テスラ凄いですよね。株価はこの1年で6倍超。S&P500指数銘柄にも採用となりました。空売りしていたヘッジファンドは大やけどです。

EVはそんなに簡単に普及しないとも言われます。まだまだバッテリーのコストは高いし、充電施設等のインフラ設備も必要ですし、法律周りの整備もあるでしょう。

世の中はゆっくりとしか変化しない、、

本当にそうでしょうか?

確かにそういう面はあると思います。しかし、現代はマクロ経済的にEVのような大きな社会変化を促すビジネスに追い風が吹いていると思います。

マクロ経済的にと言うのは具体的には低金利ということです。

金利が低いということは、変化に向けて面舵いっぱいにも取舵いっぱいにも自由にやりやすいということです。実弾がたくさんにあるということ。実際に撃つかどうかは別問題として。

たとえば、EV普及のために購入補助金を出すとか。こういう補助金をガンガン出せるのは低金利で追加の国債発行に伴う利払い負担が小さいからです。金利が高い時は、為政者が思う方向に船を進めたくてもなかなか舵を切れません。弾がないと撃ちたくても撃てないのです。

バイデン次期米大統領は、環境対策に熱心で2兆ドルに及ぶ気候変動対策予算を掲げています。これはEV充電拠点や再生可能エネルギーのインフラ設備を含みます。

そういうことが当たり前のように言えるわけです。大統領ならいつでも言えるわけではありません。今が超低金利だから2兆ドルの追加予算も比較的容易に組む余地があるのです。恐らくインフレはもたらさないでしょう。債券市場はほとんど将来のインフレを織り込んでいません。

ただし「容易に」というのはお財布の話で合って、実際に予算が通るかどうかは政治の問題なのでわかりませんが。特に上院が共和党過半数でねじれとなれば、民主党が提出する法案は簡単には通りません。来年1月のジョージア州の決戦投票次第です。

そういうハードルはあるものの、今の超低金利は社会の変化のスピードを早める力があると思います。

デジタル経済への移行は2000年前後のITバブルを一度経験し、そしてこの10年で急速に進みました。破壊的イノベーションをもたらすテクノロジーが研究室を出て、実社会に浸透するまでに一度バブルを経るというのは必然とも感じます。なぜなら、バブルによる過剰な資金供給がイノベーション推進の力になるからです。

しかし、今回は違うかも。テスラはシスコと同じ道は歩まない気がします。

2000年と今2020年とでは金利環境が全く異なります。この差は大きい。国民、特に政治的な発言力を持ちつつある若いリベラルな層の民意に後押しされ、環境対策に繋がるビジネスには豊富な資金が供給されるのではと思います。

EVは走るスマホになると言われます。既存の自動車メーカーと同じ目線で評価はできません。無配の成長株には投資しない方針の私ですが、テスラだけは気になってます。