シュルンベルジェの株価ボラティリティ高過ぎる

石油開発支援大手シュルンベルジェ(SLB)に投資しています。エクソンモービルやシェルなどの石油メジャーを顧客にしています。初めて投資したのは2017年6月だから、かれこれ2年以上の付き合いです。簿価78万円に対して時価39万円。ちょうど半値。2年で▲50%です。なかなか酷い成績ですね。売るに売れない状態です。いわゆる塩漬け株ってやつです。

ただでさえ私のポートフォリオを血で染めているSLBですが、別の点でも問題児です。それは株価ボラティリティがめちゃくちゃ高いこと。以下は直近1年のSLBとS&P500ETF(SPY)の株価チャートです。

SLB(青)がS&P500(赤)を大幅にアンダーパフォームしている点は一旦置いておくとして、見て欲しいのはデコボコ度合いです。SLBの株価変動がいかに激しいかぱっと見でわかりますよね。S&P500も一応株式ですからそれなりにボラティリティはあります。しかし、SLBと比べると非常に穏やかなチャートです。

実際にSLBをホールドするとわかりますが、ホントに暴れ馬です。新興株みたいです。今年9月、サウジアラムコの石油施設に何者かがドローン攻撃を行いましたが、その時にSLBの株価は1日で5%以上も上昇しました。他にも原油価格を動かすちょっとしたイベントがあると5%くらいは平気で動きます。

エネルギーセクターは他のセクターと比べてボラティリティが高い傾向にありますが、エクソンなどの石油メジャーと比べてもSLBの値動きは激しいです。私はエクソンも保有していますが、感覚としてエクソンの2倍激しく上下します。エクソンが2%上がっている時はSLBは4%上がっている感じ。逆もまた然りです。

ハイリスクな株にはハイリターンを求めるべき

金融投資の世界、というか投資一般論としてリターンとリスクは相関関係にあります。確定利息の債券より、不確実な企業収益に依存する株式の方がリスクは高いので、株式の期待リターンはその分高くなります。株式は債券より高いリターンが狙えますし、投資家として狙う必要があります。でないと追加のリスクを負担している意味がありません。

それは同じ株式の中でも言えることです。よりリスクの高い銘柄には、より高いリターンを求めたいところ。その裏返しとして損失リスクも高まります。ソフトバンクはウィーワークに投資して失敗しました。非上場株というのは、バリュエーションが難しいし、財務データを公に開示していないのでガバナンスも不安です。株式の中でも特にリスクの高い投資対象です。

が、ここでは上場株を対象に話をしましょう。上場株でリスクの高い銘柄とは、株価ボラティリティが高い銘柄と読み替えて差し支えないと考えています。株価が上下にグワングワン動く銘柄はハイリスクということです。株価が不安定ということは、投資家の利益見通しが頻繁に変わるということです。つまり高い株価ボラティリティは、ビジネスモデルが不安定であることを物語っています。

そういうハイリスク(ハイボラティリティ)な株に投資するなら、S&P500平均と同じリターンで満足していはいけません。S&P500平均よりも高いリターンを期待しないと、リスクの高い株に投資する経済的意義はありません。

同じリターンであってもその質には差があります。同じリターンなら、より低いリスク負担で得た方が利益の質は高いです。

「利益の質」というのはかなり抽象的な概念ですが、実際に投資を経験するとその重要性を痛感します。最終結果が良ければすべてよし、というわけではないということです。実際にマーケットに参加してみないと実感できないことでした。

長く投資を続けていく上で、ポートフォリオのボラティリティを抑えることは大切です。分散は投資の世界で唯一のフリーランチと言われます。銘柄分散はもちろんのこと、セクター分散もしっかりやった方がいいです。

チャートを見てわかる通り、SLBはハイリスクです。S&P500指数よりも高いリターンを稼いでくれないと困ります。にもかかわらず、現状含み損率50%でS&P500に勝つ負けるとかバトルできる土俵にも上がれません。含み損だからというよりは、高いボラティリティを承知できてなかったという点でSLBへの投資はもう少し慎重に考えるべきだったなと反省しています。

もしかしたら、このままSLBを保有していればいつか業績が回復して株価が復活を遂げるかもしれません。S&P500指数のリターンに追い付く時が来るかもしれない。しかし、それでも「負け」です。それは質の高いリターンとは言えません。

そんなこと言い出すと、個別銘柄は常にS&P500指数に勝つ必要があるじゃんって理屈になります。が、1銘柄で勝負するならそうなりますが、実際はポートフォリオ全体でのリスクとリターンで勝負すればいいです。ただそれでも、ポートフォリオ全体のリスクをS&P500指数のそれより下げることは不可能なので、個別株投資にチャレンジする以上、リターンでS&P500指数を超えないと意味はないという結論になります。インデックス投資はリスク対リターンという観点で非常に優秀という見方もできます。

投資する銘柄の過去の株価チャートを見よう

長期投資においてテクニカル分析はあまり意味はないと思っています。ファンダメンタル分析を重視します。過去の業績、配当推移といった財務データを確認することの方が、チャートを見るより遥かに大切です。

が、株価チャートも事前に見ておいた方がいいです。ヤフーファイナンスでもグーグルファイナンスでも何でもいいです。

それは買いのタイミングを計るためではありません。あなたが投資しようと思っている銘柄がどれくらい暴れ馬なのか、予め知っておくためです。財務優良でも気性が粗いなら投資を控えるのも一案です。まあ、財務が優秀なら穏やかなケースが多いですけどね。

リスクを事前に把握することは重要です。リターンより先ずリスク。攻撃より防御。リスクをなるべく減らすという目的で、株価チャートを眺めることも時には必要かなと思います。