コロナ過で日本でも色々な支援策が打たれました。本当に困っている人をピンポイントで支援するのは政治的にどうしても難しく、バラマキ的な政策になった面はあります。定額給付金、Go To トラベル、Go To Eatなど。

個人的にはもちろん定額給付金10万円は頂いたし、Go To Eatもそれなりに利用しました。食べログで8千ポイントくらい貰ったかな。もう全部使っちゃいましたが。

こういった施策は国民受けがいいですね。特に給付金なんて皆平等に現ナマ10万円も貰えるわけで不満を持つ人は少ないでしょう。Go Toも制度が分かりづらい、使いづらいと批判はあるものの、全体として評判は良いのではと感じます。

このような政府から国民への財政支援は金持ち優遇策とは思われていません。むしろ、平均ないしそれ以下の所得層を喜ばせます。億万長者は10万円もらっても大して嬉しくないでしょうし。

しかし、逆説的ですが、給付金のような庶民を支援するための政策がますます資本家、株主を豊かにしてしまい、結果として経済格差がますます拡大する可能性が高いです。

なぜかと言えば、消費者にとって給付金等の支援策は単発ですが、それがもたらすマネー流通量の増加は資本家にとっては半恒久的な支援材料になるからです。

10万円の給付金は何かに使いましたか?

何に使おうが自由ですが、10万円を使ってしまえばそれで終わりですよね。当たり前ですが。

しかし、10万円×1.2億人=12兆円というマネーサプライの増加は資本家を利し続けます。

私がいつもイメージするのは楕円形の流れるプールです。子どもの頃、よく遊びに行きませんでしたか。

プールを泳いでいるのは資本家です。プールの水量が増えて流れの勢いが増して、楽しくなるのは資本家だけ。

非資本家(労働者)はプールサイドに座って、楽しそうに泳いでいる資本家の姿を眺めることしかできません。

確かにプールに水が放り込まれる瞬間はプールサイドにいる労働者にも恩恵があります。一度労働者にバケツで水を渡して、それをプールに放り込む制度だからです。

水をもらった労働者は喜びます。「あ、水もらっていいの?ありがとう。」って。でも、その水は最後は流れるプールに放り込むことになります(消費)。バケツに入れたまま持ち続けるのも自由ではありますが(貯蓄)。

バケツに入った水を一度プールに放り込んだが最後、その水が再び労働者の元に戻ってくることはほぼありません。プールの中を泳いでいる資本家たちが、増えた水を回し続けます。

ドナルド・トランプ氏は衰退した製造業で働く白人層の支持を得て、2016年に大統領になりました。

鉄鋼関税など自由貿易に逆行する保護主義的政策を実施しましたが、西海岸の起業家を代表とする資本家と中部の労働者階級との経済格差は縮まりませんでした。むしろ、格差は拡大しています。

これは為政者の問題ではもはやないかもなと思います。経済の構造的にやむを得ないところがあります。

お金は天下の回りもの。お金は常に経済をグルグル回っています。そのお金の流れの中、流れるプールの中に入っていない人にフォーカスして経済支援を行うというのは至難の業です。

プールの水を吸い上げて、プールサイドにいる非資本家に水を与えることできれば経済格差は縮小するかもしれません。が、簡単なことではありません。プールの中を泳いでいる人たちは強い政治力を持っています。

やはり勇気を出してプールに飛び込むしかないと思います。頑張ってプールに入ることができれば、後は流れに身を任せるだけでもそこそこ早く泳ぐことができます。