某サイトでブログが売られていた
先日、某サイトでブログが売られていました。ブログも売れるんですね。そりゃ、スマホゲームのデータ(アカウント)が売買される時代ですし、Webコンテンツのブログも市場で売買されることもあります。
私が発見したそのブログの売値は150万円でした。
それだけじゃ安いか高いかわかりませんね。そのブログがどれくらいの収益を生み出すかが肝心なところ。某サイトの公開情報によると月間平均収入は6万円。年収だと72万円です。
年間72万円のキャッシュフローを生み出すコンテンツの買値が150万円。これをどう見るか。
PERで言うと約2倍(150万円 / 72万円)です。益回りは50%弱もあります。2年で投資を回収できる計算。
しかし、事はそう単純ではありません。このブログの収益源はほぼすべてがアドセンス広告とのこと。つまりPV数ありきの収益です。
これまで月6万円の広告収入を生み出してきたらしいですが、それは今後も維持できるでしょうか。これまでのどれくらいの更新頻度でこの収入なのか。ほとんど更新無しで月6万円の収入が得られるなら、150万円はお買い得かもしれません。
しかし、更新しないとPV数が落ちて収入が減ると考えるのが普通です。新たなブログ所有者は旧所有者と同じように更新できるかと言えば、それは難しいでしょう。よほど一般的な内容でなければ、ブログは属人的なコンテンツですし。
記事を外注するという方法もありますが、そうするとコストがかかります。
つまり、よっぽどうまく運用しないと月6万円の広告収入は減っていくことが予想されます。収入が減っていくなら50%という表面的な利回りも、一概に高いとは言えないかもしれません。
そもそも、月6万円の広告収入があるという情報を信じていいのでしょうか。グーグルからの支払明細くらい見せて欲しいものです。性悪説というわけではないけど、150万円もの大金を払うんだから、それくらいの証憑は示してくれないと困ります。
たとえPER2倍(利回り50%)であっても、他人のブログに投資するのは割が合わないなと私なら思います。
コロナ禍でアドセンス広告単価が下がっているからか、ブログを売り払いたいと思う人が増えてるんですかね。知らんけど。
株式のPERは低くても10倍、優良株なら20倍以上も普通だが、それに見合うだけの価値がある
さて、S&P500指数に含まれる優良株なら、PERは低くても10倍前後ですね。予想PERで10倍台前半だと割安、後半だと普通。20倍を超えるとちょい高い。30倍に迫ると割高という印象ですね。
表面的なPERの数値だけで割安割高は判断できないですが。言いたいことは、大体P/E10倍~30倍のレンジにある株が大半だってことです。
冒頭で紹介したブログのように、PER2倍(利回り50%)なんていう激安価格で株を買えることは先ずありません。業績が低迷している株でもPER10倍、つまり利回りは10%ほどです。
長期投資対象になるような株式は安くて利回り10%。私の保有銘柄で言うとタバコ会社のアルトリアグループ(MO)がそれくらいです。
成長期待の高い企業になるとPERは20倍(利回り5%)、30倍(利回り3%)とかになります。PER2倍(利回り50%)の某ブログよりも遥かに低利回りです。私の保有銘柄で言うとアップル(AAPL)のPERが30倍を超えています。
しかし、株式にはこれほどの高い価格で買うだけの価値があります。
なぜなら、企業の収益は長期的に成長していくと想定されるからです。アップルやマイクロソフトなどハイテク企業のEPSは、30年後には優に今の10倍はあるでしょう。いや、それでも控え目な予想かな。まあ、名目値はインフレ率次第でどうにでもなるんだけど。
しかも、その成長を実現するために、私たち株主は特に体を動かす必要もなければ、将来の経営について議論する必要もありません。
なぜなら、一流大学を卒業した超優秀な方に経営をお任せしているからです。その分、高額な報酬を支払っていますが、その報酬を差し引いた上でちゃんと利益が残っているから問題ありません。
アップル株はPER30倍強(益回り3%ほど)とお高いですが、ティム・クック氏に対する莫大な経営者報酬を払った上でのEPSに基づく利回りです。株式の利益、EPSはすべて込み込みです。
また、企業の損益には客観性があります。なぜなら、KPMGやEYといった外部の独立専門家の監査をパスしているからです。「この会社の利益を本当に信じていんだろうか?」という不安を感じる必要はありません。アップルのEPSは優秀な財務担当者が作成しているだろうし、EYの会計監査も受けているので信頼できます。
自分でコンテンツをアップデートしていかないと収益を維持できない上に、その収益源の大半はアドセンス広告でグーグルの一存で吹き飛ぶリスクがあるPER2倍のブログ。
ジョブスが生み出したiPhoneによって築いたエコシステムによって、今後20年30年と収益を伸ばせる見込みが高い(しかも株主は不労)PER30倍のアップル株。
どちらにより魅力、投資価値を感じますか?
金融商品以外に目をやると、利回り10%を超えるような投資対象も見つかります。しかし、高い利回りには相応の理由があるものです。結局リスクに対するリターンという観点で見ると、株式に勝る投資対象はないというのが私の意見です。
ヒロ様
確か、以前の記事で銀行の信用創造から、同じ借金でもサラ金と銀行のそれとは意味が異なる、という内容のものがあったと記憶しております。
例えば借金の使途が同じく住宅ローンで金利も同じと仮定した場合、どのような違いとリスクがあるのでしょうか。
お時間ある時にご教示ください。
宜しくお願い申し上げます。
こんばんは。
ご質問ありがとうございます。
おっしゃる通り、お金を貸すという意味においてはサラ金と銀行は全く性質が異なります。
前者は所謂金貸しで、実際に手元に現預金を持ってないとお金を貸せません。
一方で、銀行は何もない状態からお金を貸し出すことができます。これが信用創造です。
行われるのはデータ上の処理だけです。
銀行は商品を仕入れる必要も製造する必要もなく、信用を与えることで利息収入を得られるという点で特権的なビジネスです。
なので自由にビジネスを行うことができず免許が必要ですし、各種規制もあります。
ただし、お金を借りる側から見れば両者の違いはさほど意識しなくていいのかなと思います。
どちらにしても、元本と利息を返済せねばならないのは同じですから。
もしかしたら法的な位置づけが異なるかもしれませんが、すみませんがそこまでは存じ上げません。
回答になっているかわかりませんが、お役に立てますと幸いです。
Hiro様
お忙しいとご回答いただきありがとうございます。
この「与信」なるものがなかなかイメージできませんでした。というかできてません。
「データ上だけの処理」で手元にないお金を貸せる、というのがしっくりこないのです。
住宅ローを組む場合(持っているイメージ)
サラ金:サラ金業者がもっている現金をお客の口座に振り込む。お客は住宅会社にお金を支払う。そしてサラ金業者に毎月ローンを払う。
銀行:銀行が直接住宅会社にお金を払う。お客の銀行ローンが出来上がる、銀行へのローンの支払いが始まる。
結局、現金は必要な気がするのですが・・・
これまた、お時間あるときにお願いします。
でも、実際の社会では銀行の住宅ローンは借金なのに「社会的信用」の証として機能する反面、アプラスの借金は「社会的信用」をマイナスにしますよね。
ほんと、よくわからないんです。
ま様
会計仕訳を思い浮かべて頂くと、理解の助けになるかと思います。
サラ金がお金を貸す時はこういう仕訳になります。
貸出金 / 現金
現金という資産が流出して貸出金という資産が立ちます。
一方で銀行がお金を貸すとこんな仕訳になります。
貸出金 / 預金
貸方は現金ではなく預金です。
ここがポイントです。
預金業務を行えるのは、当局に認められた商業銀行のみです。
この預金というデータを生み出すことで貸出業務を行えることが銀行の特権です。
預金はあくまでデータに過ぎず、現金の裏付けは必ずしも必要ありません。
もちろん、預金の引き出し要求があった時は現金を渡さないといけないので、その準備は必要ですが。
この準備の水準を預金準備率と言います。
現在の日本のそれは1%未満だったと思います。
つまり、銀行は手元現金1万円に対して最大100万円の貸出を行えるということです。
サラ金だと手元現金1万円なら、1万円までしか貸出できません。
銀行はこのように社会に流通する資金量(マネーサプライ)を増やす権限があるので、その業務の社会的責任は大きいです。
だからこそ、審査は厳しいし、銀行のローン審査をパスした人は一定の信用があると言えます。