あ~、なんか最近借金ネタばかり書いています。いや、大事だと思うから何度も何度も書こうかなと思います。やっぱり米国株式投資をするくらい投資リテラシーが高い人でも、借金は良くないだろうという考えの人が多いと思うので。

確かに借金は高利でやってしまうとみるみるお金が溶けていくので、それは止めるべきです。金利10%以上取るサラ金を利用しようなどと考えるべきではありません。

あくまでも低利で、資産側の収益率よりリスク調整後でも十分低い利率であれば借金する価値があります。借金によるレバレッジ効果があることで資本主義経済は力強く成長してきました。それは低金利環境である今も変わりません。

上手に借金していくことは経済的に豊かになるために重要なポイントだと思います。

ただ個人で低利で借金するのは困難です。私の個人的感覚で恐縮なんですが、株式の実質期待リターンを7%とするなら、借入利率は高くとも3%が限界です。それ以上の金利なら借金しないですね。この数字は何か根拠があるわけではなく、私の感覚です。

個人が担保なしで3%以下の金利で借金するのはかなり難しいと思います。てか普通は無理だと思います。住宅ローンは家と命(団信)を担保に入れるからあんなに低利なわけです。担保も何もなしにあんな1%程度でお金を貸していたら銀行は潰れちゃいます。

マイナス金利で企業がコンマ数%で社債発行とかしていますが、あれは信用のある上場優良企業だからできる話です。あと日本が超低金利だからですね。例えば、デンソーが2016年に発行した無担保普通社債(10年物)なんて表面利率0.135%でした。。

個人が簡単に低利で借金する方法、それが優良企業の株式に投資することです。株式を保有するとは、その企業のバランスシートを所有することに他なりません。借金している企業の株主になるということは、実質的には株主自身が借金していることを意味します。

その意味をバランスシートで示します。

総資産300億円、負債200億円、純資産100億円の企業の株を買えば、あなたの投資額の2倍の借金がもれなく付いてきます。もしあなたがこの企業の株を100万円分買えば、あなたは実質的には200万円の借金を背負うことになります。200万円の借金をすることができます。

もし、この企業が超優良企業でこの借入を金利0.1%で実施していたとします。そうすれば、株主であるあなた自身が0.1%の低利で借金できていることになります。

これって凄いことだと思いませんか!?
信用格付けの高い優良企業の株を買うことで、個人では絶対に無理なめっちゃ有利な条件で銀行からお金を借りれるんですよ。

資本主義社会で優位に立つために、なんとか個人で低利で借金できないかな~って右往左往している暇があれば、優良企業の株をネット証券でポチッと買っちゃえばいいわけですね。

 

ジョンソン&ジョンソンを例に

具体的に米国株銘柄で見てみましょう。米国株投資家に人気でS&P格付けAAAの超優良銘柄のジョンソン&ジョンソン(JNJ)の借入利率はいくらでしょうか?

計算はとっても簡単。JNJのPLの支払利息をBSの借入金で除すればいいだけです。ちなみに、このとき分母の借入金残高は当期末と前期末の平均値を取ります。フローのPL情報と整合させるためです。

金利=支払利息 / 借入金平均残高

で、JNJの直近2016年度の数字を取りました。
支払利息=$726M
借入金平残=$23,494M

ここから計算されるJNJの借入利率は約3.1%です。

さすがジョンジョン!
やっすいね~。

3.1%って、さっき紹介した日本企業のデンソーの金利より高いと思われるかもしれませんが、アメリカは日本みたいにマイナス金利ではないから同じ土俵で比較はできません。この米国の相対的に高い金利は理論的には為替で調整されるので問題ありません。

米国で利率3%で社債発行できる企業はそう多くはありません。言っておきますが、現在米国債(10年)の利回りは2.2%くらいですし、30年物は2.8%ほどです。

JNJのBSを見ると短期借入金よりも長期借入金の方が圧倒的に多いです。具体的なJNJの借入期間まで知りませんが、JNJの社債利回りはほぼ米国債並みと言えるでしょう。JNJの信用力はアメリカ政府とほぼ同等だと市場に判断されています。

ジョンソン&ジョンソン株を保有しているあなたは間接的に金利3%で借金できているわけです。米国で3%で長期借入できる個人は多分いません。トランプ大統領でも無理でしょう。でもあなたにはそれができているんです。これは凄いことです。めちゃくちゃ凄いことです。

当たり前のようにネット証券でJNJ株を買っているかもしれませんが、その経済効果は計り知れません。

JNJなどの大型優良株は短期的に大きく利が乗る銘柄ではありませんが、こういうスーパーワイドモート銘柄を長期ホールドして損するはずないです。よほど買いのタイミングをミスらない限り、株主は報われると思います。それは、JNJのヘルスケアビジネスが社会に貢献しているからってのが先ずありますが、それだけはありません。JNJがこんなに低利で借金できていることも株主をより一層経済的に豊かにします。

こんな感じで、優良企業の株を保有するだけで低利で借金できるんです。

なんか私は米国株投資家だから、どうしても米国株を推してしまうバイアスがあります。米国の優良企業の株を保有すれば経済的に豊かになれるよ!って主張しがちです。
まあまだ米国株投資初めて2年も経っていないし実績は何もないですがね。

別に株式投資することが必ずしも正しいわけではありません。価値観は人それぞれですしね。自分のビジネスに投資している人もいるでしょうし、稼いだ金は全部夜の遊びに使っている人もいるでしょう、好きな趣味にお金を全部突っ込んでいる人もいるでしょう。

別に何が正しいとかないと思います。なんか、きちんとお金貯めて堅実に投資している人が偉いとか思う人いるかもしれませんが、別に何に価値を感じるかなんて人それぞれです。生き方に正解なんてない。

とは言え。
お金の使い方は、人それぞれとは言え!

優良企業の株を保有することのメリットを知れば知るほど、、余剰資金は米国株に突っ込んでおくべきだと思っちゃいますね。ホントに。めちゃくちゃ儲かっているビジネスを株主として保有して、こんな国債並みのアホみたいな低金利で借金までできる。

いや~、ホントに株式投資って、米国株投資ってすごいですよね。。
財産形成することがすべてとは思わないけど、まあ中の小くらいの幸せは金で買えるだろうとぶっちゃけ思っています。そのお金を長期的に稼ぐうえで優良米国株への投資という選択肢を知っているか、知らないままか、この差はでかいと思わざるを得ません。

 

もういっちょ、株式投資を通じた借金のメリットを!

さて、ここまで優良株を通じて借金することのメリットを語ってきました。

さらに、株式を通じて借金することのメリットがあります。先日読者様がコメント下さって「はっ!確かに!」って思いました。

そのコメントを抜粋します。

「低利融資で大きくレバレッジをかけている会社(業種は不問)の株を、借金せずに買う」です。
そういう会社の株を借金せずに買ったとして、その後利益や損失が出たケースを考えると・・・
ケース1:
その会社が大きな利益を出せば、利払い後の利益は株主で山分けです。債権者の利益は利息だけです。
ケース2:
その会社が大きな損失を出し債務超過になって潰れても、株主の損失は株の価値がゼロになるだけで、
超過債務にあたる損失は債権者に押し付けることができます。

このコメント凄いな~、めっちゃ賢い方だな~って僕はスタバで感心しておりました。こんな視点で考えたことありませんでした。

個人で借金してビジネスをすれば、儲かれば大きな利益になります。借金してリスク負っている分成功すれば儲けも大きくなります。これは上記コメントのケース1に該当します。ケース1のご指摘は、これは株式投資を通じて借金すること特有なことではありません。個人でも企業でもレバレッジかけてビジネスすれば、儲けは大きくなります。

で、注目したいのはケース2のコメントです。

個人で借金してビジネスして万が一失敗すれば、財産全部銀行に持っていかれます。個人でビジネスに失敗してホームレスに転落するようなケースだってあるでしょう。自己破産という手もあるかもしれませんが、あくまでも奥の手です。処分できる資産はすべて処分したうえで、残債をチャラにできるだけです。
個人で多額の借金を背負う事は大きな人生リスクを抱えることになります。

一方で、株式投資を通じて借金する場合その企業が万が一倒産したら、株式は紙くずになってしまいますが、株主の経済的負担はそこまでです。企業の債権者は株主の個人財産にまで手を出すことはできません。株主の個人財産は法的に保護されています。

ちょっと悪い言い方をすると、株主は借金を踏み倒すことができるということ。

これは今まで気付かなかった、株式を通じて間接的に借金することのメリットでした。コメント読みながら感動しておりました。

この構図は、あれですね、ちょっと投資銀行のトレーダーのリスクテイクに似ています。ゴールドマンなどで働く債券トレーダーなど短期トレードを専門にしている人は、過度なリスクテイクに走りがちです。

なぜなら、利益は青天井で損失は限定的だからです。たくさん儲けて会社の利益に貢献すればその分ボーナスは青天井に増えます。一方で、もし超大損してしまっても最大損失はクビになることです。違法なことをしていない限り、個人財産で会社の損失を補てんする必要はありません。

株式投資家も同じような感じですね。投資先企業がたくさん借金してハイレバレッジ経営すれば、その分期待リターンは高まります(もちろんリスクも高まるけど)。
そのハイレバレッジが仇になって倒産してしまっても、株主は投資額以上の損失を負担しなくていい。
う~ん、フリーランチに見えてしまう。