配当に着目したスマートベータETFには優良な商品がたくさんあります。多くの米国株投資家に人気だと思われるのがVYMやHDV、VIGなどです。

これらのETFはどれも低コストですし、構成銘柄も優良企業が多いので、使い勝手の良い商品だと思います。

読者の方からのコメントやメールの中でも、これらETFの中からどれを選ぶか迷っているという声が頻繁に寄せられます。米国は個別株だけでなくETFも大変優良な商品が多く、色々と目移りしてしまう気持ちはとてもわかります。私も最近こそETFにはあまり投資していませんが、ETFをよく買っていた2016年はどのETFを買うべきかなあと、頭を悩ませていました。

そんな中、私が最も素敵なETFだと思っているのがブラックロックのiシェアーズ・コア米国高配当株ETF(HDV)です。今現在(2017年3月末)の私のポートフォリオの4分の1をHDVが占めています。

HDVを気に入っている理由は、高配当の超大型ディフェンシブ株が中心であり配当利回りが他の高配当ETFに比べて高いことです。また生活必需品やヘルスケアといった長期で高いパフォーマンスが期待されるセクターの銘柄を多く持つ点にも好感を持っています。

HDVの特徴として銘柄が頻繁に入れ替わるという点が挙げられます。およそ3か月に1回のペースで何らかの銘柄入替が行われているように思います。

2016年12月にはペプシコとウォルマートがHDVに追加され、デュークエナジーが除外されました。

それから約3か月が経過した現在、やはりHDVの銘柄に変化が見られました。

 

  HDV銘柄構成(2017/3)

ボーイング追加

今回新たにHDVに参加した銘柄は複数ありましたが、最も規模の大きい企業としてはボーイング(BA)があります。

BAはNYダウ銘柄でもある世界最大の航空機メーカーです。

直近のボーイングの財務諸表を眺めてみましたが、業績は比較的堅調で株主還元に積極的です。FY14~FY16にかけて大規模な自社株買いを実施していました。配当もここ5年は増配が続いています。

リーマンショックが起こった2008年度は最終赤字に転落していたようですが、その後の業態は比較的安定しておりしっかり営業CFを生み出しています。

私は不勉強なので資本財セクターと聞いただけでちょっと敬遠してしまうところがあるのですが、NYダウにも採用されている大型株のBAは強い競争力がある優良企業です。

個人的に個別株としてBAに投資する意思は今のところありませんが、だからこそHDVの中で若干保有するのは良いことかもしれません。

直近の配当利回りは3.2%あり高配当です。

トランプ大統領はボーイング製の大統領機の価格に不満を漏らしていましたが、その後一転してボーイングを称賛し、米政府は今後ボーイングにたくさん発注すると言っておりました。

シェールオイルによる供給増加で原油価格が抑えられることも、BAにはポジティブなニュースでしょう。

他、BA以外には半導体メーカーのテキサスインスツルメンツ(TXN)がHDVに追加されていました。

 

クアルコム たったの半年でクビに・・残念

クアルコム(QCOM)は2016年9月にHDVに加わりましたが、僅か半年でHDVを去ることになりました。試用期間でクビになってしまった感じでしょうか、、、残念です。

クアルコムはスマホ用半導体の世界最大手です。

主な顧客にアップルを抱える高収益企業ですが、最近は試練が続いていました。アップルはクアルコムの特許収入の約4分の1を占める上客ですが、そのアップルから訴訟を起こされていました。さらに、韓国や欧米の規制当局との間で独占禁止法違反を巡るいざこざも抱えています。

2017年1月からクアルコム株価は急落しました。

クアルコムは特許収入が減少気味で、その技術の優位性は少しずつ揺らいでいるようです。しかし、スマホ用半導体分野ではやはり最強企業であり続けると思うし、そこをインテルに侵される心配もあまりしていません。

しかし、変化の早いハイテクセクターですから、将来はわかりません。

クアルコムの未来についてこれ以上の専門的な見解は持ち合わせていません。クアルコムをHDVから外すことが良いか悪いかはわかりかねますが、訴訟問題等で株価が急落しているタイミングでの除外となったことは残念です。

QCOM以外では、オキシデンタル・ペトロリアム(OXY)がHDVを去りました。

 

直近のHDV主要構成銘柄

個別銘柄でも欲しくなる優良企業のオンパレード。

銘柄入替は多いものの、S&P500をアウトパフォームできる潜在力を持つ数少ないETFの一つだと思います。

 

直近のセクター別構成割合

生活必需品、ヘルスケア、エネルギーの3つは20世紀後半に高いリターンをもたらしたセクターです。

この3セクターでHDV全体の半分以上を占めます。

 

HDVは何千と存在するETF・投資信託の中でもキラリと光る、長期投資に相応しい優良ETFだと思います。これからも定期的にウォッチ続けます。