSFT マイクロソフト 21
JNJ ジョンソン&ジョンソン 16
WFC ウェルズ・ファーゴ 10
MO アルトリアグループ 15
PEP ペプシコ 18
BA ボーイング 20
HD ホームデポ 17
ABBV アッヴィ 9
INTC インテル 11
UNH ユナイテッドヘルス 18
IBM IBM 8
LLY イーライリリー 19
DIS ウォルトディズニー 15
GILD ギリアドサイエンシズ 10
QCOM クアルコム 15
UNP ユニオンパシフィック 16
ABT アボットラボラトリーズ 21
UTX ユナイテッドテクノロジーズ 16

今のS&P500の予想PERは17倍です。

その17倍と比較して上記のハイクオリティ銘柄のPERは高いでしょうか?
そうとも言えませんよね。むしろ低い銘柄もたくさんあります。IBMとか。

いやいや、単純にS&P500と比較してPERが低いから値段が安いと言うつもりはありません。PERは将来の利益成長力に比例しますから。S&P500にはアマゾンやアルファベットといった成長企業が含まれていますが、DGRWに含まれるハイクオリティ銘柄はどちらかと言うと成熟企業が多いです。

ただそこを割り引いて考えても、ハイクオリティ銘柄たちの値段って安くないですか?

これが資本主義経済本丸のNY株式市場を代表する優良銘柄たちの値段って、ちょっと安すぎじゃないでしょうか?

たとえば、DGRWの中でもPERが高めのマイクロソフト(MSFT)を考えてみましょう。マイクロソフトはまさにハイクオリティと呼ぶにふさわしい企業です。マイクロソフトのキャッシュフロー計算書を見たことありますか?

えげつないほど稼いでますよ。営業CFマージンは驚異の40%。もちろんPLも素晴らしくROEは25%くらいあります。
(マイクロソフトの銘柄分析記事はこちら

そんなマイクロソフトのPERが21倍って・・。S&P500平均のPERよりほんの少し高いくらいって・・。ちょっとみんなマイクロソフト株の価値を過小評価してませんか?

ハイテク株はバブル?
上がり過ぎ?

ホントにそうでしょうか。数字を見る限り、そうとは思いません。

 

もう1社。ジョンソン&ジョンソン(JNJ)を取り上げたいと思います。

ジョンソン&ジョンソンは医療機器から医薬品、コンシューマー向け製品まで取り扱うヘルスケア業界の巨人です。連続増配年数は55年にもなり、これまで株主に富を還元し続けてきた優良株の筆頭です。

ジョンソン&ジョンソンの2018年予想EPSは8.2ドルで現在の株価は140ドル。予想PERは16倍台で、S&P500平均を下回ります。

JNJの収益性もマイクロソフトに負けず劣らずで素晴らしいです。営業CFマージンは20%台後半、ROEは23%ほどあります。ともに米国企業平均を大きく突き放す水準です。
(ジョンソン&ジョンソンの銘柄分析記事はこちら

そんな高級品ジョンソン&ジョンソン株のPERが16倍って、、一体どういうこと?って率直に思います。安いですよ。

「JNJは成熟企業だからPERが低くて当然だろ?」って思うかもしれません。確かに成熟企業ではありますが、ちゃんと利益成長を遂げています。この10年のEPS(一株当たり利益)成長率は年約6%、DPS(一株当たり配当)成長率は年7%超あります。10年で配当は2倍になりました。派手さはありませんが、コツコツと成長してます。

JNJの財務諸表を見るとため息が出ます。こんな高収益企業は日本市場では見つかりません。

JNJの株価は右肩上がりで、いつ投資しても高値掴みに感じます。今も過去最高値付近でウロチョロしています。でも、いまJNJに投資しても長期で報われると思います。

 

優良株投資とはまるでロマネコンティの高級ワインを10万円で買うようなものだ。
ただし・・

優良な銘柄には、高い対価を払う値打ちがある(優良なワインとおなじだ)。

『株式投資の未来』より

シーゲル教授は『株式投資の未来』の中でこんなことを言っていますが、優良株のお値段は高級ワインとは比にならないほど割安に感じます。

高級ワインと言えばロマネコンティのワインです(飲んだことないですよ!)。ブルゴーニュ地方の一部の特級畑で栽培されたブドウから造られる超高級ワインです。価格は1本100万円はくだりません。

マイクロソフト(MSFT)やジョンソン&ジョンソン(JNJ)は、米国株界のロマネコンティワインだと思うわけです。

言い過ぎですか?w

でも本気でそう思います。米国株投資を始めて両社の財務諸表を見て本気でそう思いました。「これが米国トップクラスの企業の収益レベルなのか~。」と惚れ惚れしました。

でも値段は安いです。なんでMSFTやJNJといったロマネコンティ銘柄が、こんな安い値段で売られているんだろうか?って思います。

マイクロソフトやジョンソン&ジョンソンは1本10万円で売られているロマネコンティのワインみたいなもんです。もちろん、この2銘柄だけでなく上の表にあるすべての銘柄について同じことが言えます。

MSFTやJNJってPER30倍、いや40倍くらいあっても不思議ではないかもしれません。両社の収益力を考えれば、恐らくPER30倍で投資しても長期では相応のリターンが期待できます。

両銘柄ともS&P500構成企業の平均を大きく超える収益力を持っています。そんなハイクオリティ銘柄がPER20倍前後で買えるなんて・・。

これは買うしかないでしょ!

・・・

・・・

いやいや、でもちょっと冷静になろう。

マーケットは合理的なはずです。マイクロソフトやジョンソン&ジョンソンのお値段が品質の割に安いとしたら、それなりの理由があるはずです。

なぜか?
なぜ、こんな高級銘柄が激安で売られているのか?

これは私の推測ですが、キーワードは「時間」だと思います。

ゆっくりお金持ちになりたい人なんていないよ。

ウォーレン・バフェット


このバフェットの言葉の中に、高級銘柄が割安になっている秘密が隠されていると思うのです。

つまり、ロマネコンティ・ワインは確かに10万円で売られているのですが、そのボトルの栓をすぐに抜くことはできないのです。目の前にロマネコンティは確かにあって今すぐ飲みたけど、秘密の鍵によって封がされていて空けれられません。

これは辛い!

目の前に憧れのロマネコンティ・ワインがあるというのに、ただ眺めることしかできません。

そう結局、ロマネコンティを何の理由もなしに10万円という激安で買えることはないんですね。買えるのはいいけど、飲めないん。これじゃ意味ない。

「待つ」という試練を乗り越えて、ようやくロマネコンティを味わえます。

いつかロマネコンティ・ワインを飲めるといいですね。
きっと飲めますよ。

相場変動に耐えるのはしんどいことですが、耐えた先にはロマネコンティ・ワインが待ってます。
今年は相場が荒れ気味でしんどい期間が多いですが、長期投資がんばって続けましょう。