ブログを始めて2年3ヵ月になります。米国株銘柄分析というカテゴリを設けて、主要米国企業の財務データを分析してご紹介しています。

ブログをやって良かったと思うことの一つに、数多くの米国企業の財務諸表を見るきっかけになったということがあります。やっぱりブログをやっていなければ、投資家としてざっと財務諸表を見ることはあってもエクセルでグラフを作って分析するまではやってなかったと思います。経理という職業柄、優良米国企業の財務諸表分析はとても勉強になることが多いです。

「ああ、これだから日本株と米国株のリターンの差はここまで大きくなるんだな~」ってヒシヒシと思わされました。米国企業の収益力向上のための努力と利益を真摯に株主に還元する姿勢は、とてもじゃないですが今の日本企業が追い付けるレベルではないなと痛感しました。日本人として日本企業を応援したい気持ちはやまやまですが、やはり先ずは自分が儲かりたいのでこれからも米国株に投資するつもりです。

数多くの米国企業(特にブルーチップ)の財務データを見てきましたが、その中でも特に優良度が高いと感じたのがビザ(V)です。この会社はホントすっごいです。事業内容は最低限のことしか調べてなくて分からないことも多いのですが、財務諸表から見える収益力の高さはピカイチです。

でね、営業利益率とか営業CFマージンといった収益性指標が高いのはもちろんなんですが、僕が「ホントに凄い!」と思ってるポイントは別にあります。グラフで視覚的にお見せしますね。

これはビザのFY08から直近FY17までの売上高と純利益の推移です。

すっごい成長力ですよね。売上高はグングン伸びています。

で、これがDPS(一株当たり配当)の推移です。配当を出したFY09からのデータです。

配当は8年で6倍になりました。

 

この2つのグラフだけでも十分過ぎるくらいビザの優秀さが分かるのですが、一番見て欲しいのが以下のグラフです。

このグラフはFY12からの(そこからしかデータがなく)、各年の純利益と株主還元額の比較です。株主還元額とは配当+自社株買いです。

すごくないですか!?

6年のうち3年(FY13、FY16、FY17)は純利益よりも株主還元額の方が大きいです。他の年も純利益に匹敵する金額の株主還元を行っています。

そして、これがFY12~FY17の6年間累計の比較グラフです。

過去6年間累計で、純利益以上の株主還元を実施しています。

いやね、これがコカ・コーラみたいな成熟企業なら別に驚かないですよ。でもビザのように毎年売上・利益が成長している企業が、これほどの株主還元を実施していることに驚きます。

どうやれば利益を再投資せずして、これほどの売上成長が可能なのでしょうか?

ほんま不思議です。

そりゃ、ビザへの投資が報われるわけですよね。2009年~2017年まですべての年でビザはS&P500をアウトパフォームしてきました。今年も今のところS&P500を超えています。

最近、「マネー資本主義は終わった、これからはデータ資本主義だ!」みたいなことをたまに経済誌などで見かけることがあります。僕はお金=情報(データ)だと思っているので、別にこの言葉に違和感は感じません。ググっと抽象度を上げて考えてみると、お金って人の感情であり情報なのかなという気がしてます。

ま、そんな抽象的な解釈の話をここでするつもりはないのですが、「現代はデータ資本主義だ!」って言葉が出てくる背景は理解できるな~と思うわけです。一昔前、製造業中心だった頃にはビザみたいな利益成長は絶対に不可能でした。あれだけ資本を事業再投資に回さずして売上・利益ともに成長させるなんて不可能でした。でっかい工場建てて、高価な機械を導入して人を雇って大量生産しないと売上が成長しないのが普通でした。設備投資を行うとフリーCFが減って株主還元に回せるお金も減ります。ビザみたいに潤沢なフリーCFを確保して(=設備投資をしない)株主還元を続けながら、売上・利益をガンガン成長させるなんて昔は不可能でした。

ビザは稼いだ利益を大して再投資せずしてEPS・DPSともに毎年成長させています。どうしてそんなことが可能なのでしょうか。やはり決済ネットワークという事業内容が大きく影響していると思います。

 

僕は配当利回りが高い銘柄への投資にこだわっています。2018年の配当は75万円~ほどを見込んでいます。結構インパクトある金額になってきました。先ずは年間配当100万円が目標です。だから、配当利回りはせめてS&P500平均は欲しいです。でも、、このビザ(利回りは0.6%しかない・・)にはちょっと浮気したくなります。それくらい優良企業です。

定性的になことはあまり分かりませんが、少なくとも財務的に見ればビザに隙はありません。すごい、米国株投資。こういう超優良企業にネット証券でクリック一つでアクセスできるのが現代の投資環境です。最近トランプさんの気まぐれ関税策などで株価がちょっと不安定ですが、米国株投資がんばって続けましょう。これだけキャッシュを稼ぎまくって配当を増やし続けている銘柄に長期投資して、投資リターンがマイナスで終わるなんてことはほぼないと思います。経済的に考えにくいです。ビザに限らずです。