2月27日、バフェットが2020年度版の株主向け書簡を公表しました。英語すらすら読めないので、ちょくちょくグーグル翻訳の力を借りて一通り読みました。

いくつかピックします。

債券は割高である

“bonds are not the place to be these days”と言っています。同感です。

かつて米10年債利回りは最高で15.8%を記録しましたが、20年末時点で0.93%でした(現在は1.4%まで上がっているが)。債券利回の低下率は94%です。

年金基金や保険など債券を買っている投資家は暗い未来に直面するだろうと言っています。

これは私の見解なのですが、年金や保険など債券を嫌でも買わざるを得ない主体がいるから債券利回りは低下し続けてきたんだと思います。もちろん、中央銀行の買い入れも大きいですが。

つまり、債券は株式よりも本源的価値から離れやすいのではと。今マーケットが示している1%台という利回りは、どうしてもリーズナブルには見えません。

私は今は債券は一切買うつもりはありません。ポートフォリオを守りたいなら、日本円の普通預金にします。幸い円の通貨価値は安定していますし。楽天銀行で0.1%という「高利回り」な利息をもらっておきます。

本源的価値より安い価格での自社株買いは株主価値を高める

バークシャーは昨年247億ドルの自社株買いを行ったとのこと。

自社株買いの効果についてアップルを例に説明しています。バークシャーは当初、アップルの発行済み株式数の5.2%を保有していました(凄すぎ!)。

最近、一部アップル株を売却したにもかかわらず、バークシャーの持分比率は5.4%と0.2ポイント上がっているのです。

なぜか?

アップルが自社株買いをしたことで、バークシャーの(既存株主の)持分比率が上がったからです。

自社株買いの効果はじわじわ効いてくるものだとバフェットは言ってます。

ただ、いつでも自社株買いが正義ではないと釘を刺しています。

①優良な投資機会がないこと
②不測の事態に備えた十分な資金を確保しておくこと
③自社の株価が本源的価値より安いこと

この3つがバークシャーが自社株を買い戻す条件だと言っています。特に③については、世のCEO達は高値で自社株買いをやり過ぎていると批判的です。

これは会社所有者兼経営者であるバフェットと、その他の雇われ経営者のインセンティブの違いによるものと考えています。何も他企業のCEOが無能というわけではないです。

ただ、一般的に言ってCEOは高値でも自社株買いを好みがちという点は、投資家として知っておいた方がよいです。エージェンシー問題の一つです。

まあ、私は優良企業の株は長期的に見れば大体いつも割安だと思っているので、「優良企業なら余剰資金があればいつでも自社株買いどうぞ!」っていう心境ですけどね。

自社株買いの多い企業は好みです。配当も好きですが、自社株買いも同じくらい好きですね。

テクノロジーに投資しつつ、バリュー株も見捨てていない

バークシャーの最新上場株ポートフォリオを見てみます。

(Million USD)

会社名 時価 構成比
アップル 120,424 43%
バンクオブアメリカ 31,306 11%
コカ・コーラ 21,936 8%
アメリカン・エキスプレス 18,331 7%
ベライゾンコミュニケーションズ 8,620 3%
ムーディーズ 7,160 3%
USバンコープ 6,904 2%
BYD 5,897 2%
シェブロン 4,096 1%
チャーターコミュニケーションズ 3,449 1%
バンクオブニューヨーク・メロン 2,837 1%
アッヴィ 2,736 1%
メルク 2,347 1%
伊藤忠商事 2,336 1%
ゼネラルモーターズ 2,206 1%
その他 40,585 14%
合計 281,170 100%

一部売却したとは言え、43%を占めるアップル株(AAPL)が目立ちますね。一般的には集中投資と言えるでしょう。IBMへの投資判断ミスを認め、すぐに撤退。そして、今や誰しも勝ち組と認識しているアップル株にPER10倍前後の時に投資する。

これぞ真のバリュー株投資ですね。真似できるもんじゃない。

ウェルズファーゴの名前は消えたものの、バンクオブアメリカ(BAC)への投資は増やしています。ビットコイン、デジタルドルに話題が集まる中、旧来の商業銀行の価値をどう見ているのか気になります。

最近、日本の商社に投資したことがニュースになりましたね。伊藤忠商事の名前があります。

中国BYD、ゼネラルモーターズ(GM)への投資は未来のモビリティを見据えての長期投資でしょう。いつかテスラ(TSLA)に投資するのかな。

アッヴィ(ABBV)、メルク(MRK)といった製薬企業への投資も個人的には注目しています。遺伝子を直接操作するなどバイオテクノロジーもイノベーションが盛んですが、大手医薬品メーカーの立ち位置はどうなるのか。

医薬品株はPERが低いのは魅力的ですが、リスクは低くないと思います。個人的には医療機器メーカーへの配分を多めにしています。ヘルスケアセクター自体は今後も高いパフォーマンスが期待できそうです。

最近、ベライゾンコミュニケーションズ(VZ)、シェブロン(CVX)への投資を公表しました。

未来のテクノロジーへしっかり投資しつつも、オールドエコノミーも見捨てていない。そんなポートフォリオに見えます。

Never bet against America.

Our unwavering conclusion: Never bet against America.

(バークシャー 2020年度年次書簡より)

“unwavering conclusion”という言葉がまたカッコイイですね。

インド、中国、そして最近は日本に注目が集まっています。それらの国に投資するのもありでしょう。特にバリュエーション面で言えば米株は割高に見えます。

色んな考えがあって当然。

しかし、ほどほどの企業を素晴らしい価格で買うよりも、素晴らしい企業をほどほどの価格で買う方が長期投資では儲かることを考えれば、これからも米株の強さは不変だと思います。

Never bet against America !