社会人になって株式投資の世界を知ってから、数多くの本を読んできました。

日本人では山崎元さんや堀古英司さん、数多くの投資ブロガーさんの文章を読んで勉強させて頂きました。

ただやはり私の投資方針を大きく決定づけるほどの多大な影響を与えられたのはアメリカの古典でした。
『ウォール街のランダムウォーカー』(バートン・マルキール)
『敗者のゲーム』(チャールズ・エリス)
『株式投資』(ジェレミー・シーゲル)
『株式投資の未来』(ジェレミー・シーゲル)
『インデックスファンドの時代』(ジョン・C・ボーグル)
『マネーと常識』(ジョン・C・ボーグル)
『バフェットの銘柄選択術』(メアリー・バフェット)
といった書籍です。

そして、最も影響を受けた人物を挙げろと言われたら以下の2名です。
ウォーレン・バフェット
ジェレミー・シーゲル

ウォーレン・バフェットは長期株式投資で全米3位のお金持ちになった株式投資の世界のヒーローです。
彼の保有銘柄はバフェット銘柄と呼ばれ、バフェットが株を売買したら世間では大きなニュースになります。
最近では、IBMやフィリップス66株の購入、エクソンモービル株の売却が注目されました。

 バフェット・コードという名著を発見

1ドル105円を前提に2016年の業績予想を再作成しろと、社長が言ったらGWはなくなる覚悟をしていました。

でも為替は110円で進むと決めたそうで、ホッと胸をなでおろしました。
ということで、5月3日〜5月5日はお休み頂けました。

昨日5月3日は、両親が上京していたので東京駅周辺で食事をすることに。
かなり早めに東京駅に着いたので、丸の内北口から丸善へ向かいます。

書店に行ったら投資関連コーナーに向かってしまう習性がありまして、この日も違わず投資本を眺めていました。
そして、1冊の書籍と偶然の出逢い。
『バフェット・コード』

ぱらっと目次眺めて面白そうだと感じ、分量も多くないので食事までに読めるかなと思いまして、即購入。
近くのタリーズで読書開始。

バフェットの投資経歴が簡潔に書かれてありとても面白い。
特に興味深いのが1977年からの具体的なバフェット銘柄が記載されている点。

バフェットがどういう投資を行ってきたのか一目瞭然。

これは是非ブログで伝えたい。

今日朝から頑張って、エクセルでまとめましたよ。
会社で仕事をしているみたいでした(笑)。

では、どうぞ。

    バフェット銘柄の歴史 Since 1977

1977年から2007年のバフェット銘柄を2〜3年毎のスパンでご紹介します。

1977年 ワシントンポストだけは知ってる

(単位:千ドル)

銘柄 時価 割合
Washinton Post 33,401 18.4%
GEICO Convertible 33,033 18.2%
IPG 17,187 9.5%
Capital Cities Communications 13,228 7.3%
GEICO 10,516 5.8%
Kaiser Aluminium & Chemical 9,981 5.5%
Knight-Ridder Newspaper 8,736 4.8%
Ogilvy & Mather international 6,960 3.8%
Kaiser Industries 6,039 3.3%
Others 41,992 23.2%
Total 181,073 100.0%

 

1977

 

Washinton Post以外は知らない会社ですね。

最も投資割合の高い会社はGEICO(ガイコ)はGoverment Employees Insurance Corporationの略で政府役員や軍人さんに自動車保険を販売している会社です。

1995年にバークシャー・ハサウェイの傘下に取り込まれました。

 

1980年 後のクラフト・フーズに出資

(単位:千ドル)

銘柄 時価 割合
GEICO 105,300 19.9%
General Foods 59,889 11.3%
Handy & Harman 58,435 11.0%
SAFECO 45,177 8.5%
Washinton Post 42,777 8.1%
Aliminium Company of America 27,685 5.2%
Kaiser Aluminium & Chemical 27,569 5.2%
The Interpublic Group of Companies 22,135 4.2%
F.W. Woolworth Company 16,511 3.1%
Pinkerton’s Inc. 16,489 3.1%
Cleveland-Cliffs Iron Company 15,894 3.0%
Affiliated Publications 12,222 2.3%
R.J. Reymolds Industires 11,228 2.1%
Ogilvy & Mather international 9,981 1.9%
Media General 8,334 1.6%
National Detroit Corporation 6,299 1.2%
The Times Mirror Company 6,271 1.2%
National Student Marketing 5,895 1.1%
Others 32,096 6.1%
Total 529,687

1980

 

General Foodsは後に、フィリップ・モリスに買収され、現在はクラフト・フーズの傘下にある会社です。

依然としてGEICOの保有割合が高いです。

まだまだ知らない銘柄が多く、正直親しみが持てませんね。

 

1983年 銘柄整理

(単位:千ドル)

銘柄 時価 割合
GEICO 398,156 31.1%
R.J. Reymolds Industires 313,334 24.5%
General Foods 228,698 17.9%
Washinton Post 136,875 10.7%
Time, Inc 56,860 4.4%
Handy & Harman 42,231 3.3%
The Interpublic Group of Companies 33,088 2.6%
Affiliated Publications 26,603 2.1%
Ogilvy & Mather international 12,833 1.0%
Media General 11,191 0.9%
Others 18,044 1.4%
Total 1,278,913

1983

 

主力銘柄がかなり絞り込まれています。

GEICO
Washinton Post
Genral Foods
R.J. Reymolds Industries

 

1986年 さらなる銘柄整理

(単位:千ドル)

銘柄 時価 割合
Capital Cities/ABC, Inc. 801,694 42.8%
GEICO 674,725 36.0%
Washinton Post 269,531 14.4%
Handy & Harman 46,989 2.5%
Lear Siegler, Inc. 44,587 2.4%
Others 36,507 1.9%
Total 1,874,033

1986

 

銘柄整理がさらに進んでします。
ほぼ3社への集中投資です。

General Foods株がすべて売却されていることがわります。

 

1988年 コカ・コーラ登場!

(単位:千ドル)

銘柄 時価 割合
Capital Cities/ABC, Inc. 1,086,750 35.6%
GEICO 849,400 27.8%
Coca-Cola 632,448 20.7%
Washinton Post 364,126 11.9%
FHLM 121,200 4.0%
Total 3,053,924

1988

 

この辺りから現在の主力バフェット銘柄に繋がる銘柄が登場し始めます。

ここでの注目はコカ・コーラです。
バフェットはコカ・コーラ社の半永久的な競争力を見抜いて、1988年に投資しました。
コカ・コーラ社は現在でも主力バフェット銘柄です。

バフェットは言います。
「コカ・コーラのような類まれなビジネスを買うのに遅すぎることはない」

 

1990年 ウェルズ・ファーゴ登場!

(単位:千ドル)

銘柄 時価 割合
Coca-Cola 2,171,550 40.2%
Capital Cities/ABC, Inc. 1,377,375 25.5%
GEICO 1,110,556 20.5%
Washinton Post 342,097 6.3%
Wells Fargo 289,375 5.4%
FHLM 117,000 2.2%
Total 5,407,953

1990

 

コカ・コーラの投資割合がかなり拡大しており、全体の4割に達しています。

そして、注目すべきは現在のバフェット銘柄構成割合トップのウェルズ・ファーゴがこの年に登場しています。

 

1992年 髭剃りのジレット登場!

(単位:千ドル)

銘柄 時価 割合
Coca-Cola 3,911,125 35.6%
GEICO 2,226,250 20.3%
Capital Cities/ABC, Inc. 1,523,500 13.9%
Gillette 1,365,000 12.4%
FHLM 783,515 7.1%
Wells Fargo 485,624 4.4%
Washinton Post 396,954 3.6%
Gillette PLC 299,581 2.7%
Total 10,991,549

1992

 

相変わらずコカ・コーラ大好きな状態です。
ここで注目は、髭剃りのジレットが銘柄に登場していることです。
ジレットは1901年創業で、替刃式カミソリが有名です。
2005年10月にプロクター&ギャンブル(P&G)に買収されました。

バフェットは今でもP&G株を保有しているので、このジレット株も1992年から実質保有し続けていることになります。

 

1994年 アメリカンエクスプレス登場!

(単位:千ドル)

銘柄 時価 割合
Coca-Cola 5,150,000 36.9%
Gillette 1,797,000 12.9%
Capital Cities/ABC, Inc. 1,705,000 12.2%
GEICO 1,678,250 12.0%
Wells Fargo 984,727 7.0%
American Express 818,918 5.9%
FHLM 644,441 4.6%
Washinton Post 418,983 3.0%
PNC Bank 410,951 2.9%
Gannettt Co 365,002 2.6%
Total 13,973,272

1994

 

コカ・コーラが主力である点に変化なしです。

ジレットもしっかり保有。

ウェルズ・ファーゴの保有割合がじわじわと上がってきています。

ここで馴染みのある新規銘柄、アメリカンエクスプレスです。
アメリカンエクスプレスは現在でも主力バフェット銘柄です。

アメリカンエクスプレスは通称アメックスで、AMEXで有名な会社です。
高所得者向けのアメリカン・エキスプレス・カードを発行しています。

 

1996年 マクドナルド ウォルト・ディズニーが登場!

(単位:千ドル)

銘柄 時価 割合
Coca-Cola 10,525,000 37.9%
Gillette 3,732,000 13.4%
Others 3,295,400 11.9%
American Express 2,794,300 10.1%
Wells Fargo 1,966,900 7.1%
FHLM 1,772,800 6.4%
Walt Disney 1,716,800 6.2%
McDonald’s 1,368,400 4.9%
Washinton Post 579,000 2.1%
Total 27,750,600

1996

 

コカ・コーラ、ウェルズ・ファーゴ、ジレット(現プロクター&ギャンブル)、アメリカンエキスプレスといった現在の主力バフェット銘柄達が、すでに主力として活躍していることがわかります。

新規銘柄はマクドナルドとウォルトディズニー。
知らない人はいないでしょう。

 

1999年 マクドナルドとウォルト・ディズニーが消えている

(単位:千ドル)

銘柄 時価 割合
Coca-Cola 11,650,000 31.5%
American Express 8,402,000 22.7%
Others 6,484,000 17.5%
Gillette 3,954,000 10.7%
FHLM 2,803,000 7.6%
Wells Fargo 2,391,000 6.5%
Washinton Post 960,000 2.6%
Total 37,008,000

1999

 

主力4銘柄は変わらずです。

注目は、前回登場したマクドナルドとウォルト・ディズニーがすべて売却されていること。

バフェットはマクドナルド株の売却を後悔していたそうです。
「MCD株の売却は大変な大間違いだった」(by バフェット)
「MCDではビリオン・ダラー儲け損ねた」(by マンガー)

バフェットも人間ですから投資の判断誤りはあるんですね。
何か安心しました。

 

2002年 大きな変化はなし

(単位:千ドル)

銘柄 時価 割合
Coca-Cola 8,768,000 30.9%
American Express 5,359,000 18.9%
Gillette 2,915,000 10.3%
Wells Fargo 2,497,000 8.8%
Washinton Post 1,275,000 4.5%
Moody’s 991,000 3.5%
H & R Block 643,000 2.3%
M & T Bank 532,000 1.9%
Others 5,383,000 19.0%
Total 28,363,000

 

2002

 

1999年から大きな銘柄変更はありません。

ムーディーズへ新規投資をしていることがわかります。

 

2005年 プロクター&ギャンブル登場!

(単位:千ドル)

銘柄 時価 割合
Coca-Cola 8,062,000 17.3%
American Express 7,802,000 16.7%
Wells Fargo 5,975,000 12.8%
The Procter & Gamble Company 5,788,000 12.4%
Moody’s 2,948,000 6.3%
Petro Chaina 1,915,000 4.1%
Anheuser-Bush Cos, Inc. 1,884,000 4.0%
Washinton Post 1,322,000 2.8%
Ameriprise Financial, Inc. 1,243,000 2.7%
White Mountains Insurance 963,000 2.1%
Wal-Mart Stores, Inc. 933,000 2.0%
M & T Bank 732,000 1.6%
Others 7,154,000 15.3%
Total 46,721,000

2005

 

ジレットが銘柄から消えていますが、これはプロクター&ギャンブルに買収されたためです。

そして、この年からバフェット銘柄にプロクター&ギャンブルが登場しています。
プロクター&ギャンブルは現在でも主力バフェット銘柄です。

他の注目点としては中国のペトロチャイナへの投資です。
バフェットが米国外の会社にここまで投資したのは恐らくこれが始めなはずです。

ウォルマートへ投資していることもわかります。
ウォルマートも主力ではありませんが、現在もバフェット銘柄の一員です。

 

2007年 ジョンソンエンドジョンソン登場!

(単位:千ドル)

銘柄 時価 割合
Coca-Cola 12,274,000 16.4%
Wells Fargo 9,160,000 12.2%
American Express 7,887,000 10.5%
The Procter & Gamble Company 7,450,000 9.9%
Burlington Northern Santa Fe 5,063,000 6.8%
Johnson & Johnson 4,287,000 5.7%
Kraft Foods Inc 4,059,000 5.4%
US Bancorp 2,386,000 3.2%
Tesco 2,156,000 2.9%
POSCO 2,136,000 2.8%
Anheuser-Bush Cos, Inc. 1,861,000 2.5%
Moody’s 1,714,000 2.3%
Sanofi-Aventis 1,575,000 2.1%
Conoco Fhillipps 1,546,000 2.1%
Washinton Post 1,367,000 1.8%
Wal-Mart Stores, Inc. 948,000 1.3%
White Mountains Insurance 886,000 1.2%
USG Corp 611,000 0.8%
Others 7,633,000 10.2%
Total 74,999,000

2007

 

大分現在のバフェット銘柄に近い状態になってきました。

注目はジョンソンエンドジョンソンの登場です。
ヘルスケアトップ企業で、長期バリュー投資銘柄の代表格です。

バフェットは諸事情でこのJ&J株を売却しており、現在のバフェット銘柄に占める割合は僅かです。

 

2015年 そして現在

『バフェット・コード』は出版が2009年なのでデータは上記まででしたが、マネックス証券さんのホームページより、直近のバフェット銘柄の構成が把握できます。

(単位:千ドル)

銘柄 時価 割合
ウェルズ・ファーゴ 24,150,000 18.9%
クラフト・ハインツ 22,983,000 18.0%
コカ・コーラ 16,048,000 12.6%
IBM 11,747,000 9.2%
アメリカン・エクスプレス 11,239,000 8.8%
フィリップス66 4,725,000 3.7%
プロクター&ギャンブル 3,798,000 3.0%
ウォルマート 3,643,000 2.9%
その他 29,350,000 23.0%
合計 127,683,000

2015

 

最近ニュースで話題になった通り、IBM株を多く購入しているようです。

原油安が底と考えたのかフィリップス66を新規購入しています。
なぜエクソンモービルやシェブロンでないのかは私にはわかりません。

ウェルズ・ファーゴの次に高い保有割合を誇るクラフト・ハインツはバフェットの提言で、クラフト・フーズ・グループとHJハインツが合併して2015年7月に新たに作られた企業です。

 

 バフェットも試行錯誤で投資をしてきた

バフェットも色々と試行錯誤しながら投資をしてきたのだな、というのが率直な感想です。

マクドナルド株の売却のように大きな失敗も認めています。
バフェットは自信の最も大きな失敗はバークシャーハサウェイ社の買収であったという皮肉も言っています。

バフェットは多額の追加投資が不要で、消費者独占的な商売で毎年安定的にキャッシュを獲得できるビジネス形態を持ち、それらのキャッシュを忠実に株主利益のために活用できる経営陣を要する会社がベストであると言っています。

その要件をすべて満たしていたら買値は二の次なのです。
まともな企業を素晴らしい安値で買おうとするよりも、素晴らしい企業をまともな価格で買うほうがいい
というバフェットの言葉が意味している事実は重大です。

バフェットはこの事実に20年かけて気付いたと言っています。

我々は、バフェットやシーゲル博士のおかげでその事実を投資を始める初期の段階で知ることができています。

未来は過去と同じように進むとは限らないですが、過去の歴史を軽視するのは愚かです。

私はインデックス運用がまだ中心とはいえ、米国ETFや個別株を活用してこのバフェット流の運用になるべく近い方法で株式投資をしていきたいと思っています。

久しぶりに素敵な投資本に巡り合いました。