先日、EV大手テスラ(TSLA)の2020年度決算データを眺めていたのですが、とても時価総額6千~7千億ドルで評価されている企業には見えません。

2020年度に初めてギリギリ通年黒字を確保しました。純利益は6.9億ドルに過ぎずません。PERを計算すると・・なんて言うのはナンセンスですね。ちなみに、テスラより時価総額が小さいフェイスブック(FB)の2020年度の純利益は291億ドルでした。

なぜ、マーケットは利益7億ドルの企業に7000億ドルという評価額を与えているのか?

それは、テスラが将来今のフェイスブックどころではない利益を稼ぎ出すビッグでエクセレントな企業に成長すると踏んでいるからです。

それに加えてもう一つ条件があります。それは、テスラの利益が成長するまで気長に待つ準備があることです。

なぜ、気長に待てるのか?

金利が低いからです。

どうせ米国債で運用しても1%前後の利回りしかない、インフレ考慮したらマイナス。いくら安全とは言え、んなクソみたいな利回りで運用してもしゃーないから、テスラの成長をゆっくり待てるよというわけです。機会コストが低いとも言えます。

しかし、その前提が崩れるかもしれません。米10年債利回りは1.3%台まで上昇。まだまだ低金利な範疇ではありますが、テスラのようなハイパーグロース株が金利上昇に過敏に反応するのは仕方ないこと。

もしも金利が5%、6%になろうもんなら、テスラの株価は半値では済まないかもしれません。無リスクで6%取れる環境で、新興企業の将来の不確実な成長を気長に待ってくれる投資家はほとんどいません。

一方で、アップルやアマゾン、マイクロソフトといったハイテクセクターの成長企業は、確かに将来の成長を期待されているものの、今現在も莫大な利益を上げています。

今現在の利益も株式価値にそれなりにインパクトを与えています。将来の成長が全てというわけではありません。

テスラのようなハイパーグロース株とGAFAMのようなグロース株は全くの別物です。この2つは、はっきり分けて取り扱った方がよいと思います。

ハイパーグロース株には注意した方がいいですが、普通のグロース株にはまだまだ強気でいいのではと考えています。最近、金利上昇を反映してか大手ハイテク株も売られがちですが、やや過剰反応ではと感じています。

米10年債利回り1.3%とはコロナ前の水準にもまだ達していません。アメリカは数兆ドルの財政出動を実施しているわけで、これくらいの金利上昇は想定内ではないでしょうか。

伝説の相場師ジェシー・リバモアは「マーケットはだいたい正しいが、相場観を見誤ることはよくある」という主旨のことを言っています。正確な言葉は忘れましたが。

GAFAに迫るまでテスラの時価総額を押し上げたマーケットの判断を甘く見るべきではありません。テスラはそれだけの価値ある企業ということです。

テスラが偉大な企業であるというマーケットの判断は正しい可能性が高い。ただ、マーケットは相場観を見誤っている可能性はゼロではないでしょう。つまり、低金利がしばらく続くだろうという読みが外れるかもしれないという懸念を市場が抱いているということです。

テスラのようなハイパーグロース株の投資家がちょっとした金利上昇でざわつくのは理解できます。それくらい、低金利が株式価値を下支えしているからです。

でも、GAFAMのようなグロース株の投資家が慌てるような段階ではないと思います。仮にインフレ率が上昇しても、アップルのようなブランド力のある企業は値上げしても顧客に受け入れられやすいですし。

テスラがここからさらに10%下落しても「買い」かどうかは判断が付きませんが、もしGAFAM株がここから10%も下落するようなことがあれば「買い」と言えるし、今の株価でもリスク・リワードは全然悪くないと感じます。

ちなみに私は、金利は急減には上がらないと思っており、テスラ等のハイパーグロース株もそう簡単には崩れないだろうと予想しています(直感ですが!)。