いま米国債の利回りは短期側が4%超、長期側が4%弱となっています。投資適格社債の利回りは5%を超えています。

これだけ利回りが高ければインカムを求めて債券を買いたくなる投資家もいることでしょう。

しかし、高い利回りには裏があります。米国ではインフレ率が前年比で7%を超えており4%のインカムであっても実質利回りは余裕でマイナスなのです。

インフレはピークを過ぎたと言われていますが、米国債のインカムが実質でプラスリターンになるにはまだ遠い感じがします。

高金利は高インフレの裏返しでしかなく、購買力維持のために債券が本当に役に立つかは慎重に考える必要があります。利回りが高くなったからと言って安易に飛びつくものではありません。

日本人にとって関係あるのは米国ではなく日本のインフレ率と思われるかもしれません。それはその通りですが、米国債を買えばドル円の変動という別のリスクがついてきます。

デフォルトリスクがない米国債に投資して得られるインカムは、せいぜいインフレをカバーできるかできないか程度のものです。損するよりマシではありますが、実質リターンは微々たるものです。

債券は長期で持てば報われるものでもありません。期間30年で見て債券リターンが株式リターンを上回ることはほぼない、ということは過去の統計データからわかっていることです。

では債券を買う意味とは何か?債券投資の本質とは何か?などと一人で考え込んでしまいます。

目前の高インフレによって購買力を奪われないようにするため、というのは一つの回答ではあります。ですが、それが目的ならTIPS(インフレ連動債)を買った方がいいです。

債券って結局のところ短期的なキャピタルゲインを狙って買うものなのかなと思ってきました。預金ではもったいないから債券買おうかなと最初は考えていましたが、心の奥底にはキャピタルゲインで儲けたいという気持ちが正直あります。

それは強欲なのかもしれませんが、そもそも債券投資の本質ってそういうことなのかなとも思います。

債券でキャピタルゲインを得ることができるのは金利が下がる時です。もっというとインフレ見通しが下がる時です。

米国のインフレは天井を打っており、2023年にかけてインフレが落ち着いてくると予想するなら今債券は買いです。当たり前のことを言ってるだけですみませんが。

利回りが高いから債券を買うのではなく、金利がピークアウトすると予想するから債券を買うということです。そこが一種の賭けですね。もちろん逆に振れたらキャピタルロスを被ります。

気づいていると思うが、債券に投資することは、物価水準や購買力に投機していることにほかならない。

アーヴィング・フィッシャー

実際に債券を買おうかどうか真剣に悩んでいると、昔読んだ本の中にあったこの言葉の意味がすっと理解できてきました。