バフェットのお金の価値観には共感できない

8月30日で投資の神様ウォーレン・バフェット氏が90歳を迎えました。この時期になると、ウォールストリートジャーナル等に必ずバフェットの投資論、お金論の記事が掲載されます(このブログも人のこと言えませんが)。

中身は違えど言っていることはいつも同じ。時間の大切さ、複利の偉大さを意識すべきというものです。

10%のリターンを前提にすると今の10万円は、
10年後→26万円
25年後→100万円超
50年後→1100万円超
になります。

いま10万円使うということは25年後の100万円、50年後の1100万円を失うということ。そう考えたら、安易に消費なんてできないはず。できる限り消費を抑制して少しでも多くの資金を投資に回すべき。

こういう思想を持って株で億万長者に成り上がったのがバフェットなわけですが、このお金の価値観にはあまり共感できないなあと思います。

確かにいま10万円を消費に使えば、25年後に100万円まで資産が成長するチャンスを逸失しますが、それでも構わないです。

今の消費は将来の投資リターンを犠牲にすると考えてしまうと、もはや生活必需品以外には何も買えない心境になります。別に金融資産最大化が人生の目標というわけでもないし、使う時はパーっと使って今を楽しみたいです。もちろん、不要な消費までしたいとは思いませんが。

お金と時間というのが人生の2大リソースです。どちらも大事ですが、時間をより大切にした方が後悔が少ないのかなと思います。

10万円を使っていま貴重な体験を買うのを捨てて50年後の1000万円を取るというのは、あまりに時間の重要性、貴重さを無視している発想だなと感じます。50年後なんて元気に生きているかさえわからないわけだし。

20代の頃ケチケチ節約して蓄財していた私ですが、どうでもいい飲み会とかを控えていただけで、使うべき交際費などは惜しまず使っていたつもりです。

楽しく生きていく上でお金はすっごく重要ですが、あくまで手段。

バフェットの投資哲学は学びたい(柔軟であれ)

お金に対する考え方はちょっと共感できないところもありますが、バフェット先生の投資哲学はすごく参考になるし、学びがたくさんあると思います。そりゃあれだけ成功しているので当然ですが。

色々ありますが、特に今の自分に足りないと思うバフェットの投資哲学が「柔軟であれ」というものです。

バフェットは決して特定銘柄を永久保有するわけではありません。ミスをしたと思えば、すぐに売ります。損失確定でも売ります。周りからの注目度も高く損を出すと批判される立場ですが、そんなのお構いなしにミスを素直に認めます。

最近では航空株を損切りしました。また、長年保有してきたウェルズファーゴ(WFC)株の保有割合を大きく減らしました。ゴールドマンはすべて売却しました。2000年前後のITバブルでは「理解できない」という理由でハイテク株に投資していませんでしたが、今ではポートフォリオの主力がアップル(AAPL)になっています。

特に21世紀は社会の変化が早い時代。ましてやコロナ禍で勝者と敗者が急に入れ替え変わるというイレギュラーな事象も起きました。経営力というより運という要素も大きいです。デリバリーに投資していなかった外食産業は不運としか言いようがないです。

投資書籍等で過去の株主リターンが優秀だった銘柄が紹介されることもありますが、それらの銘柄がこれからの30年もアウトパフォームする保証はありません。

「柔軟であれ」というのは、実践は思った以上に難しいです。特に損失を確定させたくないという心理(プロスペクト理論は有名ですね)、今は下がっている株価もいずれ復活するはずという根拠なき平均回帰への期待、などが個人的には大きな壁です。

自分の判断ミスを認めて速やかに軌道修正できるだけの柔軟性がないと、個別株の長期投資で成功するのは難しいなあと感じています。今繫栄を極めているアマゾンやアップルだって30年後に繁栄しているかはわかりません。衰退の予兆を感じた時にすぐに売却できるか。なかなか難しいでしょう。

「株を買ってから数年間株価が低迷する=判断ミス」と一概に言えないところが難しいところです。短期トレードなら株価が思惑と違った方向に動けば明らかにミスなわけでルールを決めて損切りもできますが、長期投資となるとなかなか判断が難しい。

であれば素直にインデックスを買っておくべきか。それが一般解かもしれないけど、やはり個別株を続けたいという願望は消えません。ブログをやっているからとか関係なしに。

そんなわけで四苦八苦しながらこれからも個別株投資を続けます。