銘柄スクリーニングをするときに、ROEと過去の株主リターンくらいはチェックした方がいいと思います。
どっちの方がより重要かと言えば、圧倒的に後者の株主リターンです。株主リターンが優秀なら必然ROEも高いと言える面もありますし。まあでも、今はネットで簡単に財務データを見れますし、できれば両方見た方が安心ではあります。
で、どっちをチェックするとして、大事な点が一つあります。直近単年ではなく長期のデータを見た方がいいという点です。できれば過去10年は見たいですね。
なぜ、長期データを見るべきなのか簡単にその理由を書きます。
ROEを長期で見るべき理由
ROEとはReturn on Equityの略で純資産(株主資本)に対する税引き後利益の比率です。
ROE=税引き後利益 / 純資産
税引き後利益は最終利益とも言われるところで、その期に発生したあらゆる収益・費用が反映されています。
一時的に発生する特殊要因も税引き後利益には含まれています。特殊要因とは例えばハリケーンによる災害損失、訴訟和解金、減損損失、M&A関連コスト、税制改正に伴う一時損益などがあります。
これらによって税引き後利益は一時的に大きく上振れたり下振れたりすることがあります。実力ではROE5%なのに、今年度だけROEが20%に跳ね上がるような事態が起こりえます。その逆もあります。
特殊要因で跳ね上がった20%というROEが実力だと勘違いしないためにも、ROEは過去10年くらいまでは遡って見た方がいいです。
株主リターンを長期で見るべき理由
過去の株主リターンが優秀か否かを見る際も、直近1,2年ではなく過去10年くらいはチェックしておきたいところです。
株主リターン=キャピタルゲイン(値上がり益)+インカムゲイン(配当)
よほどの高配当銘柄でなければ10年程度のリターンはキャピタルゲインの影響が大きくなります。
キャピタルゲインは株価次第なわけですが、株価=EPS×PERに分解できます。EPSは利益つまり今の企業の実力、PERは投資家の期待を表しています。PERが高いほど投資家期待が高いということです。
株価はEPSという企業の実力だけでなく、PERという投資家期待によっても動きます。短期的にはPERが株価を左右する面が大きいです。年数が経てば経つほど、PER変動は関係なくなりEPS成長という企業の実力がそのままキャピタルゲインと連動します。
ここ1,2年の株主リターンが高い場合、EPS成長というよりは単にPERが上昇しているだけのケースがよくあります。それは決して悪いわけではありません。マーケットは大体合理的なので、PERが高まった銘柄は実際にEPSが成長していく可能性が高いと言えます。
しかし、それはあくまで期待に過ぎません。
やはり長期投資ではPERよりEPSに注目することが大事。
期間を10年~20年くらい取った上で株主リターンが優秀であれば、その企業はPER上昇に頼らずEPS成長で株主に報いてきたと判断できます。PER上昇だけで長期で高いリターンを達成するのは無理なので。
あと、期間が長くなれば配当の影響も無視できなくなります。継続的な配当成長もEPS成長あればこそです。
まとめ+宣伝
税引き後利益は特殊要因で一時的に著増減することがあるので、ROEは長期データを見よう。
PERが一時的に上昇することで株主リターンは短期的に高まることがあるので、企業の実力たるEPS成長が反映されている長期の株主リターンを見よう。
最後に宣伝。弊ブログの米国株銘柄分析ではROEは過去10年、株主リターンは過去30年分を掲載しています。是非ご利用ください!